第9話
雄馬が選んだ恋の行方はいかに!?
学校に着くと、雪の姿を見つけた俺は、真っ先に声をかけた。
『雪、放課後時間あるか?話したいことがあるんだ。』
『私は別に話はないから。』
『放課後、校門の前で待ってるから。』
俺がそう言っても、雪は返事をせず、そっぽ向いたまま、黙っていた。
それから、1日授業を受け終え、放課後になり、俺は、校門の前で雪を待っていた。
しばらくして雪が学校から出てくるのを見つけたので雪を呼んだが、雪はちらっとこちらを見たがすぐに目をそらして、歩きだした。
俺は、ひるまずに無視する雪の腕を掴んで、呼び止めた。
『雪!待ってくれ。大事な話があるんだ。』
すると、雪はハッとした表情をして、ようやく相づちをうってくれた。
『わかった。』
それから、そのまま二人で歩きだしたが、しばらくは、無言で歩いていた。そしてその途中に誰もいない公園があったので、その公園のベンチに座って話す事にした。
それは、夕方の夕陽がちょうど綺麗に見える時間帯のことだった。
『で、話ってなに?』
『あ、うん、、、。』
『話がないなら、私帰るよ。』
と雪がベンチから立とうとしたその瞬間、俺は、反射的に雪の腕を掴んで、反射的に叫んでいた。
『雪、お前の事が好きだ!』
そういうと、雪は顔を向こう側に向けたまま、しばらく、立ち尽くしたままだった。
俺は何が起こったのか分からず、雪の腕を少し引いて、雪の顔を覗き込んだ。
雪は涙を流していた。その涙の訳を考え始めようとしたその時、雪が微かな声で俺に目を合わせられないまま、言った。
『私も、、だよ。』
俺はその言葉を耳にした途端、堪らなくなって、雪を強く抱きしめた。
それから俺たちは、すれ違った時間を埋めていくかの様に、しばらくの間、抱き合っていた。
そしてその帰り道、雪が今まで、なぜ俺を避けていたのか、それだけが分からなかったので聞いた。
雪は少し恥ずかしそうにしながら、話し始めた。
『クラスのみんなの前で冷やかされた時、私にはもっとふさわしい男がいるって言ったでしょ?そう言った次の日、一樹は私の家に来て、真剣な表情をして、こう言うと思ったんだ。『俺がお前の近くにいるせいで、お前があんなに冷やかされるなら、お前と少し距離置いた方がいいな。』って
。でも私にとっては一樹が私から離れていくこと程、辛いことは無くて、そう言われるのが怖くて避けてたの。一樹、昔から優しいから。』
(ごめん、俺は、、一樹じゃないし、そんな良いやつでもない。)そう思ったが、真っ直ぐに想いを伝えたのは紛れもなく、一樹ではなく俺自身だから、俺は答えた。
『でも違っただろ?』
そういうと、雪は、満面の笑みを浮かべた。
その笑顔が夕陽に照らされて、より一層、美しく見えたのだった。
次回、え?ってなるような展開が待っています。
きっと、、、。