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孤高と絆の冒険譚〜ソロ最強は仲間を知りたい〜  作者: 富士都


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2/2

第二話 ソロ最強、歓迎を受ける。

一人の男が、大きな屋敷の門についたベルを鳴らす。全身をマントで覆い、いかにも気力のなさそうな顔をした男である。

「先日このハウスへの加盟を申請した者です。」

「名は?」

「ルア・ホーキング。」

「ホーキング……。よし。入ってくれ。」

男は開いた門を潜り、屋敷の中へと足を踏み入れた。

—————————————————————————————————————

「お前が今日から所属するのはこのパーティだ。」

「第十六部隊…」

「そう。そこだ。このハウスでは末端のパーティだが、なかなか見込みのある奴らが所属してる。しっかり追いついて上に上がれるように頑張ってくれや。」

「わかりました。」

ルア・ホーキング改めゼノ・クラウディア——アイギスに潜入している間はルアと呼ぶことにする——は、ハウス・アイギスへの潜入を見事成功させていた。この見た目から、あのゼノ・クラウディアを連想する者はまずいないだろう。ステータスさえバレてしまわなければ、戦闘時に実力を隠しきれれば、何も問題はない。

「じゃあ、十六部隊の奴らには新人が来るって話は通してある。このままつきあたりの第三会議室ってとこまで行って仲間と会って話してきてくれ。あとのことはあいつらに指示を出してある。」

「わかりました。ありがとうございます。」

「おう。あ、ちなみに俺の名前はナサ・カベリアだ。なんかわかんないことがあれば、もしその場にいれば聞いてくれて構わないからな。」

「ありがとうございます。それでは。」

ルアはまっすぐ廊下を進み、一時的とはいえ仲間となる者たちとの顔合わせに向かった。

「失礼します。本日からこちらの第16部隊で前衛としてお世話になります。ルア・ホーキングです。」

「お、きたか!」

「初めまして〜」

「よろしく頼む。」

少し興奮気味に立ち上がるドワーフの男性が一人。おっとりとした口調の小人族(ピュグマ)の女性が一人。静かにこちらを向き軽く微笑むエルフの男性が一人。

「じゃあ、そこの席に座ってね。最初にみんなで自己紹介しちゃおっか!」

最後に、ルアと同じヒューマンの女性が一人。

「じゃあまずは私からー。私はフィナ・ルゥ。ピュグマだよ。中衛でショートボーガンとか弓とかを使って前衛をサポートしてます。よろしくねー。」

「俺はガルド・ドランゼット。ドワーフでお前と同じ前衛だ。よろしくな!」

「私はアルサ・レイフィールだ。エルフで、後衛回復術師を務める。よろしく。」

「じゃあ最後に私だね!この第十六部隊のリーダーを務めてます。後衛魔術師のメイナ・フォールです。わかんないことあれば私に聞いてね。」

彼らの自己紹介を静かに聞いていたルアも口を開く。

「ルア・ホーキングです。気軽にルアと呼んでください。前衛としてお世話になります。」

「そんな硬くならなくていいのに。仲間なんだから。敬語もいらないからね。」

ルアはメイナの明るい声に少し戸惑ったが、

「わか…った。よろしく。」

と口にする。

それを聞いて頷いたリーダーが、ここからが本題だというように座り直し、ルアにも自分の隣に腰掛けるよう促す。

「さて、じゃあ早速なんだけど、ダンジョンに行くための準備をしようか。ガルドさんに加えてルアくんも前衛に加わったわけだし、今まで二十五階層が限界だった私たちももう少し先に進めそうだよね。」

「まあそうだろうとは思うが、念の為連携確認はすべきだろう。時にルア、ステータスを我々に開示することは可能か?うちのハウスはその辺は自由だ。開示したくなければしなくても構わないし、そうとあれば我々も余計な詮索はしない。」

アルサが、少し気遣うような眼差しで尋ねる。

「すまない。ステータスの開示はできればしたくはない…。」

「そうか。それならそれで全然構わないんだが、実力は知っておきたい。連携確認の際、このモンスターならソロで倒せる、というモンスターがいれば教えてほしい。一度戦闘を見ておきたいからな。」

「わかった。そうするよ。」

「さてと。じゃあ明日にでも連携確認に出かけてみよっか。場所は一階層から十階層まででどう?」

メイナの提案に反論は出なかった。

「じゃあそういうことで。一応、ルアくんがなんの武器を使っているのか教えてくれる?ガルドさんとの相性も知りたいし。」

「そうだな。基本的には刀を使うことが多いが、ソードと槍も使うことはできる。前衛と言いはしたが、ガルドとの相性次第では槍を使って中衛にコンバートもできる。」

「おおー。頼もしいね。ガルドさんは斧を使うから、刀を使って前衛をこなすのが一番相性がいいかもね。刀は前衛の中じゃ攻撃可能な距離も長い方だし、斧は近距離特化だって考えたらそれがいいとおもう!」

