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「これで最後か。」
蛍は四条の鴨川で黄昏ていた。
「あと、どれくらいだろう?」
長かった蛍の旅が終わろうとしている。
「蛍ちゃん! ご飯無くなるよ!」
「蛍さん! 早く来てね!」
「拙者も御呼ばれしているでござる!」
川床の座敷から食い気しかしない楓、桜、源義経の声が聞こえてくる。
「・・・人が感傷に浸っているのに・・・雰囲気がぶち壊しだ!?」
蛍に安らかに眠れる日が来るのだろうか?
「クソッ!? 俺の飯は食うなよ!?」
蛍は全速力で川床の屋敷に向かう。
「待たれよ!」
「ん?」
その時だった。変な大男に声をかけられた蛍。
「その刀を置いていってもらおうか?」
「はあ? 嫌です。」
「私は刀狩りの五条の弁慶! おまえの刀は頂くぞ!」
「あの・・・ここは四条なので、場所を間違えていますよ?」
「え? そうなの? ごめんごめん。じゃあ、またね。」
弁慶は帰って行こうとする。
「な!? こら!? 場所は関係ない! 刀を置いていけ!」
「惜しかった。」
悔しがる蛍。
「現在、刀を99本集めた。おまえの刀が記念する100本目だ!」
「じゃあ、どうぞ。」
「え?」
「もう最後だから使うことも無いので差し上げます。」
「いいの!?」
「はい。どうぞ、どうぞ。」
「・・・ありがとう。」
こうして蛍は蛍光刀を弁慶に渡し、川床の座敷に向かった。
「ああ!? 俺のご飯がない!?」
弁慶と遊んでいた蛍のご飯は食べられて無くなっていた。
「蛍ちゃん! おいしかった!」
「遅いですよ。蛍さん。」
「みんなで、おまえの分も食べてやったぞ。」
楓、桜、源義経。犯人はこいつらである。
「あれ? 蛍光刀はどうしたんですか?」
「来る途中に弁慶という人にあげました。」
「なに!? 弁慶!? あの刀泥棒め!?」
「え!? 刀泥棒なの!?」
「わ~い! 蛍ちゃん! 盗まれた! 盗まれた!」
「うるさい! クソガキ!」
「やったー! 蛍ちゃんにクソガキって呼ばれた!」
「楓!? クソガキは誉め言葉じゃないのよ!?」
「そうなの? チッ。」
「・・・なんなんだ!? この姉妹は!?」
蛍は疲れが溜まる。
「蛍ちゃん! 刀どうするの?」
「ん? 蛍光刀?」
「うん。」
「そうだね。夜も更けてきたし、楓に綺麗なものを見せてあげよう。」
「やったー!」
蛍は手と手を合わせて集中する。そして手を放していく。手と手の間には、光り輝く蛍光刀の光がパッと咲いていた。
「おお!」
「蛍ちゃん! すごい!」
「拙者、大道芸を見たのは初めてだ。」
そして蛍は新しい蛍光刀を手に入れた。蛍光刀は青い光を輝かせていた。
「古くなったから、新しい蛍光刀と取り換えただけですよ。」
「前のより、すごく光ってるね?」
「前のは光が切れかけでしたから。新しい蛍光刀の方が威力が100倍は違いますよ。」
「え?」
「はい?」
「なら最初っから蛍光刀を変えて戦えばいいだろうが!?」
「すいません!? すいません!?」
「二人とも夫婦喧嘩はやめて!」
「誰が夫婦だ!?」
「そうよ!? 蛍とお化けなんですから!?」
「あれを見て。」
楓は鴨川の方を指さす。夜の暗い鴨川に幾千の蛍が輝き舞っていた。
「きれい!」
「蛍ちゃん! えらい!」
「これだけ明るければ夜道も怖くないね。」
「うん! 蛍ちゃん! ありがとう!」
こうして夜道を照らす蛍光灯が生まれた・・・らしい。
終わる。




