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忘却された人
「知らない人」の続きです。
これはどういう事だ。
彼はそう思ったが彼女から答えが返る事は無かった。
彼らは婚約していた。魔力の高い彼女は高位貴族である彼のお相手として好条件の存在だったのだ。逆に彼女にとっては数ある縁談の中から家柄を重視して選んだだけのお相手である。つまりは誰でも同じであったのだ。
そんな婚約であったが、彼はそれを理解していなかった。だからこそ、後の出来事なのだが。
彼は自分が彼女に好かれていると思っていた。彼は過信していたのだ。自身がどんな女性からも好かれるような存在だと。
過信こそが彼の最大の間違いだったのだろう。
「どちら様でしょうか?」
彼女の言葉に彼は愕然とした。彼は信じられない。
「は?何言ってるんだ、お前は」
理解が追い付かなかった。
更に別の視点も書きたい気持ちがありますが、一先ずはこれで完成です。




