↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
デルタのスナイパー  作者: 二条路恭平


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
35/298

35

原子力空母ジョージ・ワシントンからC-2グレイハウンド輸送機に搭乗して、大西洋から本国へ帰還して、米陸軍特殊作戦コマンドの司令部が所在するノースキャロライナ州フォートブラッグ基地に到着すると、俺を含めた7人のオペレーターには再度3日後にフォートブラッグ基地に出頭して射撃適性テストを受験するように伝えられ、更に俺だけはハンドガンの適性テストを受験した翌日に、スナイパーとしても適性をテストされるロングレンジ射撃テストも受験するように伝えられる。

ハンドガンについては、「700ポイント・ピストル・アグリゲート」が実施されるので予め射程距離が25メートルと分かっているほか各射撃ポジションからの発射数が決まっているが、ロングレンジ射撃テストでは敷地面積が251平方マイル(650平方キロメートル)の広大なフォートブラッグ基地の実践訓練用エリアを使用して行われるが、射程距離等は予め知らされておらずライフル銃を構える場所も平坦な場所とは限らない。第一、フォートブラッグ基地では特殊部隊が遂行する作戦を事前に実弾演習できるようする為に、広大な敷地内に簡易建物を配置している市街地戦や小高い丘等がある山岳戦等が整備されて実践的な訓練ができるようにエリアが備えられており、テストを実施するエリアは担当する教官がテスト当日に指定してくるのだ。

唯一、テスト前に判明しているのは使用するライフル銃が7.62×51ミリメートルNATO弾薬を使って、専用スコープとハンドガードにバイポッドが装着されたSR25M110SASSセミオートライフル銃で、テスト前にはスコープのゼロインを兼ねての試射を行う時間が30分間与えられている事くらいで、それ以外の情報はテスト当日にならなければ一切分からない。最も、屋外で行われるテストなので当日の気温や湿度、風向や風速等が分からい以上は事前に対応を施しておくことはできないのだが・・・。


フォートブラッグ基地から指定された3日後に出頭して、指示された控室へ赴くと室内にはモナコでザフィー暗殺ミッションを共に行動した4人のオペレーターが集まっていた。俺が空いている席を適当に選んで腰掛けて、指定された時刻の5分前となった頃、未だ出頭してなかった2人が到着して全員が揃ったところへテストを担当する教官が、右手にバインダーを手にして控室に現れた。

「諸君、おはよう。これから射撃適性テストである700ポイント・ピストル・アグリゲートを行う」

そう教官が言うと、教壇机の下から2つのボックスを取り出して教団机の上に置いた。1つ目のボックスには、適性射撃テストを受験する7人のオペレーターと教官用のイヤーマフラーが入っており、もう1つ別のボックスには、ボール紙製で45ACP弾薬100発が入っている紙箱が7つ収納されている。

「いつもの通りだが、700ポイント・ピストル・アグリゲートで使用する拳銃は諸君等が部隊より支給されている銃器を使ってもらう、全員が45口径対応の1911モデルだったかと思うので1箱に100発の弾薬が用意されているから、各自1箱とこちらのボックスにあるイヤーマフラーを1個ずつ持って25メートルレンジの射場へ向かうこと」

そう教官が説明すると、教官自らはイヤーマフラーが入っているボックスから自分用のイヤーマフラーを左手で取り出し、イヤーマフラーを首に掛ける。

俺達7人のオペレーターは、椅子から立ち上がると各自が持って来たナイロン製の手提げバックからサファリランド社製のホルスターとマガジンポーチを取り出し、次いで履いている迷彩柄のカーゴパンツに装着しているベルトを外してホルスターは利き手側の腰の後ろへ、マガジンポーチは腰の前方両側にくるよう取り付けてからベルトを締め直す。

ホルスターとマガジンポーチを取り付けたベルトを締め直すと、手提げバックからナイロン製のソフトケースに収納している各自の1911モデル拳銃を取り出してホルスターへ差し込むが、1911モデル拳銃をホルスターへ差し込む前に一度スライドを引くとマガジンに弾薬が装填されていないマガジンを挿入しているので、スライドは後退した状態で止まるスライドストップの状態にして、ホルスターに差し込んだ1911モデル拳銃が一目見てチャンバーに弾薬が装填されておらずに発砲する危険性がないのが分かる状態にしてからホルスターに挿入する。

次いで、各自が手提げバックからシューティンググラスを取り出して装着してから、順序よく教団机へ赴き2つのボックスからイヤーマフラーと45ACP弾薬が100発入った紙箱を取り出してから控室を出て屋外射撃レンジへ向かう。


