班長はタケノシタ君
ハセガワ君以外の5人で何回かのじゃんけんの後、結局班長はタケノシタ君に決まり。
「え~~そうか、オレかぁ…」タケノシタ君が少し困ったように、それでも嫌な感じを全く出さずに言うのがとても良い感じだ。
「オレ、いい加減なやつだから、ちょいちょい大事な事とか忘れて迷惑かけるかもしれないから、みんな気を付けといてよ。よろしくね」
社交的で結構きちんとしてるのに、「いい加減なやつ」って自分の事を言っても嫌味にならないところが、いいなぁ。 あぁなんだ、きっちりもしてるけど、そんな風に、手を抜きますよ、って言っちゃったりもするんだね、でもそんな感じがみんなに好感をもたれて、ちゃんとまとめる事ができるんだよって素直に思えてしまう。
5人を見まわしてそう言ったタケノシタ君と目が合うと、今まで一方的にチラ見してただけで、目が合う事なんてなかったから、なんか新鮮な感じ。 やっぱ爽やかだよね~~。コメントも卒がないし。
そう思っているとカリヤさんがにこにこしながら言った。「タケノシタ君、みんなの意見聞いてまとめるのとかすごくうまそうだよ~~」
「マジで」と、パッと笑顔になって答えるタケノシタ君。「嬉しいな、ありがと」
…あれ、一瞬私の腹に薄黒いモノが…
私だってそう思ってたのにタケノシタ君!
口に出せずにただチラ見する自分が、すぐ可愛いい事を口にできるカリヤさんの事を、羨ましいではなく疎ましいと思ってしまったのだ。
心狭いなぁ…まぁでも、こんなもんだよね!だって私、普通のネガティブ系女子だから。
顔合わせと班長決めが終わって、それぞれでこの間配られたプリントを見ながら当日の日程を確認する。オリエンテーリング形式で自然歩道を歩いたり、どこかの大学の先生から自然環境についての講義を受けたあとで、班でまとめてレポートを書いたり…
なんかでも…と周りの子たちをチラッと見ながら思ってしまう。
なんか、やりにくい班だな…。
ウエダに対するカリヤさんの動きも気になるし、私を見るイケダユリちゃんの目も気になるし、タケノシタ君とこれだけ近くにいたらやっぱり嬉しいし。
それぞれの班の班長が呼ばれて、タケノシタ君が行ってしまうと後ろからボソッと声がした。
「やっぱ嬉しいんじゃん」
あ、と思う。ヤバい。今タケノシタ君をめっちゃ見てた。
「カミバヤシとウエダ」とハセガワ君に急に言われてびくっとする。
「確かくじ作ったの二人だったよね?一緒にくじ作って、そのくじで同じ班て、なんかすごいって言うか…一緒になりたかったの?」
ハセガワ君がそんな突っ込みしてくるとか…
「偶然」とウエダがぼそっと答えた。
「うん、そう!」と私も便乗したがビミョーな表情のカリヤさんと目が合って気まずい。
「へ~~」とハセガワ君が、納得したのかしてないのかあやふやな返事だ。「やっぱすごいかも。まぁいいや」
ホームルームが終わってカリヤさんが、ウエダの隣の席を離れるのが名残惜しいのか、班が一緒になれていかに嬉しかったかをウエダに話し始めた。
「くじにしようって、勇気振り絞って提案して本当に良かった!」と言ったところで、ガタっとウエダが席を立ち教室を出ていく。
まぁね~、他の人にも聞こえるように言われたら、ちょっと嫌かもね。相手の事を好きじゃなかったら。それでもカリヤさんはカリヤさんで、ウエダの事をいいなって思ってる他の女子に、あからさまな差を付けるつもりもあったのかも、と深読みする私。
私も掃除の場所に行こうとするところへヤスカワとコバシがやって来た。
ウエダがいないのに?と思ったら私の横に立った。
「なぁなぁ」とヤスカワが私に言う。「くじ、ってウエダがやっぱなんか細工したとか思わないの?」
「…」
くじに疑惑持たれるの何人目だ?
「カミバヤシ」とコバシがこそっと言う。「あのあとちゃんとウエダに告られた?」
「…」
「まだ付き合わないの?」とヤスカワ。
「…あのね、ウエダ君は私の事好きとかじゃないよ。前にヤスカワ君たちにも言ってたじゃん。告ったりしないって。ここ1週間くらいほとんど喋ってないし。…ヤスカワ君たち、なんでそんな事言うの?」
「だってウエダが好きだって言ってたから。カミバヤシの事」




