41 2回戦、第1試合
気がつくと既に2回戦の準備も終え、第1試合のマイケル・ムーアと五十嵐直也が中央で睨み合っていた。
直也は能力を見せずに自分の技のみで勝ち上がってきた。
またマイケルの能力はボクシングをやっていたマイケルと相性がいい。
勝負はアウトボクシングで直也を倒すか、それとも直也がマイケルを捕まえてマイケルを倒すかと思われた。
しかし内容は違った。
最初は予想通り、マイケルは距離をとり、直也の蹴りを避けると同時にカウンターを決めにいった。
しかしその後、マイケルの動きが鈍る。
マイケルはカウンターに打ったストレートを直也は防御する。
そのままマイケルは何度も何度も殴り続けるが何もしないで亀の様にじっと防御をする。
さほど時間が経っていないのにマイケルの息遣いが荒くなり、動きが鈍ってきた。
そしてマイケルの動きが一瞬止まると、直也はマイケルを何度も何度も殴り続ける。
今度はマイケルが亀の様に防御し続けるが、すぐに腕が上がらなくなり、サンドバッグの様に殴られる。
マイケルはダメージを負って腕を下げた訳ではない。
何がおきたか解らずにそのまま意識を失った。
そう!直也の能力は体力吸収だが、今までは掌で掴まないと吸収出来なかったが進化していた。
彼に触れると徐々に体力が吸収される。
マイケルは直也の能力を知っていたが、それは過去!今ではレベルも1つ上がっていた。
彼の能力は現在LEVEL3の能力の使いである。
本人が気付かない位に少しずつ体力を吸収されていたのである。
呆気ない試合に会場からはタメ息とブーイングの嵐になった。
そして2回戦、第2試合は桐生大和の不戦勝で、早くも第3試合の準備に入る。
★ ★ ★
時間まで間が空いたので蓮は陽翔を連れて選手控え室を見学させてもらうように頼んだ。
思ったより簡単に要求が通り、いつもの女性に案内をしてもらう。
「蓮様、何故俺を一緒に?」
「陽翔、お前もさっきまで選手だったんだ。悔いもあるだろうし、これから俺のボディーガードとして働くにあたって経験もしてもらわないといけないからね」
「分かりました」
「所で陽翔、自分は何でマイケルに負けたと思う?」
「………相手の方が一枚上手だった…ですか?」
「違うな。覚悟だ、覚悟が足りないから油断が生まれる。もし、試合で無ければあの時に君は殺されていた。しかし、あの時にトドメを指しておけば君は試合に勝ち進んだだろう。そして俺に買われる事もなかった。妹にあんな思いをさせる事もなかった」
蓮の言葉に歯を食いしばる。
「さて陽翔、君を連れてきたのはマイケルに勝った直也を見て貰うためだよ。はっきりいって経験も実力も彼の方が上だ。だがどうしても戦わなければならない状況も無くはない。実際に彼を見て頭で考えてみな」
「はい」
陽翔は素直に返事をすると前から一人の女性がやって来た。
彼女はワン・ホンファで大和に負けたジュンシーの姉である。
「アナタ面白いわね」
するといきなり蓮に八卦掌を打ち込んできた。
蓮は簡単に防御するとホンファは笑いながら蓮に近づいている。
そして更に攻撃はエスカレートするが、蓮は全てを払い除ける。
あらゆる中国武術を織り混ぜながらホンファは蓮に攻撃し続けるが、それでも一撃もまともに当たらない。
その時、陽翔は蓮の強さを知った。
陽翔にはホンファの攻撃を捌く事は出来ない。
それを容易く捌く蓮を見て驚いていた。
本当ならボディーガードとして守らなくてはいけないのに、入る隙が全くない。
そしてホンファから殺気が消え、蓮に抱きついた。
「ワタシ、強い人は好きよ。だからワタシと結婚して」
周りはいきなりの告白に目が点になっている。
「悪いけどお断りするよ」
「ワタシは諦めが悪いのよ。ワタシはホンファ、アナタの名前は?」
「俺は蓮」
「蓮、覚えたわ。また会いましょう」
そしてホンファは治療を終えたばかりで意識が戻っていないジュンシーを引きずりながらその場を去っていった。
予定外の出来事に時間も無くなり、結局直也に会いにはいけなかった。
仕方無く部屋に戻ることになった。
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