第1話 運命の相手を召喚したら男だった
俺は女にモテたいだけの魔術師、レイン=アルヴェルだ。
なのに、なぜか男にしかモテない。
今日も男に追われている。
「俺は男はいらない。
女にモテたいんだ。」
詠唱を始める。
「シールド展開。
煙幕保護魔法展開。
速度加速魔法展開」
何で毎日追いかけられなきゃならない。
「いい加減にしてくれ。
来るな!」
「待ってください、レイン様!」
「プレゼントが――!」
「いらん!」
俺は速度を上げる。
「今日は何を持ってきたんだ!」
「パンです!」
「食材で釣るな!」
全速力で駆け抜ける。
背後から足音が増えていく。
――また増えた。
いや、まだだ。
本番はここからだ。
通りの女たちがざわめく。
「見て、あれ……」
「BL魔法使いよ。」
「BLじゃない。」
今日は、巻けたか……。
無事に家にたどり着いた。
透明保護魔法を展開。
これで当分は安全だ。
……継続維持が面倒なんだよな、この魔法。
まあいい。
さあ、今日もやるか。
恋愛攻略完全式。
魔法史。
引き寄せワーク。
この三点セットだ。
今日こそは引き寄せてやる。
運命の相手を。
もちろん女な。
俺はモテたい。
女に。
そのために、俺は努力した。
魔法史を読み漁り、
呪いの解除も何度も試した。
……全部、失敗したが。
恋愛攻略完全式も読破している。
呪いがかかっていると分かってから、
俺は研究に明け暮れた。
今や――
ただのオタクだ。
そのへんの魔法史は、全部読破している。
おかげでスクロールで稼げるから、生活にも困らない。
ありがたい。
魔法の仕事も、いくらでもある。
なぜか王室にも気に入られているしな。
……オタクだからか?
まあ、皆の役に立ってるし、生活も困らない。
それだけは良かった。
ただ――
オタクで。
男にしかモテなくて。
女は、全く寄り付かない。
このクソみたいな呪いさえなければ。
男にしかモテないとか、
どんな仕様だよ。
そのせいで、女どもからは
BL魔法使いとか呼ばれてるし。
……訂正しろ。俺はノーマルだ。
魔法史百三十八ページ二行目。
完全式七巻六行目。
理論は揃ってる。
式も完成してる。
……本当に大丈夫か?
俺は少しだけ手を止めた。
いや、問題ない。
過去の文献も一致している。
計算もズレていない。
むしろ完璧だ。
「レイン様に不可能はない。」
一度、深呼吸する。
これで――終わる。
この呪いみたいな状況も。
次に引き寄せるのは、ちゃんとした運命の相手だ。
――女の。
詠唱を始める。
「運命の人を引き寄せだ。
出でよ、運命の相手!」
床に刻んだ魔法陣が光った。
――轟音。
家が揺れた。
爆風が巻き上がり、煙が渦を巻く。
「成功か……?」
煙の向こうに、影が立っていた。
長身。
鎧。
剣。
そして、こちらを真っ直ぐ見据える金の瞳。
「お前は……」
影が一歩、前に出る。
「……男?」
※主人公は女性にモテたいだけです




