表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
二人は神の力を 無色の緋  作者: 夕雲 橙
本文~現代
PR
3/28

一 始動

読んで頂きありがとうございます。

主人公 御裏おとぎうら みことが登場です。

学校に行こうとして異変に出逢います。

少しでも楽しんで頂けたら、自分もこの子達も幸いです^^

「グッドモーニング。さあ、お便り一枚目はペンネームのりっこさんから……」

 朝の6時。ラジオから『おはようテンション』という番組が、聞きなれたBGMと共にテンションの高い男の声で流れる。

 御裏おとぎうら みことは目を覚まし、ぼやけた頭から霧を追い払うように頭を振った。

 目覚めと同時に、頭の中で軽い爆発に似た感覚。

 激しく脳を揺さぶられるような衝撃を感じ、脊椎に振動が響く。

 細胞が焼ける焦げ臭さが鼻の中に漂う。

 頭を振ると、首の後ろから後頭部にかけてを思わず手でなぞる。

「ふぅ……いい目覚め……あれ、俺ラジオ付けたまま寝たのか?」

 恐らくは本人だけが感じるであろう、脳を破壊される違和感。

 何年も前から頻繁に発生し、感触を感じるだけで、実際には肉体に異常が発生していないと理解していた。

 しかし何度経験しても、脳みその中で爆竹を鳴らすような、命の危機を覚える感触には、いつまでたっても慣れることが出来ない。

「私の恥ずかしい話。昔からつい最近までずっと『ねぼけまなこ』の事を『ねぼけなまこ』だと思っていました。最近、友人に話したら大笑いされて……」

 ラジオから流れる、お便りを読み上げる声に御裏は独り言のように突っ込みを入れる。

「あぁ、分かる分かる……って、そんな訳ないだろ。なまこが寝るのかよ、それ以前にねぼけようにも目が無いって」

 起き上がりカーテンを開けると、眩しい朝日が差し込んだ。

 今日は快晴。学年が変わり春の時期、衣替え前の制服は少し暑い。

 薄い下着を着て行こう。そんな事を考え、思いっきり背伸びをした。


 ラジオに一瞬だけノイズが混じる。

 スイッチを切ろうと手を伸ばし、異変に気づき押しかけた指を止めた。

「さあ、お便り一枚目はペンネームのりっこさんから。私の恥ずかしい話……」

 先ほどと全く同じ放送が、巻き戻して再生されたかのようにラジオから流れる。

「ふぅん」

 御裏は眠たい目をこすり、唇を尖らして呟く。

「同じネタを何度も聞いても面白くないな。今日は無事に学校に行けるかな……」

 ため息と共にラジオを切る。

「やっぱり俺の頭、どこか故障しているのかな」

 二階にある自分の部屋を出て、廊下を進み階段を降りた。

 一階では朝ごはんを用意していた母親が、テーブルの端に座りパンに手を伸ばした御裏に話しかける。

「さあ、お、便り一、枚目は……」

「はいはい」

 ラジオと同じ台詞を吐いた母親が眉間に皺を寄せ、再び口を開き、お便りの続きを妙なテンポと区切りで話す。

 母親が実際には「おはよう」とか「ちゃんと聞きなさい」もしくは、「忘れ物は?」等といった日常会話を話し、自分だけが違うように聞こえていることを御裏は知っている。

 俺やっぱり変な病気かな?

 考えながらパンと目玉焼きと野菜を茹でた朝食を食べ終える。コーヒーを飲み、ラジオと化した母親に行ってきますと告げて外に出る。

 通りすがりの会社員だろう、スーツ姿の男性が携帯で話している内容もラジオと同じ。自転車に乗り後ろから追い越して走り去る、大学生とおぼしき二人組もラジオと同じ会話を交わしていた。

