第28話
「雪ちゃんには危害は加えないから」
耳に焼け付いた冷たい声が今でも離れない。うつむいて通学していると背中にトンッと何かが当たった。振り替えると大門寺さんが心配そうに話しかけてきた。
「浮かない顔してどうしたの?」
こんなときに彼女と出会うなんて運が悪い。澤城冬について調べていたなんて言えない。
「ふぁ~。ただの寝不足、なんともないよ」
「潤君が寝不足だなんて珍しいね」
「俺だって、遅くまで起きてることくらいあるさ」
当たり障りのない会話でごまかす。すると彼女は唐突に大きな声を出した。
「そうだ! 今週の日曜日に冬さんと朱音通りでショッピングするんだ!」
「彼女とショッピングだって!?」
「そんなに驚いてどうしたの? 潤君って冬さんのこと知ってたっけ?」
しまった! 考え過ぎて反応してしまった! 彼女に接近したことがばれたら大門寺さんを不安にさせてしまう。何か言い訳を......
「あ、いや! そう! この前入院したときに貰ったクッキーが美味しくてさ! 調べたら彼女のカフェにたどり着いた訳さ!」
大門寺さんは眉間にシワを寄せ、じーっと俺を睨む。嘘がバレたか......?
「そっーなんだ! 潤君気に入ってくれたんだ! プレゼントしたかいがあったよ!」
「あはは......」
なんとも心苦しい。彼女は疑いもせず真っ直ぐな瞳を俺に向ける。
「丁度いいや! 冬さんにね潤君と蒼助君の話をしたら会いたいって言ってたからさ、一緒に来ない?」
「ん? それって俺達のことを!?」
「ちょっと待って! 大丈夫! 戦いのことは言ってないから!」
大きな声を出した俺に大門寺さんは両手をあわただしく動かし俺をなだめた。
「だよな......言うわけないよな......」
「すごい友達が居るって言っただけ......だから」
恐る恐る口を開く。
「大丈夫、少し驚いた......」
澤城冬が俺達と会いたい? やっぱり店を出たときの言葉気のせいじゃない。俺達の正体を知っている。何を考えているんだ? 澤城冬は......!
「まぁ美人って噂だし......蒼助と話してみるよ」
「うん! 分かったら教えて!」
待ち合わせの朱音通りは店が多くならぶ繁華街だ。嫌な予感がする......




