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プロローグ『被験体S-0s』
とある研究所。
その一室で数人の人物が話していた。
「どうする。このままでは、この実験は失敗に……」
「慌てるな。まだ被験体はある」
「そう言えば、あの孤児院にもいるそうだな」
「ああ。先程、引き取りを完了したらしい」
「被験体S-0r……と、S-0s? 情報では一人だったはずだか?」
「S-0rについていくと言って聞かなかったらしい」
「ふん。名前は?」
「S-0rはほのか、S-0sは久也というらしい」
「被験体が到着次第、実験を再開する。いいな?」
『了解。我らが……のために』
最後は機械の音でかき消される。
しかし、彼らは何を言ったのかわかっていた。