第26話 俺は心細くて仕方ないのだが
テーブルの上に広げた俺の鑑定結果。
俺はドキドキしながら、鑑定結果を確認する。果たして新スキルはあるのか……!?
ランジェも興味津々で横からのぞき込む。
ドキドキ。
【ヨースケ】LV23
【冒険者ランク】G
-スキル―
【ふむふむ】LV-
効果 異なる言語を理解、使用出来る。
【ぽたぽた】LV1
効果 液体(15g以内)を操る力
【ころころ】LV3(↑2)
効果 球体(直径5cm以内)を操る力
【ぱくぱく】LV2(↑1)
効果 上限を越えて少しだけ食べる事が出来る。
【ほかほか】LV52(↑51)
効果 芋(全般)に素早く熱が通る。
あぁースキル変わってねえー。
ていうか、【ほかほか】のLVすごっ!!
52って上がりすぎじゃないの?
「スキルLV50超え……初めてみました……」とごくりと唾を飲み込むミミ。
「さすがヨースケ……心強いよ」と息をのむランジェ。
俺は心細くて仕方ないのだが。
こんなの芋工場の面接の時くらいしか、有効な場面が思いつかない。
いや、まてまて。俺には<真・紅蓮鳳凰波>がある……はずだ。
ならば【ほかほか】のLVをあげておいても損は無いだろう。
しかし何気に【ころころ】と【ぱくぱく】もLVがあがってるなー。
【ころころ】はおそらくペクトロ村にいた時に、ダンゴムシをころころ転がして遊んでいたからだろう。ダンゴムシ達にはいい迷惑だったに違いない。だって暇だったんだもん。
【ぱくぱく】は多分食べ過ぎ……たのかな?あまり心当たりは無いが。
このスキルは、LVが上がった理由もわからなければ、未だに使い道も良くわからん。
「じゃ、ギルドカードにも反映させますから出して下さい~」
そういって手を差し出すミミに、俺達はギルドカードを手渡した。
「ちょっとお待ちを~」
テーブルの上の水晶みたいな玉にミミがカードを近づける。
するとシュインッとカードが吸い込まれた。そして数秒後、ピョインッとカードが出てきた。
見るとカードには最新のスキル情報が反映されている。
おぉぉ。すげぇ。自動改札機みたいだな。
「前って念写式じゃ無かったっけ」
「ふふふ。甘いですねヨースケさん。日々技術は進化してるんですよ~」
この分だと近い内にお金をチャージしたり、支払いが出来たりするんじゃなかろうか……。
「そうそう、ヨースケの冒険者ランクって上がらないかな?」とランジェがミミに尋ねた。
「そうですね~。確かにヒュドラ退治ならGランクでの実績としては十分でしょう~。」
そういうと俺のギルドカードの右下ににポンと「F」のスタンプを押してくれた。
不思議な事に先に押してあった「G」の文字は見えなくなっていた。
おおー。ありがとうございます。
でもそんなゆるーい審査でいいのかい。
ちなみに盗賊退治は、「まだ未確認ですから~」と実績には入らなかった。
むむむ。無事にFランクに上がれたからいいのだが、ちょっと残念。
「ランジェさんも、本部へBランク申請しておきましょうか~?」
冒険者ランクの昇格申請は、Cランクまでならギルドの各支部に審査及び承認権限が与えられているらしい。だが、B以上になるとギルド本部での審査及び承認が必要となる。なかなか厳しい門なのである。
「僕はいいよ。色々と面倒だし、審査料も高いし」
本部での審査は有料らしい。慈善事業では無いのだろうし仕方ないのかな?
あとBランク以上になると、緊急事態に召集がかかる場合もあるという。任意参加で良いらしいが、国からも認められた実力者と言う事なのだろう。
「それでは新しい依頼を受けていきますか~」とミミが聞いてきた。
「いや。もう次にやることは決まっているからさ」と俺が返す。
本来ならスピネル近辺の依頼を見ておくべきなのだろうが、今回はクサリバナナ探しに集中しなければならない。寄り道している暇はないのだ。こうしている間にも、ダズの症状は悪化しているかも知れない。
「そうだね。じゃそろそろ行こうか」と席を立つランジェと俺
「わかりました~。ではお気を付けて~」
俺達は新しいギルドカードを大事に胸にしまい、ギルドを後にした。
◆
「確かここだったよな」
俺達は昨日フォルダーと別れた大通りの三叉路までやってきた。
確かこっちにまっすぐ行けば……いいんだよな。フォルダーが曲がっていった通りを見るが、それらしきお店はまだ確認できない。歩いて何分位だろうか。聞いとけばよかったな。
「ヨースケ、ヨースケ」とランジェがギルドカードの裏面を指でいじっている。まさか!
ギルドカードの裏面はMAP機能が付いていたはずだ。期待してランジェのギルドカードを見ると、<トンテンカンテン>の文字がMAPに表示されている!
「ここを真っ直ぐでいいみたいだね」
自分のギルドカードでも確認してみる。他にはギルドや教会、病院の場所等も表示されている。ダズの酒場は……載ってないな。基準はわからないが公共の施設や主要な施設が表示されている様だ。
ギルドカードに示された道をまっすぐ歩いていく。ちょっとした商店街だろうか。左右には色々なお店が建ち並んでいる。今はもうお昼前だ。買い物をする人達もちらほら歩いている。
いろんなお店があるなー。
肉屋に魚屋、雑貨屋に服屋、ん?あれって不動産屋か?
ランジェに聞いてみると、
「お金持ちや高レベルのパーティーだと、自分達の家を持ってたりするんだよ」と教えてくれた。
確かに自分達の家、拠点があるというのは便利だな。
毎回毎回、宿屋を利用したり、野宿したりするのもいろんな意味で効率的ではない。
そうこうしている内に、右手に派手な看板が見えてきた。
店の上部に取り付けられた看板は、巨大なハンマーの形を模している。
ハンマーの胴体部分にはこれまたでっかい字で「武具工房 トンテンカンテン」と描かれている。遠くからでも一目でわかる巨大な看板である。何となくだがカニの看板を思い出した。
「ここか……」
ショーウィンドウには立派な鎧が飾られており目を引く。
プレートメイルってやつだろうか。防御力もさることながら、重量もかなりのもので、実際に来ている冒険者はあまり見た事が無いと、ランジェは笑いながら説明してくれた。
ちらりと値札を見ると、これまた相当なもんだ。40年ローンでも厳しいかも知れない。世のお父さん方が見たら卒倒する事だろう。見なかったことにしておこうか。
鎧の横には、全身を余裕で隠せるであろう巨大な盾が置いてある。
盾の表面には、向かい合うドラゴンの見事なレリーフが施されており、高級感を漂わせている。
値段は言わずもがなである。
でも盾の表面にどれだけ立派な装飾をしたって、敵の攻撃を防いだら剥げちゃうんじゃないの?もったいないわーとかいらぬ心配をしていると、
「結納とか、何かの儀礼用の装備なのかもね」とランジェが推測する。
そうか。確かに戦闘には使用しないのかもね。
でも、ここってひょっとしたら……高級店なのかしら……。
そうだったらすぐに帰らねば。
俺は少し不安に思いながら、店内に入るのであった。




