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孤高と絆の冒険譚〜ソロ最強は仲間を知りたい〜  作者: 富士都


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1/2

第一話 ソロ最強、依頼を受ける。

鬼剣(きけん)

常識はずれの実力を持つ一人の冒険者、ゼノ・クラウディアを、人々は口を揃えてそう呼ぶ。ルーキーとして出てきてからのたったの三年で世界一のステータスまで辿り着き、この称号——レベルが一定に到達した冒険者にギルドが与える——を得たほどの実力者である。しかし彼は、頑なにパーティを組もうとしなかった。過去に縛られ、どうしても仲間ができたときに信頼関係が作れないと思い込むゼノ。そんな彼に、一人の男、アイン・レクスから一つの依頼が舞い込んだ。自らの師であり、現役時代には、全体の冒険者の一割程度しか到達できないといわれる第一級冒険者にまで上り詰めた実力者。尚且つ彼はこの世界一の冒険者都市、アウヘルのギルド長。そんな彼からの依頼など断れるわけもなく、気づけば面倒ごとに巻き込まれるゼノ。これはそんな彼の、信頼や絆を求める、壮大な冒険譚である。

—————————————————————————————————————

世界一と名高い冒険者都市、アウヘル。

その中央に堂々とそびえる冒険者ギルドの中の一室、応接室。高級感と質素感が混在するこの部屋で、二人の男が椅子に座り対峙していた。入り口を正面に腕を組んで座っているのがアイン・レクス支部長。かたやその正面で気の抜けた顔で自分の鎧を撫でているのがゼノ・クラウディアである。

「ゼノ。なぜ俺がこんなところにお前を呼び出したかわかるか」

「どうせまたパーティ組めとかいうんでしょう?いくら言われたって俺は誰かと組むつもりは毛頭ありませんよ。」

「正直パーティを組んでほしいとは思っているが…。しかし、今日呼んだのはそのことについて話すためじゃないんだな。」

「ということはまた面倒くさい仕事を回されると。わかりました。失礼します。」

ゼノはすぐさま部屋を出て行こうとするも…。

「ゼノ様。本来はパーティ単位でしか探索できないレベルのダンジョンにまで、あなたがソロで入れるのはなぜでしたっけね?」

エルフの女性に呼び止められる。名をエーシャ・エイディ。アインの秘書的役割であり、同時に称号——ゼノでいう『鬼剣』のことである——の授与やその決定など、冒険者に対しての直接の対応に関する業務は基本的に彼女中心で回っていた。ゼノにとっていちばん苦手な存在はおそらく彼女。本来ギルドの規制によって、Lv6を超えるカテゴリのダンジョンには、それぞれのダンジョンに対応するレベル制限があり、その全てに共通する条件が複数人数でのパーティを組んでいることなのだが、彼女の采配によって、ゼノはソロでのダンジョン入場が許されていた。なので彼女の機嫌を損ねることは、ゼノにとって自由にダンジョンが探索できなくなることに直接的に繋がってくるのである。

「ああ、わかったよ。わかりましたよエーシャ様。お話だけでも聞いていきましょうか。」

「そう来なくっちゃな。」

「あなたがきっかけではないですよ師匠。あくまでエーシャさんに言われたからです。」

「そうかそうか。そりゃあ意中の相手に頼まれちゃ断れねえわなあ。」

今度はエーシャがあたふたする番だった。

「ア、アインさん!?何を言うのですか!ゼノ様がこの私に…こここ…恋をしていると!?」

「なーんだ?エーシャ。満更でもないってか?」

ニヤついた上司の顔を見て自分は揶揄われているのだと悟った瞬間。

「ゼノ様。やはりお帰りいただいても構いません。私は何も言いませんので。」

「だあああエーシャ!悪かった!悪かったからゼノを帰らせるのはやめてくれ!」

「ならもうそのような発言はなさらないことです。」

「わかったよ…わるかった。」

「ちなみにセクハラで訴えることも可能ですからね?」

「謝っただろお…追い打ちかけないでくれや…」

そんな二人を冷めた目で眺めていたゼノが口を開く。

「夫婦漫才はもういいから要件話してくださいよ。俺だって暇なわけじゃないんですから。」

「ああ悪かった。では本題に入ろうか。今回お前に頼みたいのは、いわゆる潜入捜査だ。」

「……………。……………は?」

「何をそんなに驚く。冒険者への依頼ん中じゃ比較的定番なものだろう。」

「そーーいうことじゃないでしょうが!潜入ってことはパーティにスパイとして加盟しろってことでしょう!?俺はパーティ組みたくないからソロでダンジョンに潜れるようにこうしてあなたの話聞いてるんすよ!」

