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hmsstpy  作者: ゆりえ
後編 第2章 消滅と共存
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第1話

異空間に囚われたマキシム(未来の雄馬)を救出するために、一か八か、DSTD(異空間移転装置)を使って雄馬は救出に向かった。その異空間でマキシムを見つけたものの、どうしたらいいのか路頭に迷っていると、今まで雄馬がDSTDを使って行った過去の世界の過去の自分自身とその時の風景がその空間に映し出された。その中でも、雄馬が自分で汚点に思っていた、過去が映し出され、それを見て押しつぶされそうになっていた雄馬をマキシムが言葉で救った。

救われた雄馬の心が穏やかになると、マキシムの姿もその世界も消えてしまい、雄馬は元の世界に戻っていた。消えたマキシムは一体どうなってしまったのか?

「もしもし雄馬くん?ありがとう、あなたのお陰でマキシム、こっちの世界に戻って来たわ。本当にありがとう。」


「いえ、かえって僕の方が救われた気がしています。今、おっさんは?」


「ええ、向こうの世界に長い間留まっていたせいか、帰ってきて安心してどっと疲れが出てたみたいで、さっき眠ったわ。」


「そうですか、、。おっさんが目を覚ましたら僕に連絡をくれるように伝えておいてもらえますか?


「ええ、良いけれど、どうしたの?」


「こうして、過去と未来の自分同士、つまり、おっさんと俺が存在を認識し合えば、おっさんが消滅すると言われていたから今まで色々と俺に話せなかったわけですよね?

でも消滅することはないと証明された今、これ以上あなた達の知っていることを俺達に隠す必要が無くなった、ということですよね?だから、あなた達の知っていることは全て、聞いておきたいと思ったんです。それから、、、ナンシーさんは、未来の神菜ですよね?ケイシーさんは未来の仲田、違いますか?」


「ええそうよ、その通り。そうね、もう隠す必要は無くなったのだから、全て話しましょう。」


「ありがとうございます。それから、、こっちの世界の神菜や仲田にもその話を聞かせたいと思ってるんですが、それでも良いですか?」


「ええ、分かったわ。じゃあまた数日後に、マキシムが目を覚ましたら、こちらから連絡するわね。


「はい、待っています。」


電話が切れると俺は、日時を確認したが、DSTDを使って異世界に行って帰ってくるまで、数時間だけしか経っていなかった。


そうして、俺は元の世界に戻るなり、仲田を探し、異世界であった出来事や、さっきナンシーと話したことを全て話した。


「未来の僕達のことはともかく、DSTDのことを神菜ちゃんにも話してしまって良いんですか?」


「ああ。もうマキシム達と、俺達全員が関わっていくことになれば、神菜にだけ隠しておいても、気付かれるのは時間の問題だろう。それにDSTDを発明したのは、どうやら、未来の神菜みたいでな

。」


「そうだったんですか?そうなると、、確かに時間の問題ですね。」


「ああ、だから今後これ以上隠しておいても、お互いの為にもなににもならない。神菜に全てを話すよ。」


「分かりました。俺、神菜ちゃん、呼んできますんで、雄馬さんはここで待っててください。」


そういうと仲田は神菜を探しに部屋から出て行った。







「お、いたいた!神菜ちゃーん!」


「仲田さん、そんな慌ててどうしたんですか?」


「そ、そう?そんなに慌ててないけど、、ちょっと話があってね。」


「そうですか、、どんな話ですか?」


「うん、俺からというより雄馬さんから大事な話があるから、今からちょっと来てほしいんだけど、来れる?」


「ちょうど今、資料をまとめるのが終わって一段落ついた所だったので、行けます、どんなお話ですか?」


「今、俺の口からは話せないんだけど、でも話を聞く前に、これだけは言っておきたいんだ。雄馬さんは、君のことを想っていたからこその判断だったんだ。だから、話を聞いても雄馬さんを責めないで欲しいんだ。」


「はい。、、と言われてもなんの話か分からないので、とりあえず、雄馬の話を聞いてみますね。」


「う、うん、、分かったよ。」





仲田が部屋に神菜を連れて戻ってきたが、なんとなく仲田がうな垂れた様子に見えた。


そして、神菜が口を開いた。


「話しって何?仲田さんから、とても大事な話だって聞いたけど。」


「うん。話しが長くなるから、二人とも、まずはそこの椅子に腰を掛けて聞いてくれないか。」


二人が椅子に座ると俺は、ことの始まりから話し始めた。


「今から七年前、俺達三人が同じバイト先で働いていた時の事だった。まだ俺達は、互いのことをよく知らず、今みたいに三人一緒に大科学者になろうなんて想像もしていなかったある日の事だった。バイトの帰り道であるものを拾ったんだ。それが全ての始まりだった。」


「あるものって何?」


「見かけは普通のガラパゴス携帯だ。その携帯を手に持った瞬間に電話が掛かってきて、その電話は伝言メッセージのような音声だった。そのメッセージによると、相手は俺のことを知っているようで

