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ルビー・クルビン5

 最初にこの夜会の建物を城だと思ったが、中を見ていると、城というより大聖堂のようだと思うようになった。仰ぐほど高い。天井にはステンドグラスがはめ込まれている。蝋燭の炎でぼんやりと浮かび上がるそれに描かれているのは教典にかかれた創世の物語だろう。羽を生やした妖精王が、涙を四つ垂らし、季節を作り出した場面だ。

 紳士達に紛れて、廊下を進むと、夜会の会場にたどり着いた。

 絨毯だけでなく、窓を覆うカーテンも、天井から下げられる天幕も全てが赤かった。一瞬、燃えているのかと思ったほどだ。夜会でよくみる純金でできた燭台や絵画、それに美しい花瓶が見当たらない。ただ、淫靡な匂いが辺りに充満しているだけだった。どこか、居辛さを感じる。

 雰囲気も、装いも、いつも参加する夜会とは全く違う。

 ルビーさんが、侍従からシャンパンが入ったグラスを受け取っている。

 周りを見渡すと、同じように酒を受け取りながら、男性陣がそわそわしているのに気がつく。尋常ではない熱気を感じた。会場をじわじわと温めている。

 ルビーさんが私にグラスを渡して、飲み口をぶつける。カコンと可愛い音が鳴った時、紳士達がわあっと歓声を上げた。

 なんだろうと視線を動かし、絶句する。

 先ほど通ってきた廊下から、女性達が現れたのだ。仮面をつけ、顔は隠しているが、む、胸とか、隠すべき部分が丸見えだ! 扇情的という言葉を超過している。裸体を晒しているような姿だった。布が、申し訳程度にしか巻き付けられていない。

 はしたないって言葉しか頭のなかに出てこない! こんなの、女性に対して失礼な格好だ。この姿を喜ぶなんて、紳士ってなに? 獣の類義語なのだろうか。 普通なら、この人たちがはしたない、 服を着なさいってたしなめるはずなのに。

 女性たちがその格好のまま、男性に絡み、深い口付けを交わす。それを当たり前のように受け入れて、男性が押し倒している。この場は、狂乱の宴となり、女性の嬌声があちこちで上がっている。信じられないことに床に寝転がり行為をしようとしている。

 耳を塞いで逃げ出したくなる。理性が蕩け、みんなが獣になっている姿を直視したくない。ロイスに会いたい。彼は理性の塊だ。彼以外は皮を剥げば欲望の虜なのかもしれない。女性には貞節を守らせておいて、貴族の男性ってこういう人ばかりなの? 言いたいことが頭にいっぱい浮かんで言葉がごちゃごちゃしている。気を抜くと気絶しそうなぐらい、衝撃を受けている。


「なにをしている。ほら、さっさとサバルを見つけるぞ」


  ルビーさんは平然とあたりを見渡すと、私の手をひいて歩いていく。

 周りには、私達のように歩いている二人組ももちろんいるが、圧倒的に床に寝そべる人達が多い。あまり床を見ないように天井を見上げる。涙を流し、四季を作り上げた妖精王も、まさか人の欲望がこれほどあけすけなものだとは思わないのではないだろうか。


「こら、イライザ。お前、きちんと見つける気があるのだろうね?」


 ルビーさんに髪を引っ張られ、覚悟を決める。人形のように思えば、心を閉ざして見る事が出来るはずだ。

 ルビーさんが、愉快そうに、そしてなにかを吹き飛ばすように笑い声を上げる。

 なぜ、そんなに快活な声を上げることができるのだろう。

 まるでルビーさんまで、この異常な空気にのまれてしまったようだ。不安でいっぱいになる。不思議な世界に迷い込んでいる気がした。

 



