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「これで終わりだ」
盥屋は読み終わると、小さくため息をついた。
すると突然、木の根元のあたりに、人ひとりが何とか通れそうな洞が開いた。
「おい、これは一体全体どういうことだい? 君は魔法使いだったのかな? おみそれしたよ!」宮田は内心ひどく困惑しながら言った。
「お褒めにあずかり光栄だな」盥屋は微笑して答えた。
「それと、なかなか朗読がうまいじゃないか、迫真の演技、感動したぜ!」
「……やはり、この世界は、もはや我々の物語と一体となってしまっている。だから、こんなわけのわからない仕掛けがたくさんあるのさ。自分でも、まさかとは思ったけどね」
「ほう、ほう、ほう、つまり、部外者なのは、もうおれたちだけじゃないってわけだ。この世界自体が変質しつつあるわけだね」宮田はへらへらと笑った。
洞はうつろに二人をのぞき返している。恐る恐る足を踏み入れる宮田、いや、踏み入れると間もなく吸い込まれ、墜ちてゆく――盥屋がそれに続く――洞が二人を飲み込むと、たちまちのうちに樹の皮が広がってそれをふさぎ、跡形もなくなった。




