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悲しみの~

―――――――――――――――――――――

・渡瀬 アズサ   LV23   CP:0  

 所持金:1010ターン

 HP:67/67 MP:45/45

 SP:86/86

  

 物理攻撃:1

 物理耐久:1

 魔法出力:1

 魔法耐久:1

 速力:1

 幸運:1

 器用値:200

 神秘:1


〈スキル〉  スキルポイント:1200

 「獣気活性LV7」「体術LV8」「急襲LV2」「見切りLV8」「鮫肌LV4」「浮遊LV1」「抉牙LV2」

 

〈装備〉

 模擬刀(発動スキル「見切りLV1」)

 浅皮の装束(発動スキルなし)

――――――――――――――――――――――


「うわぁ……」


 レベル23ってマジ?


 毎度おなじみのリスポーンで自分のステータスを確認していた私は予想以上の数字に呆然としてしまう。


「たった一回の戦闘で11レベルも……序盤だからレベルが上がりやすいってことを差し引いてもどんだけ強かったの、あの「鮫」……」


『推奨レベル30は伊達じゃねえな……』

『そもそもあんな化け物が初心者エリアでうろついてるのがおかしい定期』

『つかあのサメの素材は?』


「素材? ……あっ」


 アスチェの素材は基本的にタブレットの謎空間(ストレージ的ななにか)に収納されるのだが、モンスターを倒したからといってドロップアイテムが自動的に謎空間に収納されるわけではない。

 面倒だが一回ちゃんとドロップアイテムを拾って、タブレットを操作してそれを謎空間に転送する一手間が必要不可欠だ。


 もちろん「鮫」を倒したのと同時にHPが0になった私に素材を回収する時間なんてあるわけがない。

 つまり、あれだけ危険な綱渡りをしたのに報酬ゼロ。


「わ、私を舐めてもらっちゃあ困るよ。私くらいの配信者がこれくらいの不幸で動揺したりは……」


『ちなみにあのサメの素材で作った武器めちゃくちゃ強いよ』

『圧倒的tire1人権』

『全然環境でも使われてる』

『売ってもかなり値が張るよ』


「わァ……あ……」


『泣いちゃった』

『かわいい』

『アズ虐たすかる』


 ……はぁ、まったく。これだからリスナーは。私は動物園の見世物じゃないんだからさぁ。人がしぼんだ風船みたいに萎えてる姿をかわいいだのなんだの、人の気が「あ、カズ太郎さんスパチャ一万八百円ありがとうございます♡」知れな「布団さんもスパチャ五千円ありがとね♡」いよね、ホント困っ「上総さんメンシプ加入ありがと♡」ちゃう。よし、次からはもっと配信中にみっともなく泣き出そう。


「まあ素材は一旦諦めるとして、獲ったスキルを確認しよっか」


 さて、どんなもんかね。


―――――――――――――――――――――


 「急襲LV2」

 ・「刺突」が進化し派生したスキル。不意打ち時に大幅なダメージ補正がかかり、刺突による攻撃にも常に「刺突LV10」と同等の補正がかかる。


 それは臆病者の証か、あるいは泥水を啜る勝者の矛か

 死体に口はなく、ただ生者だけがすべてを語る


―――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――――


 「鮫肌LV4」

 ・SPを消費し、一時的に鮫竜ジンベエに匹敵する耐久を術者(プレイヤー)に付与する。また魔法攻撃に著しい耐性を得る。

―――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――――

 「浮遊LV1」

 ・MPを消費し空中を漂うことができる。その対象は必ずしも自分だけとは限らず、敵を浮かすことも可能。

―――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――――


 「抉牙LV2」

 ・「肉を抉る」という行為に大幅な補正がかかる。


 品性をドブに捨て、飢えた犬の如く勝利を渇望する者よ

 嗚呼(ああ)、思えば時代を変える者とは善悪の境目なく常に乱暴であったものだ


―――――――――――――――――――――


「へぇ、見た限りどれもかなり強そうだねぇ。特に「急襲」は常に悩まされた火力不足を補えそうだしスキルポイント使ってもっと強化するのもありかな」

 

『別にそんなことしなくても単純に物理攻撃とか魔法出力とかにCPを振ればいいのでは……』


 ちっち。分かってないねぇ。


「上げまくった器用値でめちゃくちゃ強化されたスキルを操って無双する…………“ロマン”でしょ!」


『そうだねロマンだね(諦め)』

『アズサちゃんが楽しいならそれでいいよ』


 なんだか呆れられている気がするのは気のせいか。


「戦利品チェックは終わったし、さっさと森を出よっかな」


 「鮫」という大ボスと大立ち回りを演じておいて今更スライムやゴブリンと戦っても退屈なだけだ。

 配信者は常に取れ高を欲する。

 次なる取れ高を求めて私は森の出口へと向かった。

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