 奥手だときいていた。

 マリー嬢を見つめる、愛おしそうな瞳を、何度も見たことがある。あれが恋情でなければ、恋の数はとても少ないに決まっている。

 でも、ならば、この行為はなんだろう。

 この獣はだれなのだろう。

 夢だと思いたかった。嘘だと誰かに否定して欲しい。目の裏がかわいて仕方がない。どうしよう、泣きそうだ。

 誰のために、マリー嬢は頑張ってきたのだろう。誰の隣に相応しくなるために、淑女修行を? お茶会で泣きついてきた、今にも崩れそうな彼女の心を踏み潰して、粉々にしたいのだろうか。そうして、空っぽになった体はなにで埋めればいいのだろう。

 サバル様を見つけた。

 仮面をつけた彼は、淫らな格好をする女性に跨り、腰を振り続けていた。

 汗が、彼の頬からぽたりと床に落ちる。

 そのたびに、甘やかな女の声が上がる。

 頭を箒で叩かれたような衝撃だった。ただただ、目の前に広がる光景が信じられない。

 サバル様が顔を上げた。苦悶を浮かべるその表情を獣だと思った。

 ここに獣がいる。荒い息を吐き、女を陵辱している。

 マリー嬢は、ずっとあなたを待っているのに。

 なぜ、こんなところで、こんなことをしているのだろう。ひどい、酷い仕打ちだ。

 マリー嬢がなにをしたというのだろう。必死で浮気はしていないと訴えたのに聞く耳を持たなかったのは、もはやマリー嬢に気持ちがなかったから? それを誤魔化すためにマリー嬢を詰ったのだろうか。自分の虚栄心のためだけに、恋心を踏み躙ったのか。


「イライザ、男とは本当に汚れた生き物だ」


 ルビーさんの顔ににこりと笑いかける。

 唐突なことに驚いたのか、目を丸くするルビーさんの背をぐっと押した。驚いたルビーさんが横に足を移動させた。視界が一気に広がった。

 私は持っていたグラスを思いっきりサバル様に投げ付けた。グラスは彼の頭にあたり、中味のシャンパンをこぼしながら、地面で粉々に割れる。


「イライザ!」


 ルビーさんの呼ぶ声が、どこか空虚に聞こえた。

 投げ付けられたショックで動きを止め、こちらを苛立ちの眼で見つめてくるサバル様に、ヒールの音を立てて近付く。

 ルビーさんが静止するように手を掴んだが、振り払う。

 サバル様に跨られている女の顔がよく見えた。整った顔立ちだが、どこか幼い。マリー嬢を連想させる、可憐さを持つ少女だった。今は、顔を赤く火照らせ、私とサバル様を交互に見つめている。