、その携帯電話を俺に届ける為に道端に落としたらしく、その携帯を使えと俺に指示をしてきたんだ

。その指示が携帯の1を押せということだった。」


「それって、、、すごい怪しくない?普通に考えたら警察に届けた方が、、」


「それも考えたんだが、、その拾った携帯に掛かってきた相手の電話番号が、俺が元々持っている携帯電話の番号だったんだ。だから慌てて自分の携帯を見たんだけど、誰にも通話になってないし、もしかしたら、何かの事件に巻き込まれたのかもとも思ったけど、あの時の俺は、何にもなくて、将来の夢は愚か、とにかくなんにもなくて、けど、そんな自分が嫌で変わりたくて、なんでもいいから何かないかと思ってた時、ちょうど、その携帯を拾ったんだ。あの時の俺はとにかく、なんでも良いから刺激が欲しくて何か自分の力で自分だけの世界で何かを成したい、ただそう思っていた。そしたら無意識に、携帯の1を押してたんだ。でも何も起こらなくて、そのまま寝てしまったんだけど、目を覚ますと、俺は異世界に行っていたんだ。」


「それって、夢じゃないの?」


「俺も最初はそう思ったんだ。でも夢じゃないことを証明することが次々と起こって。」


「そっか、どんな世界に行ったの?」


「そ、それは、、追々話すから、話を進めても良いかな?」


「そう、分かったわ。」


「それから今日に至るまでに1~6までの携帯の番号を押して、6つの異世界に行ってきた。その6つの異世界で色々な試練が俺の前に立ちはだかって、その途中その途中で、その携帯電話の送り主から、何度も電話が掛かってきて、その度に、電話の相手は、時に優しく、時に厳しく、その試練を乗り越えていく為のアドバイスを俺にし続けた。

そんな日々の中で、俺はその不思議な携帯のことや、電話を掛けてくる相手の事で疑問に思うことが沢山出てきたんだ。

この携帯は誰が作ったもので、何という装置なのか?なんの為に作られて、どのような仕組みでその異世界は創られているのか?なぜ俺でなければならなかったのか、なんの為に俺はその試練のようなことをし続けなければならないのか?そして、電話の相手は何者で、なぜ俺のことを知っているのか

?俺は全てが知りたくなって、電話の相手に問い続けたが、教えてはいけない理由があるようでしばらくは何も教えてもらうことができなかった。だけど今日、その教えてはいけない理由が完全になくなったんだ。

そして、そのタイミングで、神菜にも全て話そうと決めたんだ。今まで黙っていて、すまなかった。


「ううん、いいの、むしろ話してくれてありがとう。それで、その相手に抱く雄馬の疑問の答えはどんな答えだったの?」


「まずはこれを見てくれないか?」


そう言って、DSTDを神菜に出して見せた。


「これが今話した、異世界に行くことの出来る装置だ。この装置の名称が「Different space transfer device」(異空間移転装置)の略称「DSTD」と彼らは呼んでいるらしい。

このDSTDを用いてできることは、一番最初にDSTDを使いインプットされた人物だけが、想像する世界、過去、または、インプットされた人物が通る可能性がある未来に行くことができるという装置だと聞いている。だが今日、DSTDを使った際に、それ以外のことも可能であろう事が起こったんだ。その出来事がなぜ起こったのかを、DSTDを俺に送ってきた彼らに確認したいのと、できることなら今後のあらゆる研究を、彼らと情報の共有をし合ってやっていきたいと思っているんだ。


「彼らって、、一人じゃないの?それに、、そんなよく分からない人達と一緒に研究をしていくだなんて言われても、、無理よ、、。」


「それがよく知らない人達じゃないんだ。実は、彼らの正体は、未来の俺達なんだ。」


「え、、まさか、そんな、、未来の私達?」


「ああ、そうなんだよ。未来の俺達と言っても、俺達とは違った人生を辿った、俺達なんだけどね。それで、彼らがDSTDを発明してから今日に至るまで、彼らと俺らが互いの存在を認識し合うと彼らの存在自体が消滅してしまうとされていたみたいなんだけど、ついさっき、消滅しないってことが証明される出来事が起こったんだ。それが、彼らが俺に色々な情報を隠していた理由になってたってわけ。」


「そっかぁなるほど、、じゃあ、DSTDを作ったのも、私達だっていうこと?」


「うん、だけど、正しくは未来の神菜、君が一人で発明したみたいなんだ。」


「私が?なんの為に?」


「ちょっと話がややこしくなるけど、以前DSTDを使って、彼らの人生、、つまり俺達とは違った人生を辿った俺達の未来を途中まで見てきたんだ。そこでは、俺達は世界で最も優秀な研究チームとされていて、ある日、政府に、地球上の全人類を乗せられる規模の宇宙船を造って欲しいと依頼を受けたけど、それには期限があって、俺達はその期限に間に合わせることができず、人類の一部だけしか乗せることができない規模の宇宙船で、人類の一部だけを乗せて、初離陸することとなった。」


