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姉が過去からやってきた。  作者: ゴリヴォーグ
恐怖のかくれんぼ大会
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神になった気分だよ~It is you to sound that bell~

 神様というのは僕ら人間の一挙一動を常に見ておられる、らしい。生前の行動で天国に召されるか、はたまた地獄に堕ちるかが決定するのだ。天界印の監視カメラで僕らを見ているに違いない。


「つまり、僕らは神様と言うべき存在なんだろうね」

 城の中にある一室、そこには夥しい数のモニターがあった。城内のあらゆる所に隠された監視カメラが、子供達を映し出す。

「当然ですが、お手洗いとかのスペース付近には仕掛けていませんよ」

「それは見たいと思わないよ」

 クラス対抗かくれんぼということで、子供達は教師の目を離れることになる。そうなると、何かいかがわしいことをしてもバレなかったりするのだ。そこまでは認めるわけには行かないので、ある程度監視しておく必要があるのだ。

 こんな風にね。

「あっ、あのモニター見てください。カップルがイチャイチャしてますよ」

「よし、あれは1組の生徒だな。ここをホテルかなにかと思ってねえか? けしからん野郎には天罰を! ポチッとな」

 赤色のボタンを押す。すると、

デデーン

「中村、稲尾、アウトー」

 大晦日に良く流れる効果音とともに、城内放送を流す。すると、二人がいた部屋の壁が反転して、


「やらないか?」



「「わああああ!!」」


 青いツナギでお馴染みの、ノンケだって食っちゃう体力に定評のあるアベさんが登場しました。


「楽しそうじゃないか、俺も混ぜてくれないか?」

 アベさんの登場に恐怖したバカップルは、猛ダッシュで逃げ出す。しかし、

「あっ! ターゲット見っけ!」

 運悪く鬼に見つかってしまう。前方には鬼、後方にはアベさんという究極の選択を迫られたバカッポゥは、

「「助けてくださぁぁぁい!」」

「えぇ!?」

 と鬼に保護を頼みました。賢明な判断だね、拍手を送るよ。



――



「やっべぇ……、超楽しいんだけど! ウェィヒヒッ!!」

 ゲームマスターたる僕はまさに神だ。カップルにアベさんというビックリドッキリキャラをぶつけることが出来るんだからな!

「先生、悪人の顔してますよ。ふふっ、全然似合ってませんね」

 傍らにいる伊織が、さもおかしそうに言う。今この部屋には、僕ら二人がいる。他の先生方はと言うと、麻生スタッフとともに、それぞれ持ち場について見回りしてもらっている。カメラじゃ限界があるからな、人の目も必要だ。

「でも一番見張らなきゃいけないところが手薄ですね。僕としては、それでも良いんですけどね」

 伊織はそう言って僕にしな垂れかかる。僕もそれを受け入れる。拒絶する理由なんてどこにもないからな。


「拒絶しないんですね?」

「して欲しいの?」

「まさか」

 僕は意地悪をするように聞く。それに対して伊織は当然といった声で返す。


 確かに、この部屋こそ十分に監視されるべきだな。モニター室は甘い空気に支配される。

「山本さんには悪いですが、久しぶりに二人っキリなんです。今までのマイレージ全部使っちゃいますよ?」

 熱の篭った甘い声をかけてくる。邪魔物は誰もいない、ここには神様と女神様しかいないんだ。お互い抱き合おうとしたその時、

「デデーン。南雲、アウトー」

「「!?」」

 閉め切られたはずのモニター室に響き渡る男の声。振り返ると、


「本城!?」

「ようよう、よくもまあ伊織お嬢様に手を出そうとしてくれたなぁ、あぁ? この落し前はキッチリつけてもらうぞゴルァ」

 麻生伊織お嬢様が大事で大事でしょうがない変態執事が、金属バットを持ってやって来た。いつもの丁寧な執事言葉は、どっかに置いてきたのか、ヤクザみたいな粗暴な口調でコチラに迫って来る。

「さぁ先生よぅ、てめえの罪を数えろっ!!」

 手にした金属バットを大きく振りかぶる。神になったつもりであった愚かな男が、死ぬ間際に思ったことは、せめて決めゼリフはオリジナルのを使ってほしかった。というなんとも感慨もなんも有ったもんじゃないツッコミだった。






 ってバットが来ないっ?

「ぐふっ……」

 国民的RPGの断末魔をあげて本城さんは苦悶の表情をしてうずくまっていた。何故か急所を抑えて。「本城は自分の持ち場に戻って!! さもなきゃゲイパレスMICHISHITAに送るわよ!」

 どっかで聞いたことある名前だな、MICHISHITAって。

「そ、それだけは御勘弁を……」

 いくら可愛い可愛いお嬢様の命令でも、貞操を奪われるのはイヤみたいだ。

「やれやれ、興冷めですね」

「まったくだよ、このKY執事が」

 汚れを見るような目で執事を見下す。ビクンビクンしていて実に気持ち悪い。


「今日って可燃ごみの日でしたっけ?」

 粗大ごみでも無くただの可燃ごみ扱いって……。



――



 そんなこんなで、かくれんぼ開始から1時間が経過する。

「んじゃ、そろそろチャイム鳴らすかね。ポチッとな」 ゴーン ゴーン ゴーン

 ノートルダム寺院の鐘みたいに、高らかに時を告げる。


『えー、マイクテスッ、マイクテスッ。みんな聞こえる? 聞こえたら返事ちょうだい』

「返事はくれないと思いますよ?」

 気分の問題なんだよ、こういうのは。


『えー、かくれんぼ開始から1時間が経過しました。現時点での成績は……、1番鬼が張り切っているのは5組だね。特に約一名の成績には目をみはるものがあるね。流石は警視総監の息子ってところかな。逆に、生き残りが1番多いのは、おおっ! 4組だ! この調子で頑張って行ってくれ。それじゃあ、時間になったので約束通り隠し部屋の公開といこう! エントランスの地図を更新しておくから、鬼の皆さまは確認推奨だよ。みんな頑張ってねぇ~、特にうちのクラス』

ゴーン ゴーン ゴーン


 放送が終わるとともに、エントランスに人がウジャウジャと集まって来る。


『見ろっ! 人がゴミのようだ!』

「先生、マイクの電源つけっぱですよ」


 全員が監視カメラを睨みつける。……無事に帰れるんかな……。

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