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アキラとお出かけ

 が、アキラはその後何事もなかったかのように普通に私に接してきた。

 放課後も途中まで一緒に帰ったし、もう下手に私を好きだとかも言わなかったし、その上土曜にはアキラと一緒に合宿で使う雑多なものを買いに行く約束もした。  

 学校帰りに一緒に遠回りして寄り道をした事があるが、土日に約束して会うのが実は初めてなのだ。なんだかとても嬉しい。

「あんまり誰かと買い物に行ったりはしないんだけどね」、とアキラは言った。

まぁそんな感じはしたけど。それでも誘ってきたのはアキラの方だった。

 それでも、「デートだね」とアキラは言った。

「あ~まぁデートだね!初デート」と私は答える。

彼氏いないもん同士。

「いつもどんな服着るの?」とアキラが聞く。

そうなのだ。私たちはまだ、お互いの私服も見た事がない。

「普通だと思うけど」と答える私。「アキラこそ、いつもどんな服着るの?」

「普通」



 そして土曜日約束の駅前に現れたアキラはショートパンツ姿だった。ジーンズを自分で切ったやつ。

 ショートパンツ!すごく綺麗な足!上は紺色のサテンぽいふわっとしたブラウスと黒のカーディガンを着ていた。

 綺麗だな~~私も女だけど触りたいと思える本当に綺麗な脚。

 私は膝上5センチくらいのひらひらの、白地に緑色のリンゴの模様が散ったスカート。私は…まぁまぁの足。ひいき目に見てだけど。そして麻混のベージュグレーのセーター。

 「かわいいね」とアキラが言った。

「そんなのアキラこそだよ!結構びっくりしたよショートパンツ」

「かわいいよジュン」

「まぁ…私もこのスカートの柄気に入ってるんだ」

「違うよ。スカートも可愛いけど、それ履いてるジュンが可愛いんだって」

なんだろうこの無謀な褒め合い。私はまじまじとアキラを見て、それから思い切り睨んで言った。

「何言ってんの?」多少本気のキレ気味だ。「可愛いのはアキラじゃん。アキラに言われても現実味わかないよもう!でもすごいね。ほんと綺麗な足。超キュートだよ。そんなに出してると痴漢に遭うよ?私知らないからね」

「私一遍も痴漢に遭った事ないよ。遭ってもたぶん護身術で勝てる」

 ほんとかな。私でさえ1回電車でどさくさにパッと胸を触られた事があるのに。



 アキラに人の目が集まる。特に同じくらいの歳の男の子たちがチラチラとアキラの顔と脚を見ていく。なんかただで見せるのがもったいない気がしてくる。

 そして隣にいる私も、隣にいるって事で一瞥される。なんかすごく嫌だな。アキラの後に見られるのが。そしてその目はまたアキラに戻るんだけど。

 ほんとにモデルみたいだなアキラ。

 そして待ち合わせの駅からバス乗り場で、校外のショッピングモール行きのバスを待つ途中、チャラそうな大学生ぽい3人組にナンパされた。みんなアキラ目当てだと思うが、アキラが無視しているので私に声がかかる。

「ねぇこれから一緒にごはん行かない?」

「いえ」

「え~~一緒行こうよ?隣の彼女も行くように言ってよ?彼女すんげぇ綺麗な脚。こんな綺麗な生脚初めて見たわオレ」

今嫌だっつったろ?そしてアキラの脚を見んな!と思うが相手がいくつか年上だし3人なので、そうは言えない。

 アキラみたいな美少女を簡単に誘えると思うなよ?



 穏便に断ってこの場を速攻で去ろうと思った矢先、「無理」と一言アキラがはっきりと言った。「今デート中だから」

「デート?誰か来んの?」3人の中の、長めの茶髪で右耳だけ大きなクリップみたいなピアスをつけた一番チャラそうな男が聞いた。

「私ら二人デート中だから」アキラが答える。

「二人で?」3人の中の一番背の高いヤツがバカにしたように笑いながら聞く。

「そう」またきっぱり答えて、笑ったそいつをじっと見返すアキラ。

 そして答えたアキラに対して、あろう事か「めんどくさ」と心の中で思う私。ここはやんわりと、それでも有無を言わせないように断りながらフェードアウトが正解なんだよアキラ。ムキになったら面倒くさいんだから。見かけが大人っぽいわりにはこういうところが、子供っぽいんだよねこの子。



 私はアキラの手を掴んでもう何も言わせないようにぎゅっと握る。そして3人にニッコリ笑いながら言った。

「すみません声をかけてもらったのに。急いでるんで失礼します。ありがとうございましたぁ」

 3人中一人も私の笑顔なんて望んでないとは思ったが、思い切りにっこり笑って小さく手を振ると、そのままアキラの手を引いて駅裏のバスのロータリーへ急いだ。

 そして急ぎながらアキラを叱る。

「あんな風に言ったらダメ」

「ありがとうなんて言う必要全くないじゃん!」アキラはアキラで私に怒る。

「いいの、あそこを丸く収めてその場をさっさと去るために必要なの」

「あいつら」とアキラが苦々しく言う。「ジュンに超気軽に声かけやがって」

「私にじゃないよ!アキラ目当てなの!そんなカッコしてるし」

「私一人で歩いても誰も声かけて来ないよ。いつもこんなカッコだけど。はじめてだよナンパされたの」

「いつもこんなかっこなの!?」問題ありだな全く。「どっかに拉致されるよ、止めなって」



 「ジュンこそ。あんなやつらに声かけられてもさっきみたいに優しげに答えたり、ついてったりしたら絶対ダメだからね」

 アキラがむきになってそういうのがおかしい。「だってアキラが一緒じゃなきゃ声かけられてないって。一人の時に声かけられてないのは綺麗過ぎて声かけられないんだよ。今日はたぶん私いたからもしかしたら一緒についてくるかな~~って思って声かけて来たんだよ」

 ちっ!、とアキラが大きく舌打ちした。「せっかくの初デートに邪魔が入った」



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