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孤高と絆の冒険譚〜ソロ最強は仲間を知りたい〜  作者: 富士都


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第4話 ソロ最強、向き合いの時。

「大事な話って…?」


「随分と深刻そうな顔するじゃねえか」


フィナとガルドに心配そうに顔を覗き込まれながら、メイナは口を開く。


「実は、このハウス・アイギスが、ギルドに犯罪に手を染めているのではないかって疑いをかけられてるらしくて…。今朝、各パーティのリーダーに伝達があったの。」


「それはつまり、もしやっているという証拠でも出てきた日には、悪集団(カコスハウス)に認定されるってことなのか?」


アルサは引き攣った顔をメイナに向け、問うた。


悪集団(カコスハウス)とは、要は犯罪に手を染めたハウスのことを指し、ギルドによってこれに指定された場合、責任者の都市追放、所属する全パーティの2年の活動禁止令という大きすぎるほどのペナルティが課せられる。


「そうなっちゃうかもしれないって。ここからはカベリアさん個人からの通達なんだけど、早めにハウスから去っておいたほうがいいって…。」


カベリアとは、ハウスにルアが来て間もない時に案内などをしてくれたあのナサ・カベリアのことであろう。


「おいおい。あんだけ上の地位を持ってるあの人がハウスから去れって言うってことは…。それって、ギルドのかけてきてる疑惑が事実ってことだよな?」


「確かに…!え、じゃあすぐに退団の手続きしたほうがいいんじゃ…?」


「そういうわけにもいかないよ。ハウスには退団手続き後、実際に退団できるのは1週間後ってルールもあるし。アイギスの無実を頑張って証明する方向に協力したほうがいいって可能性もある。」


