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ミニャのオモチャ箱 ~ネコミミ少女交流記~  作者: 生咲日月
第2章

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2-22 南東探索班

本日もよろしくお願いします。


 覇王鈴木たちは、南東へ向かっていた。

 移動している最中に、ライデン班から情報共有があった。


『覇王鈴木:おいおい、この笛の音は鳥の魔物の魔法だってよ。この魔法が直撃すると、弾丸の雨が降ったような幻惑を見聞きするんだって。それに紛れて鳥が襲って来るらしい』


『闇人:ほう、異世界の動物は魔法で狩りをするのか。興味深い』


『ゼル:マジかよ。ていうことは、そこら中で鳥が狩りをしてるのか』


『村雨:そりゃ冒険者も夕方には帰るわな』


 覇王鈴木班もジタタキの魔法の音を聞いていた。

 幸いにして、彼らがいる場所にはまだ魔法は直撃しておらず、聞いているのは笛の音だけだ。


 しかし、今まで喰らわなかったのはたまたまだったようで、共有してからすぐに1発もらった。

 丘の中腹にいる覇王鈴木たちは、マシンガンの掃射でも受けたようなけたたましい音に体の芯が揺らされ、恐怖感を与えられた。そんな中、闇人が夜空を見上げた。


『闇人:我を惑わすことはわわわわ。だだ、ダークボーリュ!』


『覇王鈴木:しっかり効いてるやないかーい!』


 ツッコミを受ける闇人だが、しっかりと魔法は放つ。

 暗黒の球体が突撃してくるジタタキに向かうが、この個体は能力が高いのか魔法を回避した。しかし、反撃を受けるとは思わなかったのか、ジタタキは急旋回して森の方へ逃げて行ってしまった。正気に戻った覇王鈴木たちが、属性剣や魔法盾を展開したのも要因としてあるかもしれない。


『闇人:逃げられた』


『覇王鈴木:まあ魔法の影響もなくなったしオッケーだ。サンキュー』


 バシュン!


 ジタタキを追い払ってホッとした覇王鈴木たちだったが、ふいに村雨がウォーターボールを放った。水が爆ぜたその音に村雨以外の3人はぴょんと小さく跳ねて、あわあわした。


『覇王鈴木:い、いきなりどうしちゃったの!?』


『村雨:ネズミのバケモンだ! 少なくとも3匹はいるぞ!』


『ゼル:闇人! 鑑定!』


『闇人:わわわわかった!』


 3人が背中合わせに陣形を組み、その中央で闇人がその正体を見破ろうと敵の姿を探す。

 しかし、村雨の魔法を受けて警戒しているのか、闇人にはその姿を発見できなかった。


『闇人:ダメ。視界に入らない』


『覇王鈴木:たぶん、冒険者たちが言っていた丘ネズミってヤツだと思うが……』


『闇人:ジタタキの魔法が止んで恐慌状態から復帰したネズミが、今度は怒っているのではないかと思う』


『ゼル:絶対それだわ』


『村雨:縄張りから逃げるのが吉だな。属性武器と魔法盾を展開して、丘を2つくらい越えよう』


『覇王鈴木:それ採用! ゼルが向いている方へ走るぞ!』


 4人はそれぞれの属性武器を展開して駆けだす。

 背後や側面から草をかき分ける音が複数鳴る。さらに、遠くからはジタタキの笛の音が複数聞こえてきた。


『闇人:ダークボール!』


『村雨:ウォーターボール!』


 2人が背後へ魔法を放ち、丘から抜け出して麓へ降りる。

 転がるように麓へ脱出すると、覇王鈴木がサンダーボールを近くの岩へと放った。

 一瞬の閃光と破裂音。それに驚いたのか敵が引いていく音がした。


『覇王鈴木:今のうちだ!』


 4人は丘を縫うように移動して、危険区域から脱出した。


『覇王鈴木:森の中より魔境じゃねえか』


 それはジタタキの狩場になっているせいだろう。

 覇王鈴木たちは知る由もないが、ジタタキの音の魔法は分厚い樹冠に隠れた地面までは効果が及ばないのだ。だから、森から近い丘陵地が殺伐としているわけである。


『ゼル:少し休憩しようぜ。他の方面の情報を得よう』


 ゼルの提案を採用し、4人はスレッドで情報を集める。


 それによると、覇王鈴木班が向かっている南東方面は明らかに難易度が高いとわかった。3チームの中で、南東は特にジタタキの数が多いのだ。


 襲われるため丘には登れないと判断した一行は、丘の麓を進むことにした。大小の石がゴロゴロしていて移動しづらいが、それも仕方ない。


 ほどなくして道が発見された。


『覇王鈴木:丘陵地帯で見つかったのはこれで3本目か』


『ゼル:位置的に、サバイバー班が見つけた分かれ道から繋がっているのがここだろうな』


 ライデン班で1本、いま覇王鈴木班で1本、そしてサバイバー班でもすでに1本の道が見つかっていた。サバイバー班は南に向かっており、最も早くに道を見つけていた。というか、彼らはその道の上を南に向かって走っている。

 サバイバー班が進む道には分かれ道がいくつかあり、その分かれ道のひとつが覇王鈴木たちが見つけたこの道に繋がっていると推測できた。


 スレッド班に地図の記載を頼み、さらに進む。

 しばらくして、覇王鈴木が3人の足を止めさせた。


『覇王鈴木:南西班が大きな川と物見台を見つけたようだ』


『ゼル:あっちが当たりだったか』


『村雨:こっちにも何かあるかもしれないぜ?』


『覇王鈴木:人工物が見つかったようだし、ここからは魔法を控えよう。トラブルがあった場合は闇人の魔法で対処する。闇人1人では手に負えないようなら、ゼル、村雨、俺の順番に解禁だ』