ここもやはり冷静な分析をこなすのはメイナだった。

「わかった。それでやらせてもらう。」

心の中でメイナの分析力に感心しながら、ルアはそう答えた。

「よし、じゃあそんな感じで。明日は、このハウスの正門に朝の8時に集合しよう。それじゃ今日は解散!」

「おおー。想像よりすっごく早く終わったね。」

「ふふ、ルアくんが出してくれる情報も的確だし早いしね。期待できそうだよー。」

フィナとメイナが笑い合って言葉を交わす横で、ガルドは豪快な笑みを浮かべながらルアに声をかけていた。

「ルア。せっかくだ。このあと歓迎会を開こうじゃねえか。どうだ?うまい店知ってるぞ。」

「そうだな。せっかくの新たな仲間だ。歓迎会はいい考えだな。」

横でアルサもふんふんと頷き同意する。

「いいじゃん!でもうまい店ってどこの?」

「まあついてこい。すぐ近くだしな。」

フィナの問いに、ガルドはやはり豪快に笑いながら応えた。

—————————————————————————————————————

ハウスから歩き始めてほんの二、三分で、ガルドが足を止めた。ルアが横を見ると、そこには居酒屋と思われる店が一軒。思われる、というのも、この店、居酒屋にしてはあまりに静かだった。

「ここ…?大丈夫?なんか静かだし怖い感じがするよ?ガルドさん。」

「まあまあ。入ろう。入ってみりゃわかるさ。」

メイナの不安そうな顔と問いをよそに、ガルドはバンッと勢よく戸を開けて店に入る。

「ガーナさん!5人だ!パーティの新メンバーの歓迎会がしたい。いいか?」

ガルドが呼びかけると、奥からドワーフの男性が愉快そうに出てきた。

「来たか金蔓。最近顔見せねえからこの店畳むか悩んでたとこだ。お前とあと数人しかこの店来る奴なんざいねえからな。しかもあんなに金払いがいいのもお前くらいなもんだ。」

ガハハハハ…と大きな笑い声を上げるこの男性がおそらくガーナさんであろう。同じように笑い声を上げながらガルドは仲間を手招いて、店の奥の大きな机の周りを囲んで座るよう言った。

「ここはドワーフのガーナさんが一人で営んでる居酒屋さ。さっき言ってたが、本当、ここにはほとんど客は来ねえんだ。俺が潰れて欲しくない一心で金払ってる。まあそういうわけだし、ここは俺の奢りだから好きなだけ食えや。」

「ありがとうガルド。大人しく歓迎されるよ。」

ルアのその言葉に、ガルドは嬉しそうに笑った。ルアとしては、ドワーフという種族は本当によく笑うなと学んだところであった。

「ルア!ルアの出身ってどこなの?」

「ルアはどうしてこのハウスに来ようと思ったんだ?」

「ルアくんはこれまでパーティを組んでたの?」

フィナ、アルサ、メイナの3人に質問攻めにされあたふたとするルア。それを笑いながら眺めているガルド。

「たんまり食ってたんまい金を置いてけ!」とどんどん料理を運んでくるガーナ。この夜、ガーナの居酒屋は一番の盛り上がりを見せ、一番の売り上げを記録した。

—————————————————————————————————————

「みんなおはよ!」

メイナの元気な声が青空に響く、歓迎会の三日後の朝八時。ハウスの正門前。あのあと、二日酔いだ、夜風にさらされ風邪をひいた、などの理由から、メイナとルア以外の全員が家から出て来れず、結局連携確認は二日も延期となった。

「まさかあのような醜態を晒すことになるとは…。エルフとして恥じることしかできん。申し訳ない…」

「ごめんねえ。自分がお酒に弱いこともすっかり忘れて飲み過ぎちゃった…」

「まあまあ、仕方ねえさ。楽しかったもんな。今日から気合い入れて頑張ろうぜ。」

アルサとフィナは順に仲間に謝罪した。もちろん、風邪をひいておきながら何も言わず偉そうにものを言うガルドは、メイナとフィナにコッテリと絞られていたが……。

「じゃあ気を取り直して、ダンジョンに向かおっか!」

メイナの号令のもと、ハウス・アイギスの第十六部隊はダンジョンへと足を運び始めた。

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― 新着の感想 ―
お話、少しずつ動き始めましたね!なんだかいい仲間に見えますけど噂、どうなんでしょうか…
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