一話 「異世界なまこ生活」
先は長い
その街道には多くの人が行き交っている。彼らの背丈が様々なのは、あらゆる種族が集っているから。身なりが様々なのは、出身が異なる者達が集まっているから。そんな彼らが同じ街で生活してる光景は、この地球でも、その地球を含む宇宙でもない、どこかにある異世界――「なろう世界」であっても、異様なものだった。
そんな通りから、普通なら絶対に近づかないだろう、一際薄暗い路地に入り、更に分岐の度に湿気が多い方を選んでへと進み続けた先には、人目についてはいけないものを廃棄するための「ゴミ置き場」がある。それは街の裏事情に詳しい者なら知っていることなのだが、彼らの元には一月前から、そこに関する突拍子もない噂が流れ込んでいた。
「ゴミ置き場に黒い化け物が住み着いている、か……」
街の人々に信頼されている商人、ギャビン・リントンも、そんな噂を聞きつけた内の一人である。上客の一人が近くの住民で、真偽を確かめて欲しいと依頼された。
本来なら、冒険者ギルドに依頼するように言うところだが、彼はちょっとした危険な取引もしており、その化け物が高値で売れる新種の魔物である可能性を考えて、単身、様子を見に来た。新種の魔物はギルドに発見されると、研究機関に持っていかれてしまうため、換金するなら裏ルートで回さなければならなかった。
ギャビンがゴミ置き場に着くと、そこにはいつもの掃きだめが広がっていた。確認できるのは出所の分からない遺体がいくつかだけで、他の物は腐り果てて、元の姿など分からない。今形を保っている遺体すらも、その内には、馴染んでしまうだろう。
ギャビンは路地から眺めるだけで、廃棄物自体には近づかないようにした。そもそも黒い化け物とは、この廃棄物を見間違えただけなのではないか。そう思っていたから、彼は端から掻き分けてまで探そうとは考えていない。確認しに来たのは、念のための行動だった。
少しの間、それを眺めながら、動くものすらないことを確認した彼は、無駄足だったな、と落胆する。帰ろうと来た道の方を振り返った彼は、突如として目の前に現れた巨大な黒い生物に飲み込まれ、叫び声も上げられずに息絶えた。
全身を使った咀嚼を終えた黒い化け物――体長二メートルのナマコは、体をゆすりながら形を変え、やがて人型になると、見た目上は全く人間と変わらない擬態をする。その姿は黒髪の16歳程度の少年で、まさしくギャビンに調査の依頼を持ち掛けた上客、そのものだった。
「ギャビン・リントン。ごちそうさまでした」
少年の名前は二條邦一。地球の日本から「なろう世界」へと転生した高校生である。
触手プレイするまで頑張ります