「それは知ってるさ。だが潜入捜査だぞ。お前の力量さえあればすぐに終わる。そうしたらまたすぐにソロで活動できるさ。」

アインは何も問題はないというように笑って言った。

「本気ですか。俺に一時的とはいえパーティを組めと……?というか、そもそも潜入対象はどこなんですか?」

「ハウス・アイギスだ。」

「は?アイギス?あの世界でも有数の実力を持つハウスに?これまたどうして。」

『ハウス』とは、このアウヘルで誕生した一つの冒険者のまとまりである。冒険者は、ゼノのような例外を除けば基本的に五〜六人程度でパーティを組む。しかし、このパーティがアウヘル内だけでも溢れかえるほど登場しただけに、ギルドが管理しきれなくなった。そこでギルドは、実力順に百ほどのパーティに声をかけ、彼らよりも実力が下のパーティの長をやってもらうよう依頼した。そうして出来上がったのがハウス制度であり、資産の運用や戦利品の管理、新生冒険者の指導などについては全てこのハウス単位で行ってもらうようにした。ダンジョンにも、パーティはどこかしらのハウスに所属せねば潜ることはできない。

アインは神妙な面持ちで口を開いた。

「それが、最近アイギスの周りで良からぬ噂が行き交っていてな。」

「良からぬ噂……?」

「事実なのかどうかはわからないぞ。ただ…。どうも、何かしら生物に悪影響を与える、いわゆる毒物を含ませたポーションを売っているらしくてな。それに、ダンジョン内で何の前触れもきっかけもなく、いきなり他のパーティに襲いかかった例もあるらしい。」

「何かしらの目的があって、冒険者を狙っていると…?」

「そうなるな。ギルドとしては、やつらのライバルであるハウス・シュタークを狙っているって見解を持ってる。シュタークに抜かれたらハウスのランキングでトップ10から落ちちまうからな。実際に狙われたパーティのうちの八割以上がシュターク所属だ。まあどれもこれも、この噂が本当ならだからな。」

「でもそれなら、シュタークがアイギスを陥れることでトップ10を狙おうと噂を流したという可能性もあるんじゃないですか?」

「そうなんだ。でもまあそこも含めて、アイギスに潜入すればわかるだろう。アイギスが黒ならそれまでだし、白なら噂の出所をこっちで探ればいい。そういうわけで、お前には正体を隠して新生冒険者としてアイギスに加盟してもらいたい。」

「俺の正体がバレないという保証は?それにもし何かの拍子で怪しまれた時、アイギスを俺だけで相手取ることは可能なんですか?」

「前者はエーシャの変装魔法を使えばまず正体はバレない。後者に関しても問題はない。アイギスといえど、リーダーのエンブス・ハンブルクでやっとLv30、第三級冒険者に到達して間もないってとこだ。Lv50オーバーの特級に片足突っ込んでるお前なら、一人でもどうとでもなるだろう。」

Level。モンスターとの戦闘に限らず、対人戦、トレーニングなど、すべての強くなる要素によって手に入るいわゆる経験値が貯まることで上がる。これが上がることでもたらされる利益が、ステータス値の限界値が引き上げられることだ。昔、始まりの神と呼ばれる神が、ダンジョン出現に伴って冒険者に授けた、能力を可視化するステータス。これの限界値がLevelごとに定まっている。

「まあそういうわけで、お前の中の不安要素はすべて取り払われた。問題ないな?」

「はあ…。わかりました。ですが、二週間。二週間全力で探っても尻尾が掴めなかったら僕は任務を放棄します。その時は僕を頼ることは諦めてください。それから報酬として、十万トールを所望します。」

「わかった。期限も報酬もそれで構わない。潜入捜査の準備が整ったら連絡をくれ。」

「わかりました。それではこれで。」

応接室を後にするゼノ。ついでに久しぶりにステータスでも見ておこうかと、『測定室』へと向かう。そこでステータスとレベルを明確にした上で、彼は武器の整備のため、武具店へと向かった。







ゼノ・クラウディア

Lv51[特級]

〈ベースアビリティ〉

攻撃 2001 SS

俊敏 1629 S

防御 1738 S

魔力 1930 S

〈魔法〉

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〈スキル〉

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― 新着の感想 ―
始まった感というよりはいきなり世界観が出来上がってる感じですね。これからの展開、楽しみにしてます!
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