 覇王鈴木は雷属性なので、この探索でも極力魔法を放たないようにしていた。音と光が凄いことを自覚しているのだ。目立つ属性を持つ覇王鈴木やライデンには不向きなミッションだが、彼らのリーダーシップが指名の理由である。

 一方、闇人の闇属性は夜だとほとんど見えないし、音もあまり出ない。今回のクエストで闇属性が3人分指名されて各班に1人ずつ入っているのは、それが理由だった。


 だが、覇王鈴木のこの判断は遅かった。

 先ほどの襲撃の際にサンダーボールで岩を砕いた音が、馬で巡回していた兵士に聞かれていたのだ。その報告は、この後にライデンたちが石橋の上で聞くことになる。幸いにしてビリビリガエルなる生物と勘違いしてくれたようだが。


 自分たちも何か発見するぞと意気込んで、覇王鈴木たちは南東へ進む。


『覇王鈴木:ジタタキ多くね!?』


 スレッドでの報告によると、ジタタキは南にはほとんど出没せず、南西はとっくに狩場から脱出しているようだった。それなのに、南東方面はずっとジタタキの狩りが行なわれていた。そこら中の丘で草が動き、お祭り騒ぎが続いている。


『闇人:森が丘陵地帯を回り込んで南東にも広がっているのかも』


『村雨:ジタタキは森から来ているっぽいし、南東にも森があるのなら理屈が合うな』


 そんなことを話していると、丘の切れ間に木々が見えた。


『覇王鈴木:マジで森か』


『ゼル:じゃあこっちはハズレかー』


 4人はちょっと残念に思いながら、ちゃんと確認すべく、見えた木々の下へ向かった。

 丘を2つほど縫って進むと丘陵地帯が終わり、原っぱが現れた。そこに木々が並んで生えている。


『村雨:これは森じゃないな。森から離れた林じゃないか?』


 村雨が言うように、手前の木々からずっと離れた左手方向に森の姿が見えた。そちらが本物の森っぽく見える。もしくは森から出っ張るように木々が生えているのか。


『覇王鈴木:もうそろそろ秘密工房を作る時間だから、そのあたりのことを確認して終わろう』


 覇王鈴木の提案で、一行は木々の左手方向へ向かった。


『ゼル:うぉおおおお、マジか!』


 その先にある光景にゼルが歓喜のコメントを上げた。

 村雨の予想は当たり、手前の木々は森から離れた場所にある林だった。だが、ゼルが喜んだのはその事実を判明させたことなどではない。


 森と林の間には原っぱが続いており、その先の様子が見えた。

 そこには、ライデンたちが発見した大きな川など比較にならないほど膨大な量の水が存在したのだ。


『覇王鈴木:おいおい、海か!?』


『ゼル:行ってみようぜ!』


 4人は秘密工房を作ることを忘れて、海に向かって走った。

 原っぱの草がどんどん少なくなり、やがて砂利が混じり始め、ついには砂浜に変わった。


 満月と星々が水面に浮かぶ異世界の海の姿は、息を呑むほど美しかった。

 冒険の果てにこの光景を見つけた覇王鈴木たちは、砂浜で感動に打ち震えていた。


【641、ニーテスト:おい、覇王鈴木、迂闊だぞ。感動するならコソコソやれ】


 スレッドでニーテストから水を差され、覇王鈴木はハッとした。

 遮蔽物がない砂浜では小さな人形とはいえ確かに目立った。幸いにして夜の浜辺には誰もおらず、その姿は見られていない。


 すると、闇人が海に近づいてコメントした。

 口元に光の粒が漂い、どうやら水を飲んだようだった。


『闇人:これ、海じゃない。湖』


 海じゃなかった。

 闇人が口にした水は淡水だったのだ。


『覇王鈴木:マジか。まあどっちでもすげぇ発見だけど』


 湖は対岸が見えなかった。

 これは後に木に登って観測しても同じで、かなり広い湖だとわかった。


 浜辺から見て東方向は森が2kmほど続き、やがて奥の方へと曲がり、森の姿は見えなくなった。湖は遥か先まで続いている。

 一方、南方向である右手側は崖になっており、こちらはその崖に阻まれて地形を見通すことはできない。


『ゼル:この地形だと、ミニャちゃんの拠点から東にずっと進めば湖に出るんじゃないか?』


『村雨:いや、ここから拠点まで二十数kmは離れているんだし、そうとは限らないぞ。一度カヌーで湖から確認した方がいいだろう』


 4人はひとまず秘密工房を作り、人形の充填のために帰還した。


 その後の探索で、付近には家屋が1つあることがわかった。

 それは林の近くにある木造の廃屋で、おそらく管理小屋か何かだったのではないかと思われる。人目を気にせず建物を調べられるという点では、非常に有用な発見だった。


 だが、それ以上に賢者たちを興奮させる発見がこの日は多くあり過ぎた。ライデンたちの水田の発見もそうだし、覇王鈴木たち自身が見つけた湖だってそうだ。


 そして、南に向かったサバイバー班。

 彼らが見つけたものこそ、賢者たちが最も気になっていたものだった。

 サバイバー班は城壁と門、そして大きな建物を見つけたのである。


読んでくださりありがとうございます。


ブクマ、評価、感想大変励みになっています。

誤字報告も助かっています、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 少しずつ周囲の様子が明らかになるワクワク感! 幼き日の頃、あと少しあと少しと無理をして薬草が尽き死に戻ったあのRPGの記憶がよみがえりました。 [気になる点] マップほしいな・・・
[良い点] ゲーム的なら 森のほうが敵の難易度が高そうだけど 実際は開けた土地のほうが つよい敵がいるパータンなのね
[一言] 異世界なら、真水の海がある可能性だって否定はできないかと。
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