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知ってると思っている事

 結局この二人は私に何を言いたくて何をしたいんだろう。早く教室に戻らないとウエダが待っているはず。

 というよりササキさんとハルノさんが私と一緒に教室に戻ったら、すごい勢いで観察されないかな、ウエダといる所を。

 

 意を決して聞いてみる。「あの、ごめん。私、結局…なんで呼ばれたのかな?」

「たぶん明日が合宿じゃなかったら呼ばなかったんだよ」とササキさんは言った。「カミカミの班、すんごい面白そうなんだもん。ミラクルだよね。ウエダ君とウエダ君が好きなカミカミと、カミカミが気にしてるタケノシタと、ウエダ君と付き合いたいカリヤさんがいて。ほんと羨ましい。私も同じ班だったらっていう妄想を何通りもしたら楽しくて。たぶん私、自分の班そっちのけでカミカミの班の動静伺うと思う」

 それは止めて欲しい。

「黙って見てるのが良いってササちゃんは言うだけどさ、」ハルノさんがササキさんを優しい目で見て言う。「私はカミカミには言ってみた方がいいんじゃないのって言ったの。知りたかったんだよね。カミカミが今どんな気持ちでいるのか、やっぱ天然ぶってんのか、ど恥ずかしい小悪魔気どりなのか本人の口から聞きたかったんだよ」



『天然』はまあ許すとして、『小悪魔』とかマジで使わないで欲しいな。そんな言葉、聞いてるだけで恥ずかしくなる。

 …わ、なんか鳥肌立って来たんだけど…


 「つまりはね」とハルノさんが続けた。「ウエダ君の好意に気付かないふりをしたり、イマイさんが同性でも自分の事を好きだって事も知りながらあしらって、ちょっと担任もいいなと思いつつ、他校に彼女にいるタケノシタを好きでいることなんか、私たちは全部知ってるよって言いたかったの!それで、そういうのを全部わかってやってんのかって聞きたかったんだよ。なんかもう我慢できなかったの、ごめんね!」

うわ~~~もう!ハルノさん…すごいな。

「二人とも私にぶっちゃけ過ぎじゃないのかな」と言ってみた。

「「ハハハ」」と二人が嬉しそうに笑う。

「そうなんだよね~~」とササキさん。「それで私たちがカミカミにこんな話をした事によって、どんな作用が起こるか確かめたい気持ちが大きくなり過ぎて」

 どうなの?みたいな感じで二人が私の顔を覗き込む。



 どんな作用も起こさないよ。

 ウエダが私を気になるって言ってから私もウエダの事は気になったし、本気さの程度はまだ疑ってるけどアキラが私の事を好きな事も知ってるし、水本の事もいいなと思っていたけど、髪の毛の事もあるから普通以上には関わらないようにしようと思いなおしたし、タケノシタ君は彼女と別れたのを私は知ってるし。

「私…ウエダ君から、1回も好きだなんて言われてないから」二人を睨みながら言う。

「でも」ハルノさんが淡々と答えた。「そんなの関係ないの。ウエダ君はカミカミの事好きだから」


 ううん、とそれでも私は首を振ってみせた。この二人が知ってると思ってる事は実際の事とは違うのだ。

 でもきっと、これからずっと見られてる感が抜けないと思うな…こいつら、余計な事をわざわざ話しやがって…



「わかった」と私は出来るだけきっぱりとした口調で言った。

もうここから切り上げるためだ。

「でも私今までとなんにも変わらないと思うから」

 それは嘘だ。これからササキさんとハルノさんの目が気になるに決まってる。もちろんタカノさん達の事も。

 めんどくさいなもう~~呼び出しに応じなかったら良かった。アキラ連れて来れば良かった。

 じゃあ、と言って教室に戻る。が、そこにウエダはいなかった。



 いないじゃん、と思う。ちょっと時間かかったしな…やっぱ帰ったのかも。何だったんだろうウエダの用事。

気になる。そりゃ気になるに決まってる。タカノチームにもササキチームにもウエダが私の事を好きだと決めつけられて。

あ~~…でも気にしない!気にしてるのをササキさん達にバレるのが嫌。気にさせるために私に話してきたんだから意地でも気にしない。

水本先生に呼ばれたアキラ達も、もう帰ったのかな、鞄がないけど、鞄も持って行ってたのかもしれない。


 アキラは私が口きかないって言った事、全然気にならないんだろうか。今朝も普通に挨拶して来たけど、その後は何も言ってこなかった。



 …ま、いいか、帰ろう。いろいろ気になってイライラするからもう帰ろう。

 それなのに、帰ろうと教室を出たばかりの所で後ろから呼ばれた。

「カミバヤシ!」

ビックリした。ウエダだった。

「お前どこ行こうとしてんの?てか帰ろうとしてたろ?…オレ待っとくって言ったよな?聞いてなかったの?」

「だって教室にいなかったから」

なんかウエダの顔を見るのが恥ずかしい。ダメだ意識してしまう。

「ちょっとも待ってみようとか思わねぇの?」

私をなじるウエダから目を反らしてしながら答えた。「遅かったから帰ったかと思ったんだよ。それで…なに?」

「じゃあ帰りながら話す」

一緒に帰るの?

「お前…」ウエダがムッとする。「今『一緒に帰るの?』って思ったろ?」

思った!何でわかんの?

「今『なんでわかんの?』って顔してたけど」

当てないでくれないかな!自分の顔がもの酷く赤くなっているのがわかるので下を向いてしまった。




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