1.クソ乙女ゲーに転生したんだけど?
「え、なにこの乙女ゲー…。」
私はテレビに映る乙女ゲーを目の前にし、そう呟いた。手にはコントロール、周りにはたくさんの乙女ゲーの数々がある。
「選択肢がクソばっかだし…。」
私の目の下にはクマが生えていただろう。そこらへんにエナジードリンクがあるし、ゴミも散らかっているし、カップラーメンの山ばかり。おまけに部屋は暗くしたまま、ゲームをしているため、目が悪くなりそうだ。
画面に写っているのは乙女ゲー。でも、選択肢がクソだ。
『ーーー王子に案内をしてもらう!?1.服を脱ぐ2.殴る3.変顔。』
しかもどれを選んでも好感度が下がるってなに!?運営なんなんだよ!
このゲームはハッピーエンドが一つの道しかないと呼ばれる伝説のクソ乙女ゲー。勿論、いつ間違えたのかもエンドがくるまでわからないし、セーブポイントとかもない。
そんなものを私がやっている理由?お前にはクリアできないだろうってクラスのマドンナに言われてムカついたから。以上。
このゲームをハッピーエンドまで持っていくと、合言葉と番号が出てくるらしい。ゲームを売っているところでその合言葉と番号を言えば、景品を貰うことができるらしい。制作者直々のサインが入ったブロマイドが。
合言葉は一緒だが、番号はそれぞれのため、やぶることはないとか。転売防止にもなっているらしい。
んま、このハッピーエンドまで持っていけた人は全然いないけど。
ユウチュウバーがやってないかって?いや、このゲーム連打するときとかあって、まずゲーム素人はクリアできない。しかもぴったり止めるゲームとかあって、もう目が悪いと死ぬ。
とにかく、この乙女ゲーはガチでクソ。うん。運営には申し訳ないけど。むずすぎて人気なし。
私はこの乙女ゲーにもうすぐ1ヶ月を賭けようとしていた。自分でもすごいと思うほどにやっていると思う。もう手がボロボロだし。
「や、やっと終わった〜!」
ゲームのコンセントをつないだテレビにはオールクリアという文字が浮かんでいた。私は体を伸ばし、お風呂を入ろうとする。
乙女ゲーを全クリでき、機嫌がよかったのか、鼻歌を歌いながら入っていた。湯船から上がる直後、ゲームをするときにずっと座ってたから足に痺れがあったことに気づかずにバランスを崩した。
え、私…こんなあっさり死ぬの?まだ景品貰ってないのに?
頭を打って死亡した。
✧✧✧
「ジョゼア・ライングレア。」
私はその言葉でふと我に返った。
ーーあれ?私、死んだはずじゃ…?
目の前にいたのは、銀髪に青色の瞳をした男だった。超絶イケメンだ。
私が思わず見惚れていると、男は口を開いた。
「学園にまだ慣れていないだろう?私が案内しよう。」
男は私に手を差し伸べた。すると、私の前にウィンドウのようなものが表示される。
『ーーー王子に案内をしてもらう!?1.服を脱ぐ2.殴る3.変顔』
私はその光景に思わず口をポカンと開けた。
これ知ってる。あのクソゲーの選択肢のやつ。それにジョゼア・ライングレアって…あのクソゲーの主人公じゃない!
…じゃあ、このウィンドウも王子に見えていないの?
私がウィンドウをじーっと見ていると、右上に砂時計マークがあるのに気付いた。さっきまで緑だったのに黄色になって、すぐに赤色となった。砂時計の砂がもう、すべて落ちそうだ。
まさか、時間制限が来たら、ランダムとかじゃ、ないでしょうね!…この中から選ぶしかないの!地獄!?あのゲームやってたとき、私はどれを選んだっけ?
すると、そのときだった。砂時計の砂が全て落ち、選択肢がピピピッとルーレット風に動く。そして、止まったのが、2だった。
私は体が勝手に呼吸を整え、拳を握った。そして、その拳は見事に王子の顔面に直撃する。
「…っが!」
王子は盛大に吹っ飛んでしまった。
…私、今日処刑かな?ごめんなさい。この選択をしたのは、私が悪いんじゃなくてクソゲーなせいなの!
私はその場を急いで去っていった。
ジョゼアが去った後、王子は体を起こし、呟いた。
「私を殴ったのは、あの子が初めてだな。」
王子はなぜか笑っていた。
『ーーピコン。王子からの好感度が1増えました。』