「でも、なんの為にそれだけの人を乗せる宇宙船が必要だったの?」


「政府のお偉いさん達の話しによると、元々、政府のお偉いさん達と、地球の外で暮らしている人物達、つまり宇宙人との交流があったようで、俺達地球人よりも遥かに発達した彼らの科学技術を提供してくれる代わりに、彼らが人類と共に暮らすことを承諾して欲しいとの話があったらしく、政府はその科学技術に魅せられ、人類の意思を確認する前に、すぐに彼らとの交渉に期限を提示して、先に承諾した。その後に、俺達に宇宙船を作るよう命じたのだと思う。だが、とてつもなくその規模の宇宙船を造るには時間が足りなかった。宇宙船の初離陸の日ギリギリまで政府も俺達も人類にそのことを明かさなかった。情報による世の中のパニックを避ける為に。だが実際に人類が宇宙人と共存し始めた際に人類がパニックに陥ることを想定し、一時移住や他の星に移住したい人を移動させる手段として、俺達に巨大な宇宙船を造るよう命じたものの、その依頼を俺達がこなすことができなかったのは事実だった。その結果、地球は大パニックとなり、戦争や反乱が繰り返される結果となってしまった。少し物事の順序を間違えただけでだ。未来の神菜は、とても後悔をした。こうなることをもう少し早く知っていて、自分たちがもっと早く宇宙船を造り始めるか、何か別の方法を生み出すかどうにかしていれば、傷つく人達ももっと少なかったんじゃないか、、と後悔した神菜は、過去の自分達にもっと成長や情報を促し、伝える為にDSTDを発明したらしい。本当はきっと、神菜がDSTDを使うと考えていたのだろうが、多分、そんな装置があったら、俺が真っ先に飛びつくことを想定して俺に譲ってくれたんだと思う。

ただ一つ、この装置には欠陥がある。だが未来の神菜がこれを発明して俺にDSTDの説明を話した時に、その欠陥の話をしていなかったんだ。おそらくその時は、その欠陥に気が付いていなかったんだと思う。」


「欠陥って、どんな?」


「DSTDを使用した者の寿命が縮むってことだよ。そのことを聞いたのは、DSTDを使って少し時間が経ってから、未来の俺に聞いたんだ。」


「そんな、、それじゃあ私のせいで、DSTDを使うたびに雄馬の寿命が縮んでいってるってこと?


「嘘はつきたくはないから、正直に話すとそういうことになるけど、それを知っても、尚、俺はDSTDを使い続けている。だから結果的には俺が選んでやってるってことになる。」


「なに言ってるの?全部私のせいじゃない!どうして、使い続けるの?もう使わないで!これ以上雄馬の寿命を縮めないで!」


「君ならそう言うと思ったよ。でも俺は、君の発明で救われたんだ。なんの取り柄も無かった俺に、君が道しるべをくれたんだ。だからむしろとても感謝しているんだよ。」


「仲田さんもこのこと、知ってたんですか?」


「うん、知ってたよ。黙っててごめん。」


「知ってたのにどうして!?、、、私は、雄馬の寿命が縮むくらいなら、この世界がどうなたって構わない。だから、もうDSTDを使わないで!使わないと、今、ここで、誓って!」


「それはできない。」


「嫌だよ、、どうして、雄馬が、、私が使っていれば良かったのにどうして、、」


神菜はその場で泣き崩れた。


俺は泣き崩れた神菜を思わず抱きしめた。


「神菜を泣かせるような結果になってごめん。でもそんなDSTDの欠陥に負けないくらい、俺、図太く生きてみせるから、だからそんな悲しいこと言うなよ。俺、神菜の笑ってる顔が一番好きだからさ。」


そう言うと、神菜は、より激しく、大声をあげて泣いてしまった。だが、俺は神菜が泣き止むまで、ずっと、神菜を抱きしめていた。


しばらくしてようやく神菜も正気を取り戻し、まともに話せる状態になり、落ち着いた様子になった。すると、ほとんど黙って話を聞いていた仲田が重い口を開いた。


「あのぅ、、神菜ちゃんが泣き止んだのは、その、本当の本当に良かったんですけどね、、その、、お二人さん、俺がいること忘れてない?」


仲田にそう言われて、俺と神菜は抱きしめ合っていた腕と腕をとっさに解いた。少しの間、別の緊張感がその場を包み込んだ。


「ま、いいんですけどねぇ~、、。じゃあ、話しもまとまったみたいだし、、、次の話にいきましょうか!それで雄馬さん、これからどうするんですか?」


「ああ、これからな!実は、さっき向こうの世界の神菜と話していたんだが、とりあえず向こうからの連絡待ちということになった。それで、まずは、向こうの世界の俺らと、こっちの世界の俺らとで、話しがしたいと思ってるんだ。だがら、連絡が来た時、話し合いになると思う。二人とも、それでいいか?」


二人は頷き、マキシムから連絡が来るまで、数週間の時が穏やかに流れていった。


今まで雄馬は、DSTDの存在やそれに関わる全てのことを何一つ神菜に話すことがなかったが、ついに全てを打ち明け、今後はマキシム達と共に、未来の世界を救っていこうと考えを固めた。

がしかし、果たして、マキシム達はどう応えるのだろうか?!

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