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君に捧げる天からの極意  作者: さいとう一行(かずゆき)


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3/3

声が動き出した日常をカタチに

「重いものは下! スピード感も忘れずにっ!」

翌日からの倉庫には、俺の小さな掛け声が響いていた。

先輩から教わった極意を、俺はただ「分かったまま」にはしなかった。伝票を睨みつけ、棚へ走り出す前に一瞬、頭の中で強烈にイメージする。商品の大きさ、形、長さ、重さ、個数……。これから出会う立体パズルのピースを頭の中で組み立て、瞬時に積み込みの順番と配置を弾き出す。これこそが、プロの「段取り」の第一歩だ。

「幅の狭い重量物……よし、ここはあえて少し隙間を空ける!」

声に出すたび、迷いが消えて体が動く。横目で先輩の無駄のない安全な動きを盗み見しながら、必死にその背中を追いかけた。最初はチグハグだったカゴ台車が、日を追うごとに、俺のイメージ通りに美しく、頑丈に組み上がっていく。

それは、誰に与えられたものでもない、自分の頭と体で掴み出した「小さな成功」の積み重ねだった。

そんなある日の仕事上がり、事務所のデスクに一枚のファクスが届いていた。

荷物を受け取った現地のスタッフからのものだった。

『今日の便は、カテゴリーごとに綺麗に並んでいて本当に助かりました。降ろすのがすごく楽でした。ありがとう』

胸の奥が、じわっと熱くなる。

自分の作ったあのパズルが、遠く離れた誰かの笑顔に繋がっている。

呆然としている俺の肩を、あのドライバーさんがポンと叩いた。

「おい、今日の台車、完璧だったぞ。トラックがどれだけ揺れても微動だにしなかった。……ありがとな、助かったよ」

ニカッと笑うドライバーさんの向こうで、先輩が我が事のように嬉そうに小さく頷いていた。

「分からないまま」を置き去りにせず、プライドを捨てて「真似て、覚えて、実践して、形にする」。

そうして必死に汗を流した先には、ただの作業が「誇れる仕事」に変わる瞬間が待っていた。

俺はもう、薄暗い倉庫の中で迷ってなんかいない。天窓から差し込む光を浴びながら、明日もまた、誰かのための完璧な一行を組み上げてみせる。

(作品・完結)

社会経験を学び出す学生と私の家族に捧ぐ小説で私がこれまでの社会経験の中で感じて諦めたり、悔しかったりしたことを1つの職場にフォーカスして、簡単に一度決めて働きたいと感じた職業を変えないで続けていくにはの想いを込めた作品に仕上げました。

みんな最初は出来ない、だけど…出来る。小さな成功の先に明るい声と周りの評価はついてくる。もしかすると…行き詰まった時にこの一冊がヒントにならないかな?の想いを込めています。見て真似て実践して、修正して、盗み見て、分かったままをやめる。動いて声に出して脳内にも響かせる。

百聞は一見にしかず、続きもある百見は一考にしかず、百考は一行にしかず。聞いて見て考えて行動に移せば見える世界が変わるんだと作品の裏側に秘めている。羽ばたけ新社会人。

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