今回のように射場での銃器発砲が分かっているようなケースでは、銃器発砲前にシューティンググラスを着用する以外に、イヤーマフラーを装着する事になる。銃器を発砲した場合には、弾薬に装填されている装薬が発射された弾丸が銃口から飛び出すまでに、全てが完全に燃焼するとは限らず場合によっては弾丸が銃口から飛び出した直後やスライドが後退した際のエジェクション・ポートから飛散することがあり、高温高圧の発射ガスから飛び出した燃焼中の装薬や燃焼が終了したカス等はデブリと呼ばれ、そのデブリは飛散した時点で暫くの間は高温状態となっており、もしデブリが顔に降りかかり眼に入った場合には失明する可能性が高い。特にホルスターから拳銃を抜き出した直後に発砲するポイントシューティングを行った場合には銃口やエジェクション・ポートは顔の真下くらいの位置にあることとなるので、デブリが顔面を襲ってくる可能性が高いと言える。ただし、実践で銃撃戦が始まった場合ではシューティンググラスを装着する暇がないばかりか、シューティンググラスを掛けるよりも相手に対して早急に自分が持っている銃器から発砲しなければ命を落とし兼ねないので、発砲によってデブリが顔に降り掛かるのを承知で発砲することになる。また、イヤーマフラーにしても銃器の発砲に伴う発射音は、相当に大きく長い時間に渡って発砲音に晒されていれば聴覚に異常を来たして聴覚障害を引き起こすので、射場でのイヤーマフラー装着はマストと言えるが、これも実践ではイヤーマフラーを携行することはないに等しく、仮にイヤーマフラーを携行していたにしてもイヤーマフラーを装着するよりも一刻も早く相手に対して銃撃を始めることが自分の生命を守ることに繋がるので、一時的とは言え大きな発砲音に晒される環境となるのを承知の上でイヤーマフラーを装着せずに銃撃戦に挑むことになるのだ。


25メートルの射撃レンジに到着した俺達は、射座にある木製テーブルで支給された45ACP弾薬をマガジンに装填し始める。最初に、腰の前方にあるマガジンポーチに差し込んであるマガジンを取り出して1発ずつ45ACP弾薬を込めていく。10発の45ACP弾薬を装填したマガジンは、腰のマガジンポーチへ戻してから隣のマガジンを取り出して同様に45ACP弾薬を装填する。そうして、予備となるマガジンポーチに差し込んだマガジンへ45ACP弾薬の装填を終えてから、最後に利き手側の腰の後部に装着しているホルスターから1911モデル拳銃を抜き出して、1911モデル拳銃のグリップ左側にあるマガジンキャッチボタンを押して1911モデル拳銃に挿入していたマガジンを取り出してから予備マガジンと同様に45ACP弾薬を10発装填する。

45ACP弾薬の装填が完了したマガジンを再び各自の1911モデル拳銃に装填すると、後退していたスライドを少しだけ後方へ引くとスライドが前進しようとするのを止めていたスライドストップが、スライドの切り欠きから外れてバレルの下部に装着されているリコイルスプリングが反発して戻る力でスライドが前進し、この時にスライドのエジェクションポート後方にあるブリーチ前面がマガジン最上部にある45ACP弾薬を押し出してチャンバーに送り込みスライドは閉鎖して、ハンマーが起きた状態となり発砲準備が整ったことになる。

発砲準備が整った状態で、各自がハンマーの近くに位置するマニュアル・セーフティのパドルを1911モデル拳銃を握っている利き手の親指で跳ね上げてマニュアル・セーフティをオンにして1911モデル拳銃をコンデション1という、チャンバーに弾薬が装填されているが暴発の危険性を排除した状態にしてから、ホルスターに差し戻す。


因みに1911モデル拳銃を「ガバメント」と呼ぶ人間がいるが「ガバメント」は、コルト社の登録商標でバレルの長さが5.1インチのモデルの物を示すので、コルト社以外のメーカーで製造された同型の拳銃は1911モデルと言うのが正しい。また、日本では「ガバメント」を略して「ガバ」と呼称している場合もあるが、アメリカで「ガバ」と言っても通じる事はなく「ガバメント」と呼んだとしても「この銃は、コルト社製じゃないよ」と言われてしまうのが落ちである。更に1911モデル全般を表す言葉としては「ナインティーン・イレブン」というのが一般的で、俺が支給されている拳銃もコルト社製ではあるが品名が「コンバット・ユニット」と刻印されているので1911モデルとなる。


