35 1回戦、第4試合
ロシアのアレクサンドル・マカロフはコマンドサンボの使い手である。
どの国も一緒で、能力という存在が今までの国技等も廃れたものに変えてしまった。
しかし中には廃れたものを大事に継承されていくものもある。
その一つ、コマンドサンボはアレクサンドルの手によって守られている。
そしてアレクサンドルはコマンドサンボが最強という土産話を弟子に持ち帰る為、この大会に出場したのであった。
一方、藤原健太は空手を守りつつ自分の能力を織り混ぜたオリジナルの技で独自の空手を試す為、大会に出場している。
国の為の闘い対自分の為の闘いが始まる。
裏試合にしては珍しく、お互いの拳を当てて構えをとる。
正々堂々とした試合開始となった。
「せいっ!せいっ!せあぁぁぁ!」
まずは健太が上段突きから回し蹴りと綺麗なコンビネーションでアレクサンドルを攻撃する。
アレクサンドルは綺麗に受け流し、回し蹴りを躱した後に反撃するが、健太もアレクサンドルの蹴りを受け止めた。
お互い様子見での攻撃、そして構え直しにらみ合いが続いた。
にらみ合いになり数分が立つと観客からのブーイングがとぶ。
そしてついに健太が動き出した。
それは普通の前蹴りと思われたが、アレクサンドルは躱す事どころか受け止める事も出来ずに後ろに吹き飛んだ。
「貴様、何をした!」
「これが俺の新しい空手だ」
「フッ、何をしたか聞かれて答えるバカはいないな。失言だった。お陰で目が覚めたよ」
アレクサンドルは改めて構え直した。
そして健太がまた前蹴りを放つが、今度は辛うじて躱し前に突っ込んだ。
すると今度はあり得ないスピードで踵落としが炸裂した。
今度は観客にも理解した。
スピードの正体は炎だった。
まるで爆発でもしたかのような一瞬の強い火力が蹴りのスピードと威力を上げた。
そして左肩に直撃して崩れるが、アレクサンドルはそのまま健太を掴んだ。
そして膝蹴り、しかし防御されるがそのまま投げる。
健太もすぐに立ち上がるが、そこに右フック、だが健太は躱す。
その右フックは囮で視界をふさいだ所に左のバックブローが健太の顔面を捉えた。
そのままバックブローを放った左手は健太の右手首を掴むと、右手で健太の首を掴み、鳩尾へ膝蹴り、そしてその膝は健太の顔面にを狙った。
健太は何とか顔面への膝蹴りを防いだもののダメージはかなり受けた。
そのまま右手でパンチを連打するとアレクサンドルはニヤッと笑った。
「10秒、ミッションコンプリート」
するとアレクサンドルの左手首から健太の右手首が1メートル位の鎖で繋がれた。
「何だこの鎖は!」
「これが私の能力だ。なかなか発動条件が厳しくてね。さぁ、ここからが私のテリトリーだ」
アレクサンドルが有利になったと思われた時、アレクサンドルが倒れる。
それはたった二発の攻撃、最初の前蹴りと踵落としのダメージが気を抜いた瞬間、一気に襲ってきた。
あれだけ攻めていたアレクサンドルの方がダメージが大きかった。
「なるほど…」
ゆっくりと立ち上がったアレクサンドルは健太の弱点に気づく。
「日本でいう肉を切らせてってヤツか」
「?」
「気付いてないと思ったか?その威力を出す為にその踵と脛の爆破傷、一撃必殺を狙った技だな」
「だからどうした?」
「これからは本物のコマンドサンボを見せてやる」
すると股間を狙った前蹴りを放つ。
健太は余裕で躱そうとした時、右手が鎖ごと引っ張られると体勢を崩し、脇腹にヒットする。
そして今度は目潰しにくる。
健太は体勢を崩さない様に躱したら、その隙にバックをとられ、鎖で首を絞められる。
絶体絶命!最後の意地を見せて後ろにいるアレクサンドルに蹴りを放った。
まさか正面から蹴りが来るとは思わないアレクサンドルは額に蹴りを喰らう。
強烈な一撃だったが掴んだら離さない。
本来、軍隊格闘術のコマンドサンボは相手を殺すための技、決して相手を殺すまでは死なない。
気付くと健太は堕ちていた。
「勝者アレクサンド・・・」
レフェリーがアレクサンドルにを見るとアレクサンドルも気を失っていた。
最後の蹴りである。
その一撃がアレクサンドルの脳に直接衝撃を叩き込んでいた。
普通なら健太が勝っていたかも知れないが国の意地と誇り襲ってをかけたアレクサンドルが、結果引き分けまで持っていった。
1回戦、第4試合は引き分けで2回戦で勝者と闘う予定の大和は不戦勝で準決勝進出が決まった。
これにより前回の優勝者大和は他の選手よりも有利に駒を進めるのである。
1回戦もようやく半分が終わり、4試合で既に3時間が経過している。
そして休むことなく第5試合が始まろうとしていた。
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