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姉が過去からやってきた。  作者: ゴリヴォーグ
恐怖のかくれんぼ大会
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モニター越しに~No Premonition~

 かくれんぼ開始から1時間半が経過した。1時間ごとに城内の隠し部屋が開放されるルールになっており、いつまでも捕まることがないと油断していたヤツらが一網打尽に捕まるという事態が起きた。

「まだ1時間しか経ってないのに一気に捕まりましたね」

「思ってた以上に効いたな……」

 開放される隠し部屋は、エントランスにあるマップに書き加えられていく。つまり鬼しか知り得ないのだ。隠れる側は鬼から連絡が来るか、危険を承知でエントランスまで見に行くしか自分達が安全かどうかを把握できない。その結果、隠し部屋がある意味ハメ技になってしまうという結果になった。残念なことに、うちのクラスからもちらほら逮捕者が出てしまっている。

「ゲームは分からかくなってきたぞこりゃ……」

 逮捕者の中には、茶番に付き合うのも時間の無駄と考えてワザと捕まった協調性のない者もいる。例えば、


「こんな茶番に1分でも付き合ってあげたんですから感謝はされど呆れられる理由が分かりません」

 がり勉SWOT偏差値女代表の高梨は、開始早々廊下で堂々とテキストをしていたため1分どころか10秒で捕まった。もう少し課外活動や行事に積極的になって欲しいものだ。

 高梨は捕まった後、北にある麻生の図書館で勉強している。親睦じゃなくて知識を深めてどうする。それにそこもバトルフィールドだから関係ない人がいたら邪魔なだけだぞ……。

「はぁ……」

「溜息ついたら幸せが逃げますよ?」

 今後の高梨に一抹の不安を覚えながら、監視を続けることにする。



――



同時刻 図書館にて SideT


「まったくもって無益なイベントだったわ」

 馬鹿馬鹿しい、時間の無駄、不必要極まりない、マイナスなワードが次から次へとポンポン出てくる。それがこの行事への評価だ。親睦なんて深めたところで、どうせいつかは互いに忘れてしまう綺麗事に過ぎない。ずっと仲良くなんて、出来るはずがない。

 周囲が私のことをどう思っているか知っている。


 クールなガリ勉野郎。最高の褒め言葉ね。


「しかしこの蔵書の量には目を見張るものがあるわね」

 誰に聞かれるでもないのに思わず独り言を漏らしてしまう。流石は世界の麻生というところか。そこらの図書館では置いていないだろう珍しい蔵書がたくさんある。さらに一般の図書館と違って、マナー一つ守れないバカ共が騒ぐこともない。ここは静かなプライベートな空間と評価してもよさそうね。その点だけに関すると、今回のイベントにも価値はあったのかしら。


「見つけたぞー!!」

「ヒィィィ!!」

 訂正する。やっぱりバカはどこに行ってもいるようね。


「ホント不愉快ね」



――



「図書館はアイツのためだけじゃ無いんだけどな」

 図書館を我が物顔で使用する高梨の姿を見て呟く。最初に説明した通り、全区域使用可能のなんでもありのかくれんぼなんだ。不愉快に思っても図書館に隠れるヤツを責めることは出来ない。彼らに心から同情する。

「彼女が噂の入試で満点を取ったという超成績優良者ですか。なるほど、見かけで人を判断するのは失礼ですが、確かに勉強が出来そうですね」

「勉強ができても道徳がなってなきゃよかないよ」

 話に聞くと、授業中も教科書と違うテキストを常にしているとのことだ。もちろん、僕の授業も例外ではない。そんなに退屈か、悪かったな。

「教師陣の評価も悪いしな……、なんとか協調性ってもんを持ってほしいんだけどな」

 苦情を受ける方の身にもなってほしいものだよ。

「僕は好きですけどね、先生の授業も、授業をする人も」

「ありがと。これ以上はまたKY執事様が邪魔しそうだから遠慮しておくよ」

「ショボーン」

 あからさまにしょんぼりとする俺の嫁。そういう表情も可愛い、さすが俺の嫁。大事なことだから二回言いました。



――



ゴーン ゴーン ゴーン

『テスッ、テスッ。マイクテスッ。古村はハゲ、古村はヘタレ、みんな聞こえるかな?』

 モニター越しに一休さんがなんか喚いてるけど気にしない気にしない!!

『12時になりました。昼食の時間です。これより1時間はお昼休みになります。この間はかくれんぼを中断して、ダンスホールに向かってください。お昼ごはんはみんなで仲良く食べましょう、今日の献立はカレーです』



――



「誰がハゲだよおら!!」

「いや、お前以外に誰がいようか、いやいない」

「反語みたいに強調すんじゃねえ!! いってしまったらほかの野球部もハゲだろが!」

「あれは五厘刈り、お前はツルピカ」

「一緒だよ!!」

 ダンスホールに下りて早々スキンヘッドに絡まれた。なぜか相当起こっているように見えるが僕には全然覚えがない。理由のない絡みは遠慮願いたいものだ。

「後お前鬼だからな。展示室の中に大仏の一つとして混じってたみたいだけど、あれ別に似合いすぎててばれなかったんじゃなくて、お前捕まえてもメリットがないからなんだよね」

「先に言えよ!!」

「磯野○ツオだけで逃げる側と勝手に判断したお前が悪いよ。花○さんから逃げんのか?」

「キエエエ!!」

 奇声を発し飛び掛ってきたが、

「ワリ」

「んな!?」

 RPGの世界で鍛えた僕を舐めるな。たまたま近くにいた伊藤を盾にして事なきを得た。さすが委員長、クラスメイトのストレス発散まで進んで行うとはクラス委員の鑑だな。花丸をあげよう。

「ちょ、ボコらないで!! 俺は無実だああああ!! アーッ!!」

 伊藤は犠牲になったのだ、教育の発展の犠牲にな……。

「よっし、カレー食うか!!」



――



「あれっ? 姉さんと善本は?」

 カレーを食べようとした矢先、二名ほどうちのクラスメイトがまだ来ていないことに気付く。ネガティブ代表とブラコン女学生代表だ。

「知らないっすよ、迷ってんじゃないですか?」

「地図があるから大丈夫なはずなんだけどな……」

 全員に地図は渡っているし、それに各階に地図が用意されている。だから迷ってしまうことはないと思うし、姉さんは方向音痴ってわけでもない。地図の読み取りはどちらかというと得意なはずだ。

「いやな予感がしてきたぞ……、みんなは昼食をとっててくれ、ちょっち探してくるよ」

「私もいきます。この城の中は私が一番詳しいから力になると思います」

 伊織も同行するという。


「すぐ戻ってくっから!!」


 姉さんと善本を探しに走る。しかし僕らはこの先にある展開を知るよしはなかった。



――



同時刻 モニタールーム


「なんだ? この黒いもやは?」

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