 ヒールで砕けた硝子を踏んだらしい。パリンと小さな音がした。


「御機嫌よう、マリー嬢の婚約者様。獣の時間をお邪魔してしまい申し訳ございません」


 唇がつり上がる。サバル様が一瞬、少女を一瞥し、私に視線を戻した。


「無礼な方だ。この仮面をなんだと? 無礼講がこの仮面の意味だと思いましたが」


 男らしい低い声だった。少女から身を離して、きちんと服装を整えはじめる。他人にじっくりと見られる趣味はないらしい。ここで続けられても困るので好都合だ。


「これは失礼を。しかし、私は、あなたのマリー嬢より伝言を預かっております」

「……あの人から。おかしなことだ。どうしてあの人が、俺がここにいると知っているのです。そもそも、貴女はどなたか分からぬのに信じろと? 妄言かもしれぬのに」

「この声を聞いてもお分かりにならない? 一度、ご挨拶させていただいたことがあります。マリー嬢から紹介されて」

「残念なことに、あの人から紹介された人は多くてね。覚えておりません」

「イライザ・オズフェルでございます」


 私の名前に先に反応したのは、驚いたことにサバル様ではなく少女だった。


「イライザ?!」


 びっくりして少女に目を向ける。彼女は、サバル様と違い、床に寝そべったままだった。


「イライザ嬢ーー魔法公爵夫人か」


 サバル様に視線を戻し、こくりと頷く。ロイスは魔法使いだ。魔法公爵はそれからきている。サバル様はきちんと覚えてくれていたらしい。きちんと居住まいを正した。


「どうしてこんなところに」

「先ほどお伝えしました。マリー嬢から伝言を預かっておりますと」

「俺も先ほどお伝えしたはずだ。あの人が俺がここにいることを知るはずがないと」

「ご存知です」

「ご冗談を」


 そうだったらどれほど良かったのだろう。

 マリー嬢は知っている。おそらく、無知でやってきた私より、この夜会が淫らなものだと分かっていたはずだ。


「あの人が、俺の行動を気にするはずがない」


 淡々としていた声がいきなりうなるような声に変わった。苦虫を噛み潰すような、憎々しげな声だ。


「あの人が好きなのは、もっとお高くとまった男だ。優雅で気品があって、獣のような、壁のような俺ではない」

「それは誤解です」

「誤解なものですか。あの人は俺以外に想い人がいらっしゃる。ならば、俺とて遊んでよいでしょう。もう少ししたら、嫌でもできなくなる」


 それは違うのだ。どうして、分からないのだろう。それになんで、サバル様のほうが傷付けられたみたいに言うのだ。自暴自棄になっていないだろうか。


「帰って下さい。慰みなどいらぬ。俺には、あの人の言葉などいりません」

「面倒くさい男だ。女に浮気されたぐらいで、他の女に慰めて貰っているのか。愛想を尽かす理由が分かろうというものだ」


 いつの間にか隣に来ていたルビーさんがそう言って煽った。サバル様の琴線に触れたようだ。眉がくっきりと上がる。


「なにを言う!」

「惚れた女だろうに、一度の浮気ぐらい見咎めず、寛大に接するべきでは? お前のような狭量な男の妻になるのだ。少しぐらい羽目を外させてやればよいだろう」

「あなたは、あの人の不貞を許せというのか」

「お前はどこぞの第六王子のように、他の男の垢がついているからとやすやすと捨てるのか。貴族の女なのだ。火遊びぐらい普通だろうよ。むしろ、一人というのは慎ましいぐらいだ。何人もの男を受け入れるのが、女の性だ」

「なにも知らぬ癖によくもそんなことを。あの人は、俺以外を愛さぬと約束しておきながら、やすやすと裏切ったのだ」


 約束。

 とくんと心臓が跳ねる。

 約束はするもの。そして、破られるものだ。だが、マリー嬢は違う。裏切ってなどいない。


「約束を反故にされたから許せぬと。だから、お前は彼女を捨てるのか?」

「捨てる、捨てると馬鹿なことを。俺とあの人は結婚するのだ。一生離れぬ誓いを立てるのだ。想い人がいようといるまいと関係ない。俺があの人の夫となるのだ」


 愉悦が声のなかに溶け込んでいた。戸惑う心に染み込んだ黒い欲望が見えた気がした。

 笑ってしまいたくなる。

 マリー嬢の想い人はあなただ。いつまでも、変わらず、あなただけだ。


「だが、復讐せねば気が済まぬ。あの人も俺と同じ痛みを味わうべきだ」

「愚かな男だ。お前の痛みと女の痛みが同じであるわけがないだろう。それさえも分からぬほど、女が恋しいのか。女々しい男だ」


 ずけずけと物を言うルビーさんに、サバル様は憧憬と焦燥が混じった表情をした。

 やはり、サバル様はマリー嬢への気持ちがないというよりは、マリー嬢が浮気をしたっていうことに打ちのめされて浮気心をくすぐられたということらしい。

 どうして、人はすれ違ってばかりなのだろう。話し合うことでは、解決できない? では言葉は、何のために存在するのだろう。会話にはなんの意味がある?