コンディション1の状態とした1911モデル拳銃をホルスターに挿入した状態で、俺を含めた7人のオペレーターが25メートルラインに横一列となって整列すると左端に居る教官がハンドマイクで

「それでは、いつも通りにブザーの音が聞こえたらダブルハンド・ホールドで30発を発射する。なお、タイマーで制限時間を設定しているので射撃終了のブザーが鳴った後の発砲は全て無効となり0点とする」

と説明をするのを聞いた後に、7人のオペレーターは首に掛けていたイヤーマフラーを装着して、両腕をダラリと下げた状態でスタートのブザーが鳴るのを待つ。

背中側にあるスピーカーからブザー音が聞こえてくると、俺も含めた全員が利き手側に上半身を捻ってホルスターから1911モデル拳銃を引き抜き、ターゲット方向へ銃口を向ける。1911モデル拳銃のサイトが目の高さに来る前に1911モデル拳銃のグリップを握り締めているストロング・ハンドを覆い被せるようにしてウィーク・ハンドを添えて、ストロング・ハンド越しにウィーク・ハンドでもグリップを握り締めるように力を入れるが、同時にストロング・ハンドの親指はマニュアル・セーフティのパドルを下側へ操作して安全装置をオフにしておく。

1911モデル拳銃のリアサイトのスリット越しに見えるフロントサイトがターゲットのセンターにある黒円を捉えたところでトリガーを引く。時間制限のある状態での30発連続発砲は、完全に速射状態となるがトリガーを闇雲に早く引くのではなく一定のリズムでテンポ良くトリガーを引く必要があり、加えてトリガーを引く人差し指には必要以上の力を加えずに極力真後ろへ引くようにする。

速射を行うのに集中し過ぎてしまうと人差し指に必要以上の力が加わり、その結果としてトリガーを真後ろに引けなくなるばかりか、人差し指の第二関節を中心にした円運動となって握り締めるような動きとなり弾丸が銃口から飛び出す瞬間には銃口が利き手側へ外れてしまって狙った場所へ着弾させる事ができなくなる。特に、ダブルハンド・ホールドでの発砲は構えがシングルハンドからの発砲よりも安定しているので、このステージで10点圏を外してしまうようでは高い得点が望めない。


7人のオペレーターが一斉に45口径の拳銃を消音器なしに発砲しているので、相当大きな音が響いているはずでイヤーマフラーを装着していても煩いはずが射撃に集中しているせいなのか、イヤーマフラー越しに聞こえてくる発砲音が気にならない。そんな状態で30発の速射を終えて、スライドが後退して30発目の空薬莢を排出しスライドが後退した状態で動きを止めると、同時に背中側のスピーカーから発砲終了のブザーが聞こえてきた。

ターゲットから25メートルの距離があるので、確実な事は言えないが1発も黒円から外していない。全弾が黒円内なので余計に分からないのだが、何発が9点圏に逸れたのかが俺の得点に影響することなる。次のステージは、最初にストロングハンドで10発を発砲したところでマガジン交換を行い、マガジン交換後はストロングハンドで5発発砲した後にウィークハンドに1911モデル拳銃を握り替えてから5発を発砲するが、このステージも時間制限があるのでストロングハンドとマガジン交換を如何に素早く行ってウィークハンドから5発を発砲するのに時間的な余裕を作るかがポイントとなる。どうしても利き目とウィークハンドでは狙点が一致し難いので、ここだと思って発砲しても狙った所よりもズレてしまう。普段からウィークハンドによる発砲する事が少ないという事もあり、感覚が上手く一致させられないでいるのだ。


ダブルハンドでの射撃が終了した時点で、各自が射座のテーブルへ戻り1911モデル拳銃のマガジンキャッチボタンを押して空になったマガジンを抜き出して、未だ使用していないマガジンをマガジンポーチから取り出して1911モデル拳銃へマガジンを装填する。マガジンキャッチがロックした「カチッ」という音が聞こえるが、俺も含めた7人のオペレーターはウィークハンドの掌でマガジンの底を軽く叩いてマガジンが確実にマガジンキャッチにロックされるようにする。

マガジンの交換を終えた1911モデル拳銃のスライドを少し引いてスライドストップをしていたスライドを前進させ、チャンバーに弾薬を送り込みマニュアル・セーフティのパドルを上方へ跳ね上げて安全装置を掛けてコンディション1の状態として1911モデル拳銃をホルスターへ戻してから、マガジンポーチに差し込まれている空のマガジン3本へ45ACP弾薬を再装填してからマガジンポーチへ戻す。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。