ここでもやはり慌てた様子のフィナとガルドに、メイナは必死に説明を続ける。


パーティが混乱の渦中な中、ルアは1人、また別の悩み事について必死に頭を巡らせていた。


ルアから見る限りこのパーティは何も知らない。


まだ一緒にいた時間は本当に少しではあるものの、彼としても、できればこのパーティを救いたいという気持ちはあった。


しかしそれをしようとすれば、自分の正体や任務について明かさないわけにはいかなく、そうなればおそらく『また』、彼は仲間を失うだろう。


彼はとにかく、仲間割れを過剰に恐れていた。

—————————————————————————————————————

今からおおよそ2年と半年ほど前。


ゼノ・クラウディアがアウヘルに出てきて間もない頃。


彼はカセメリナという小規模ハウスのトップパーティ、ティグリスに、前衛として所属していた。


当時は仲間にも恵まれ、自らの才能も開花し始めて、これからするであろう冒険の数々というものに大きな憧れを抱いていた。


「ゼノ!そっちにゴブリン2匹!」


「オーケー。まかせろ!」


ゴブリン1匹に苦戦したり、時には格上のオークを前にしてメンバー全員で立ち向かったり。


時には危険に晒されながらも、充実した日々を送っていた。


しかしそんな生活は唐突に終わりを告げた。


大きな鐘の音が数回、ダンジョン内に低く鳴り響いたかと思えば、すぐに階層間の階段を上がってくる冒険者が大声を張り上げた。


「イ……イレギュラーだーー!Lv.30に到達していない冒険者は全員今すぐダンジョンを出ろ!イレギュラー!40階層の火龍が9階層まで上がってきやがった!」


直後、8階層でオークと対峙していたゼノたちの目に、赤黒いとてつもない大きさの影が映った。


「撤退だ!ティグリス!すぐに引け!」


リーダーのカサベルの声を合図に、彼らは一斉に駆け出した。


しかし直後。ゼノは足を止めて振り返る。


ほんの一瞬前まで確かに感じていた自分のすぐ後ろの気配が消えた。


振り返ると案の定、カサベルの姿はなかった。


「カサベル!」


名を呼んだその瞬間に、火龍の放った炎の明るさによって、ゼノは自らのリーダーの姿をみとめた。


自分たちが先ほどまで対峙していたオークに剣で斬撃を与える彼の姿を。


仲間を守るために1人戦う彼の姿を。


ゼノは必死になって波に逆らおうとした。


火龍から逃げ惑う冒険者たちの波に。


しかしその試みが叶うことはなく。


ゼノは、彼の異変にいち早く気づいた回復術師の手によって、半ば強制的にその場から連れ出されてしまった。





結果として、カサベルが戻ることはなかった。


火龍が騒ぎを聞きつけた下層——第40層から第80層の総称である——に潜っていたパーティたちの手によって討伐された。


そんな記事の横に張り出された今回のイレギュラーの犠牲者の名簿。


上から数行のところであった。




カサベル・エイライト|ハウス・カセメリナ ティグリス所属




ティグリスは統率を失った。


誰もが沈んでいたが、まず壊れたのは、エルフの女性回復術師であるサラであった。


カサベルを助けに行こうとしていたゼノを無理矢理離脱させ、必死に自分の命を救ってくれたサラに、ゼノは感謝していた。


しかし仲間たちは違った。


サラ自身も違った。


リーダーが危険な目に遭っていることがわかってい他にも関わらず助けに行かず、それどころか助けようとしたゼノを妨害したと、ゼノ以外の仲間たちは皆彼女を非難した。


それは彼女も同じであった。


自身を責め続け、結局事件から2週間と経たずに、彼女はこの世から姿を消した。


回復術師でありながら、ダンジョンで1人でオークと戦い、敗れたのだそうだった。


彼女は後悔と闘い、後悔の元と戦い、敗れた。次に責められたのはゼノであった。


彼に対しての仲間たちの態度は、サラの時よりもひどいものであった。


少なくともゼノに、立ち直った後、生涯ソロでダンジョン攻略に挑もうと決意するには十分すぎるトラウマを植えつけた。

—————————————————————————————————————

「ルア。」


アルサの呼ぶ声に。彼はハッと顔をあげた。


「ルア。何か我々に隠していないか?」


「………」


ルアには黙ることしかできなかった。


「ルア。私は仲間たちを守りたい。自分とて周囲から非難される存在になり、攻略も思うようにできないなんて、そんな人生は歩みたくない。知っていることがあるなら教えてくれないか。」


「………………。いつからだ?いつから気づいていたんだ?まだ俺たちは出会ってから本当に間もないだろう」


「そうだな…。正直に言えば最初の顔合わせから違和感は感じていたさ。ステータスの開示のことから、何かを隠していることはわかってた。だがまあ、その違和感が疑いに変わったのは、お前の戦闘を見てからだ。あのスピードと刀捌きは、とても2ヶ月なんかで身につけられるものとは思えなかった。そもそも本当に新人なら、俺たちの戦闘を観察して自分の役割を見出すなんてできっこないだろう?」


少し笑った後、アルサは続けた。


「決定打はもちろん今さ。俺たちが必死に今後を話し合ってる時、お前だけはずっと何か思い詰めた顔だった。一言も発さなかったしな。まあどうしても話す気がないというなら俺たちだって無理には聞けない。だが、俺は仲間と自分を守りたい。」


ルアはアルサの最後の言葉を聞いて、確信した。


彼は本当に純粋な人柄だ。


彼にここまで言わせておいて、もし俺がここで話さなくても、きっと彼にずっと隠し通すことは叶わないだろうと悟った。


「わかった。単刀直入に言えば、俺は今の状況下では、実質このパーティの、ハウス・アイギスの敵なんだ。」


「敵…?それはつまり、お前はギルドの人間だとでも言いたいのか?」


「近いな。俺は冒険者だが、ギルドと強い繋がりを持っている。具体的にいうなら…。」


一呼吸置いた後、決心したようにルアは——ゼノは、口を開く。


「具体的にいうなら、俺は、まさにさっきメイナが言っていたこのハウスへの疑いについての真実を探るためにギルドから潜入捜査に派遣されたんだ。」


明らかにパーティ内に動揺が走った。


「ルアくん。ここまできたならもう隠し事はやめてほしいな。君は…。任務とかじゃなくて、君自身は、一体何者なの…?」


メイナが恐る恐る聞く。


ゼノは彼女の目を見つめて、その後、自分に対し不安の目を向けている、ハウス・アイギスの第16部隊のパーティメンバー全員を見渡して、口を開いた。


「その前に一つ確認したいことがある。この中に、アイギスの悪行に加担したことのあるもの、もしくはその悪行について何か知りながら黙認してきたものはいないか?」


「私は一切関与してないよ。」


「俺もだ。」


「私もだ。神に誓ってそのようなことはない。」


「うん。私も。全くの無関係。」


フィナ、ガルド、アルサ、そして最後にメイナ。


全員の言葉を聞き、全員を今一度見渡した後、ゼノは一枚の紙を4人に差し出した。


紙には次の内容が書かれていた。


これを見た4人が、例外なく瞠目し、ゼノを呆然と見つめた。



ゼノ・クラウディア

Lv51[特級]

〈ベースアビリティ〉

攻撃 2001 SS

俊敏 1629 S

防御 1738 S

魔力 1930 S

〈魔法〉

グラビス

 重力系最大魔法。

サンダス

 電雷系最大魔法。

パラリズ

 異常状態発症魔法。

クリアート

 ユニーク魔法。消滅魔法。

シャーパー

 ユニーク魔法。刃物系武器の攻撃力増加魔法。

〈スキル〉

異常状態耐性

 麻痺などの異常状態への耐性

勇者属性

 自分よりもLvが15以上上の相手に対しアビリティ補正。

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