登場人物紹介
一、茶々(淀殿)
浅井と織田の血を引く姫。
幼少期は明るく甘えん坊だったが、二度目の落城以降はどこか臆病で短気な気性を見せる。気鬱の病の影響もあるが、それ以上に弱さを見せてはいけないと気を張っているがゆえの変化。心は幼い少女のままである。
趣味の刺繍、好きな食べ物の金平糖は母市の影響。市と瓜二つというわけではないが、不意に市の面影が見えることがある。
子どもが好きで、天下人云々を抜きにしても鶴松と秀頼を溺愛していた。この愛情深さは、妹たちや大蔵卿、治長などごく少数の身内にしか見せない。
二、豊臣秀吉(太閤)
百姓上りの天下人。
明るくひょうきんで、人たらし。その話術は、二度目の落城後の初と江さえ引き付けてしまうほど。
寧々との関係は良好だが、女好きであり、若い頃から市に惹かれていた。市を救えなかったことを悔やむ余り、側室にした茶々を溺愛し、彼女の意見になら動かされることもあった。
晩年は耄碌したような様子を見せるが、それが猿の本性なのかどうかは、わからない。
三、初(常高院)
浅井三姉妹の次女。
茶々と江と比べると大人しく受け身。しかし、常に冷静で周りをよく見る人物でもある。
基本的には穏やかで皆に優しいが、嫉妬深い一面もあるとか。
姉と同じく身内を大事にするため、戦禍の大坂にも迷わず飛び込み、江戸の江の元へもしょっちゅう遊びに行っている。
四、江
浅井三姉妹の三女。
姉妹の中では一番明るく、誰とでも仲良くなれることが長所。
その明るさとは裏腹に、夫との死別など辛いことをいくつも経験してきた。それもあってか秀忠への想いは強い。
大坂の陣には胸を痛めていたが、徳川の女として、決して秀忠に縋ったりするような真似はしなかった。
五、大野治長(修理亮)
茶々と同い年の乳母子。幼馴染のように育ってきたため、信頼は厚い。
心優しく、気遣いのできる男で、怒りっぽい茶々の扱いもよく心得ている。
茶々と秀頼のことが何よりも大切で、決して裏切ることなく豊臣家に忠義を尽くした。とはいえ、戦自体は苦手なので、大坂の陣で実質的な大将に据えられた時はげっそりとしていたという。
六、大蔵卿
茶々の乳母、治長の母。
常に楽観的思考で、精神的な強さを持っている。その一方で目に見えたものしか信じず、疑い深い傾向がある。
治長以上に茶々の扱いがうまく、すぐに宥めてしまう。だが治長の軽口の対応には苦戦している。それでも、治長と茶々のことをとても大事に想っている。
七、石田三成(治部少輔)
茶々と同じ近江出身の武将。茶々より十近く年上だが、その知性と生真面目さを気に入られた。
秀吉及び秀頼への忠誠心も強く、家康から豊臣家を守れる可能性のあった人物である。
柿は普通に好き。
八、完子
江の娘、茶々の猶子。四つの時に茶々に引き取られ、江の記憶はない。
世話焼きな性格で、一つ下の秀頼を実の弟のように可愛がった。千姫とも遊んでやったりと面倒を見ていた。
公家の九条家に嫁いで以降、豊臣家とはやや疎遠になり、悲しく思っていた。北政所となってからは、武家との間を取り持つなど活躍している。
九、鶴松
茶々と秀吉の長男。始めの名は棄。
待望された男児として、両親に愛されるが、二歳で病で亡くなる。
茶々だけでなく、寧々のことも母と慕っていた。鶴松の死は、茶々に大きな影響を与えた。
十、豊臣秀頼(右大臣)
茶々と秀吉の次男。幼名は拾。
顔つきも性格も優しく、穏やかな青年。茶々の影響で世間に疎く、大坂の陣では牢人から外の世界のことを教わる。始めは母を絶対だと思っており、逆らうこともしなかったが、最後には豊臣家の当主としての自覚を持つようになった。
妻、千姫との仲は良好。一方で側室も同じように大切にしていた。
かまぼこlove。
十一、千姫
江と秀忠の娘。七つで秀頼に嫁いだ。
幼くして親元を離れたこともあり、なかなか大坂の暮らしに馴染めず、しばらくはぼんやりと過ごしていた。しかし成長してからは秀頼とも親しみ、聡明な少女になった。
江譲りの美しさと愛嬌を持つ。茶々にも警戒されつつ可愛がられた。当の本人は、怒ると怖いので茶々が苦手。
十二、柴田勝家
茶々の二人目の父。
豪気で明るい性格で、茶々たちにも好かれた。不器用ながらも、妻と娘に優しく接していた。
一方で市と同様秀吉を憎んでおり、対立した結果、賤ケ岳の戦いで滅ぼされた。
十三、寧々(北政所、高台院)
秀吉の正室。実子はいない。
慈悲深く心優しい女性で、秀吉の養子らにも真摯に接し、皆から実の母のように慕われていた。秀吉の側室となった茶々のことも慈しもうとし、拒絶されても態度を変えることはなかった。茶々の子、鶴松のことも何ら憎いと思うことなく養育する。
晩年、荒んでいく秀吉をずっと気にかけ意見することもあったが、聞き入れられることはなかった。それでも秀吉を深く愛していた。高台寺を築いてからは、穏やかな生活を送る。
十四、市
茶々の母。織田信長の妹。
真面目で気丈な女性。戦の総大将を思わせるような凛々しさも併せ持つ。
娘たちや夫のことは心から愛していて、乱世の中でも必死に家を守ろうとしてきた。
年を重ねても美しく、秀吉から想われたが、継子の万福丸を殺されたこともあり秀吉を徹底的に嫌っていた。賤ケ岳の戦いでは秀吉に城を攻められ、勝家と運命を共にする。その時に、茶々にとって道しるべとなる言葉を残した。
十五、浅井長政
茶々の実父。市の最初の妻。
背がすらりと高く、頭の切れる武将。優男で、市からも愛された。
家族や家臣のためにと天下を夢見ていたが、信長と対立し敗れる。
茶々が五つの時に亡くなったため、茶々ら姉妹は父をよく覚えていない。この父の死から、茶々の激動の人生が始まった。