 ゴミ捨て場を漁っていたカラスが、ラジオ放送の声で鳴きながら飛んで逃げた。

「おおー新鮮、そんで新しい発見だ」

 ラジオの声だが、テンポはいつものカァーカァーだった。

 あまり違和感が無く、カラスはカラスだと分かる鳴き方に感心して、飛び去るカラスを眺めていた。


 普通に歩いて三十分で、御裏が通う吉国史きっこくし高校へ到着。生徒数は三百人弱、偏差値はそこそこ上。地元では入れば親がそれなりに安心すると言われる学校だ。

 登校する生徒の波に流されるように、校門から校庭へと入る。

 何事も無かったかのように歩く御裏の傍を、同級生がラジオの続きを話しながら笑顔で通り過ぎた。

 校舎の入り口で立ちすくむ女子生徒の一人が視界に入り、御裏は思わず足を止める。

 彼女は青ざめた表情で御裏の立つ方向、校門を見ていた。

 鞄を胸の前で抱きしめ、何かを必死に訴えるような力の篭った表情でじっと立っていた。


 近づいた御裏が、さりげなく声をかける。

「よう。ところで俺の声、ちゃんと聞こえてる?」

 声が聞こえたのだろう、彼女は目を見開いて御裏の顔を見返す。

「きこえ……ます」

「俺もだ。どうもあちらこちらから、口を開けばラジオの声が聞こえるような気がするとか?」

「私だけじゃない……あんたも……」

「そういう事。これ聞こえているの一部の人だけだから。やり辛いだろうけど、しばらくすれば元に戻る。それまでは話が聞こえているように、適当に相槌とか打って誤魔化しときな」

 それじゃ、と言って立ち去ろうとした御裏の腕を彼女が掴む。

 力いっぱい掴んだ行動には、細い腕のどこにこんな力がと思わせる、本気で放さないという意思が込められていた。

 彼女が御裏の制服を握り締める手が、微かに震えているのを感じた。

「んーと、怖い?」

「こ、怖いに決まってるでしょ。こ、この状況で、信じられない。一人にするの、いたいけな女の子を」

「俺も怖い、どっちかと言うと、自分でいたいけと言う君の目が据わってるから。それに困っているのはお互い様だと思うけど」

 御裏は真面目で優秀な生徒ではありえず、むしろ軽く問題視されている部類だった。

 艶のあるかなり長めの茶髪。背が高くスタイルは良いが制服は丈が短く、もはや別の学校の制服のような目立つ違反だらけ。

 大きくて丸い綺麗な目をしているが、その視線にはどこか棘を感じる。

 外見が少し怖い御裏に臆せず、初めて会話したであろう女子生徒は食って掛かる。

「あんた、いかにも強そうじゃないの。私を守ってよ」

「はぁー……いきなり何言ってるの?」

「他に頼れる人いないのよ。このまま一人でいたら頭がおかしくなりそう。この状況、普通じゃないでしょ、皆が何かに洗脳されたみたいで変だと思うよね。まさか、宇宙人が侵略してきたとか」

「あぁー宇宙人ね、それは考えた事なかったなー」

「朝起きて家からずっと同じ台詞を聞かされて、親は仕事に行って会えなかったし、学校に行けば何か分かるのかと思ったけど同じで……どうしたらいいの」

 彼女は必死に御裏の顔を見つめ、真剣な眼差しで訴える。長い睫の端に薄っすらと涙を浮かべて。

 一方の御裏は、俺に泣かれても……面倒なので逃げようかと思いつつ、近くで見た彼女の外見に感心を持った。

 遠くから見ると控えめな印象を受けたが、色白で整った顔立ちをしている。

 全体的に白く滑らかな顔つきなので、遠くからだと分からないが、目・鼻・口と立派に自己主張している。それらがバランスを取り合い、背中まで伸びた真っ直ぐな黒髪が似合う……かなりの美人だった。

 御裏とは正反対の、いかにも真面目そうな、注意されない程度に抑えた格好をしている。

 例えるなら美術館に飾る絵に描かれそうな、日本美人とも言える外見をしていた。



どうでしたでしょうか、文章がまだまだ未熟ですね。

彼女は二人目の主人公、空色さん登場です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