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20話 最高の誕生日②

ポイント、評価、ブックマーク誠にありがとうございます。連載の励みになっています。


退屈だのう

儂はいつもの様に退屈すぎて、うつらうつらしていた。


突然凄いプレッシャーが儂を襲ってきた。

な!なんじゃ!なんじゃ!この凄ざましいプレッシャーは!


儂は慌てこの気を放つ者の方に、儂の最大の気を放った!


儂の最大の気を跳ね返して、前のプレッシャーを何倍にもした、今まで受けた事の無いプレッシャーが襲ってきた。

こんなプレッシャーは今まで長きにわたって生きて受けたことが無い強大ものだ。

儂は心が折れた。


どの様な者がこれ程の気を持っているのか!

その者がすぐそこまで来た気配がした。


儂は心から怯えた、このブラックドラゴンが怯えているのだ。

儂はもう恐怖の限界だった。

気が付いたら、身体が勝手に服従のポーズをしていた。屈辱だ。屈辱だこのブラックドラゴンが・・・


目の前には年端も行かぬ子供がいた。

しかし恐ろしい強大な信念を感じる。儂の心が叫んでる、震えてる、この者に逆らうなと。


「ヒール」

子供がそう唱えた。


その途端、儂の傷つき、折れた、捥げた翼が元に戻った。儂の体全部が回復した。

しかも、数十年前から悩まされた腹部の痛み、数百年悩まされた頭痛迄治ったのだ。

動くと痛む膝などの関節痛、腰の痛みにも悩まされていたが全て治っている。


遥か昔に【ゼタヒール】と言う最高の治癒魔法があるらしいと聞いたことがある。

その魔法は、欠損した部分、腐った部分、身体の殆どを無くしても命さえあれば元に戻せると言われてる、伝説の治癒魔法。ありえない効果の魔法だ。


まさにこれは【ゼタヒール】なのだ。儂は長きにわたりこの世界で生きて来たから分かる。

儂は伝説の魔法を直に使われて驚いている。

本当にこの様な魔法が存在したのだな。


だが儂の耳には「ヒール」と聞こえた。


子供に聞き直したが自分が唱えたのは「ヒール」だと答えた。


訳が分からないが、この子供から受けた強大な気を考えると、

ああ、この子供なら、【ヒール】で【ゼタヒール】を発動出来るのかもしれないなと。

この子供は常識外だ。この子供には、この世界の常識が通じないかもしれぬな。

儂は呆れた表情でこの子を見た。


儂は身体を完全に治してもらったお礼を言うと、

「そんな事どうでもいいから、僕と早く全力で戦ってよ!」

突然この子供が言い放った。


無理です。許してください。おぬしとは戦いたくないのです。

「おぬし、儂の態度を見てわからんのか? 降参しておるだろう」

儂は恐怖に震える心を押し殺し覚悟を決めて話した。

儂の心と体は初めての恐怖で震えていた。


すると突然この子供が、先ほど感じた儂を恐怖させた気の更に何十倍の気を儂に放った。


無理です。無理です。無理です。無理です。無理です。無理です。

許してください。許してください。許してください。許してください。

殺さないでください。殺さないでください。殺さないでください。


もうこの子供には逆らえない、敵わない。儂のプライドが粉々になった瞬間だった。


儂はまだこの世界で色々見ていきたのだ。死にたくない!死にたくない!死にたくない!


死にたくないと思う一心で 気が付いたら 小さな体になっていた。

儂は死にたくないのだ。

余りの恐怖で儂は人生初めての失禁をしてしまったが、そんな事はどうでもいいのだ!

儂はまだ死にたくないのだ。生きたい!生きたい!生きたい!生きたい!


生きたい一心で何とか言葉を口にした。

「ぼく、良いブラックドラゴンだよ」


それを聞いた子供が儂を、かわいそうな者を見るような眼をしたように思えた。

生きられるならば気にしないのだ。


「ブラちゃん」

子供が儂に向かいそう言った。


・・・

儂の名前が「ブラちゃん」に決まった瞬間だった。


この世界では魔物を精神的に、又は身体的に相手を屈服させた場合、

又はその者に使えたいと思った場合、使獣として召し使えれる場合がある。

その時、使獣に名前を与えるのだ。

名前を与えた時点で契約は完了する。主が与えた名前を含めての契約である。


儂は泣いた。壮絶に泣いた。血の涙が出るくらい。


この子供に使獣として召し使えるのは気にならない。

むしろ光栄だと思う。儂を遥かに凌ぐ力を持った者だから。


儂はこの子供には絶対に敵わないのだから。

儂のプライドを初めてズタズタにした者と、この者が亡くなるまで付き合うのも悪くないと思う。

何せ、長きにわたって生きて来た儂を初めて屈服させた者だから。


しかしだ!

何なのだ、そのブラちゃんとは!

もう少し、貫禄とか、品性とか、偉大さが伝わる名前があるだろうが!・・・


わしは、儂は・・・この者が亡くなる迄、ずううと ブラちゃん なのだ・・・。


悲しすぎて、儂は血の涙を流してしまった。


子供はニコニコして、

「ブラちゃん」「ブラちゃん」

と言って、儂の腹を撫で続けてている。


先程迄の凄い思いを秘めていた時の表情とは全然違う、

凄く無邪気な笑顔で儂の名前を呼んでいる。


・・・


ふむ、儂の名前は気に食わぬが、この子供に腹をなでられるのも悪くはないなと。



連載のモチベーションのためにも、ポイント、評価等よろしければお願いします。

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