 拗れるだけならば、針で縫い付けて、唇などとじてしまえばいい。そうしたら、傷つけ合うことも、無意味に詰ることもしなくてすむのに。


「なんとでも言えばいいさ。俺はそうしなければ自分が保てないのだ」


 どうしてだろう。あんまりだと思っていたのに。マリー嬢が可哀想だと、憤っていたのに。

 自尊心がばらばらにされ、踏みつけられたのに、立ち上がらなければならない。そんな、悲しい声をサバル様は出した。

 この人は可哀想な人だと、頭のなかで声がする。誰もが傷つけ合って、そうして生きていくのだろうか。


「今晩、自室で寝ずに待っているとマリー嬢が言っておられました」


 仮面で隠れている目より、見えている唇の方が正直だった。震える唇から溢れたのは、色がつきそうなほど熱い吐息だった。


「なにを馬鹿な」

「本当です。マリー嬢は囚われの姫のように来訪を待っている」

「いかなる甘言で俺を誑かすつもりだ。天国を見せ、再び地獄へ叩き落すのか? なんという、無慈悲な」

 それでも、なにかに縋るように、真摯な表情で私に尋ねた。

「……あの人が、俺を?」

「ええ、あなたを」


 サバル様は突然走り出した。

 別れの挨拶もせずに、一目散に出口のほうへ向かっていく。途中で何人かの紳士とぶつかりながら、サバル様は、赤い部屋を越えて廊下の奥に消えていく。

 しばし茫然としていた私の耳に、ルビーさんの今日一番の笑い声が聞こえた。


「イライザ、見た? あれが野を駆ける野獣たる証だ。女に弄ばれ踊っているとも知らず、情けない!」


  狂ったように笑うルビーさんの瞳にはとてもじゃないが正気じゃない。戦々恐々とルビーさんを見つめる。


「ここにいる連中も、女の恐ろしさを知らぬ。そのくせ、支配欲を満たし、己が優位であると疑わない。なんと滑稽であることか! 女とは畜生より劣ると誠に信じているのだよ、イライザ。ではその畜生に踊らされる男とはどれほどのものか!」


 女は畜生にも劣る。

 それは、ルビーさんが直接言われた言葉?

 悪意の詰まった言葉だ。石を肺の中にいれているみたい。人の口は魔笛だ。災いと祝福の二つを呼び寄せる。

 突如、顎を持ち上げられ、口付けをされる。捕食する獣。さっきみたサバル様とルビーさんの姿が重なる。

 何度も突き上げ、淫らに体を浸して。なにかを忘れようとしている。


「ルビー、さ」

「ねえ、イライザ。男など、女を家畜としか思っていない無粋な生き物なのだよ」


 下唇を柔らかく食まれた。


「みるといい、女達にのっかり、揺さぶり、それで男達は満足している。だが、ほらよく見てみると良い。あれは蜘蛛に捕食されている虫のようではないか。浅い息を落とし、体を食われながら踊っているようじゃないか」


 そうなのだろうか。

 私には誰もが獣に見えた。狂乱の宴を耽溺しているようにしか。

 人ってこんなに汚かった?

 えぐえぐと豚のような声がきこえる。それは人の声なのに、理知の光がなかった。どうしようロイスと、ここにはいない愛しい夫に尋ねたい。呪文を唱えて全部消してしまいたいぐらい、猥雑。羞恥心はどこにいったの! 床を這いつくばってでも探してあげたい。


「男どもは皆狂えばいい。一人残らず女の養分となり吸い尽くされてしまえ!」


 ルビーさんの高らかな声が、心の隙間をつつく。

 私は過去に狂ってしまった男を二人見たことがある。女に狂い、死ぬほど焦がれた。誰かを殺しでも、蹴落としても、腕の中に閉じ込めて精一杯体が軋むまで抱き締める。彼らは地獄と天国を行き来しているように、苦悩し、愉悦を味わっていた。

 端から眺めることしかできない私はただ、辛くて、怖くて、嫌で嫌でたまらなかった。


 そんな人達をまた、見るの?

 胸が何度も叩かれているように痛い。

 私はルビーさんに抱き付く。

 驚くルビーさんを無視してぎゅうっと締め付ける。

 とくとくと心臓の音。ちょっぴり、切なくて愛しい音。浅く吐息を吐く。

 心音に安心して、体を離す。

 ルビーさんは私の肩に手を置いて、こほんと咳払いをした。


「イライザ、その、この夜はなにか予定が?」


 問いかけに、すっかり忘れていたルイスの言葉がよみがえる。

 はやく帰ってこないとーー。


「ルビーさん! はやく帰らなきゃ!」


 ルイスに浮気される! 他人の仲を取り持って、夫に愛想をつかされるなんて笑えない。どわだわ慌てていると、さっきまで大人しくしていた少女が鼓膜をはちきらんばかりに声を上げた。



「この泥棒猫!サバル様になにを言ったのよ!」


 貴族令嬢が吐き出す言葉なのかな。

 泥棒猫って、劇以外ではじめて聞いたかも……。


 おそらく、少女はアリギス・モギュレットだ。

 ベビーピンクの髪の毛は肩まであり、少し内側に丸まっていた。髪の毛の先端が、豊かな乳房の上でかすかに揺れている。

 少女の体をしているのに、体はすごく扇情的。幼さのなかに華やかさがある顔立ちをしていた。

 彼女は私を睨みつけ、口端に泡を出しながら罵った。


「あんた、人の男とっておいて、その態度はなに? 私は貴族よ! ひれ伏しなさい」


 ぱちりとルビーさんの見つめ合う。

 私も一応貴族なんだけど。えっと、そうは見えない? さっき、イライザ・オズフェルと名乗ったし、サバル様も公爵夫人と呼んでくれたはず。

 それとも、私は昔と変わらず、使用人のようにみえるのだろうか。家具が服を着ている?

 息が詰まる。昔、社交界に出たばかりの頃、言われたことがある。

 家具が服を着ている。なんと滑稽なことだ、魔法公爵は家具を嫁に貰ったのだ!

 ルイスに申し訳なくて、それ以降、どうにか貴族のように振舞ってきたつもりだ。でも、そんなことはなかったのかな。

 自信がもてなくて、俯いてしまう。だって、結局は高貴な方たちから見たら家具が振る舞いを覚えただけ。綺麗な服を着て、喋り、動いているだけ。

 人間のフリをしているだけ。

 でも、いいじゃないか、家具が人間のフリをしたって。だって、私には心がある。苦しいって感じるし、嫌だって思うときもある。だったら、人間だって、偽ってもいいはず。それとも、毎日鞭で打たれるべき? 嘔吐する姿をげらげら笑われるべき? 心をなくして、無心に受け入れるべきなのかな。

 考えるって難しい。頭がもう考えたくないって悲鳴をあげている。もう辛いのは嫌だって。でも、向き合わなきゃいけないものだ。


「道化か?」


 ルビーさんが私の腕をひいた。

 警戒するように、私の前に立つ。


「この勘違い女、脇腹を刺激するようなことを。わたしたちが同じ貴族とはなぜ思わないのか」


 ルビーさん……なんでだろう。ちょっぴり気が抜けた。


「大笑いしたいが、素面で言っているようなので流石に悪いか? だ、だが、込み上げる思いを消化しきれない」


 お、抑えて!

 ここで本人を前にして笑うのはよくない。凄くよくないと思う。

 ルビーさんたら、私の切ない気持ちがどっかに吹っ飛んでいっちゃった。


「イライザ、わたしが大笑いして床で喘ぎ始める前に帰るとしよう」


  口の端をぴくぴくさせてルビーさんが言った。うん、それがいいかも。なんだか、ここでアリギス嬢を宥めても逆効果な気がするし。

 離れていく私達をアリギス嬢は高圧的に攻撃し続けたが、そのうち彼女の声も幽かになっていった。








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