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生まれ変わったけど期限付き!?〜家族との再起をかけた奮戦記〜  作者: 石田あやね
第4章 記憶を取り戻せ!
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67話 お悩み相談①

 旅行が終わり、また普段の日常が始まった。

 原田と話をした夜、最後に返ってきた言葉は俺の予想通りのものだ。


「すみません。少し考える時間をいただいてもいいですか?」


 それもそうだろう。付き合って一ヶ月も経っていない彼女と結婚してくれと頼まれても即答できないのは当たり前だ。結婚はたかが紙切れ一枚の契約だが、それは人生では一大決心するほどの覚悟と勇気がいる。簡単に決められるものだと俺だって思ってはないない。

 だが、俺にとっての未練は恵美の結婚式に参列することで、他のことは何も望んでいない。


(それでも原田には荷が重い話になってしまったな……少し急ぎすぎたかもしれない)


 あの旅行から数日経つが、俺のスマホには原田からなんのアクションもなかった。恵美とは普段通りやりとりしているところを見ると、あのことが原因で恵美から離れるとまでは考えていないようだ。


「仕方がない。俺が焦ってもどうしようもないからな」


 俺は砂場の砂を指でいじくりながら独り言を呟くと、直様反応が真横から飛んできた。


「颯太くん、何さっきから言ってるの?」


 砂場に頭が付いてしまうほど体を傾け、俺の顔を覗き込んできたのは未来だった。


「ほら、髪の毛汚れちゃうよ」


 せっかく綺麗に整えているのにと親目線で未来の体を直す。


「ありがとう。で? どうしたの? 何かこまってるの?」


「困ってるんじゃないよ」


「なんだ、颯太……なにかあるなら言えよ!! 友達だろ?」


 目の前で珍しく砂遊びをしていた大河も会話に入ってきた。それなりに月日が経つと、割と仲が深まってきて、俺なりにこのふたりには友情めいた情が生まれ始めている。だからと言って、自分の元後輩と娘を結婚させたいと考えているとは、さすがに子供には相談しづらいものだ。


「颯太くん、なんかずっと元気ないよ?」


「おれたちには言えないのか?」


 子供ながらに心配してくれるふたりの温かさに胸がジーンっと暖かくなる。

 さて、どうしたものか。ここで自分の悩みを正直に言うわけにもいかないし、かといって誤魔化すのは相手に失礼な気もする。


「なんて言えばいいのかな……新しいパパになってくれそうな人がいるんだけど」


「ママに恋人ができたのね!! どんな人なの!?」


 やはり子供とは言えども未来は女子だ。恋バナとすぐさま判断したのか、砂に膝を付け、前のめりに俺に近寄る。


「すごく優しい人だよ。ママも幸せそうだし……いい感じだと思う」


 未来の勢いに若干引き気味になりながらも俺は答えた。


「もしかして颯太はその恋人が気に入らないのか?」


「え? そうなの? ママを取られるとか思ってる? 未来のとこは大丈夫だったよ!」


「違う違う! そんなんじゃないよ……その逆で早くパパになってほしいって思ってる。けど、どうすれば早く結婚してくれるかなって……ママの恋人はきっと結婚したいと思ってるんだろうけど、プロポーズするのを悩んでると思うんだ」


 未来の親は再婚しているため大体の話は通じるだろうが大河に至っては首を傾げている。


「なら、わたし達で颯太くんママがすっごく喜ぶようなプロポーズを考えて、未来の颯太くんパパにアドバイスしてあげたらどうかな!? もしかしたらプロポーズの方法を悩んでるのかもしれないわ!!」


 未来の提案には正直言えば的外れな気がしたのだが、そうではないと否定してしまったら未来は落ち込むであろう。ここは大人として、子供の考えに寄り添ってあげねばと笑顔で頷く。


「それいいね! 未来ちゃん、一緒に考えてくれる?」


「もちろんだよ!!」


「お、おれだって考えてやるぞ!!」


 こうして何故かプロポーズの方法を考えるということになったのだが、そこは子供の思考。まともな答えは期待していなかった。


「おれはすっげー豪華な料理が出るレストランで言うのがいいと思うぞ!! 前にドラマで見たことある!!」


 定番中の定番だが、安定なプロポーズ方法だ。少し高級なレストランでピアノ演奏なんて聞きながら食事を楽しんんだ後、結婚指輪を差し出し愛の言葉を告げる。時代は変われど、悪くない。

 だが、未来は否定した。


「ダメよ!! そんなんじゃありきたり過ぎるわ!! 時代遅れの方法よ!!」


「そ、そう? ぼくはいいと思ったんだけど」


「颯太くんも大河くんも女心がわかっていないわ! もっともっと女の子がときめくような事をしなくちゃ!!」


「と、ときめくって」


 俺の頭に浮かんだのは、昔に直子が見ていたドラマのシーンだった。男性が百本のバラの花束を女性に差し出し、人通りの多い公園の噴水前でプロポーズしていた。直子の反応はまるで自分が言われているかのように目を輝かせ、うっとりしていたのを思い出す。

 いくつになろうとも、女性はロマンチックなことは好きなようだ。俺は直子を思い出しながら口を開く。


「バラの花束……とかかな?」


 頭に浮かんだままを声に出すと、未来は強く首を振った。


「花束もいいけど、枯れちゃったのを見たら悲しくなるじゃない! 前に外国のドラマで見たんだけど、周りの人たちが急に踊り出して、それと一緒になって男の人が女の人のために愛の歌を歌うのよ! そして最後に指輪をあげるの」


 それはどうやらフラッシュモブのことらしい。いつだか世界の感動動画というバラエティ番組で似たようなプロポーズをしている海外のカップルを見たことがある。

 未来はそういう派手なシチュエーションに憧れているのだろうが、それをして恵美が喜ぶかと考えると、正直あまりよろしくはないだろう。それに原田が踊って愛の歌う姿がどうにも想像し難い。


「後はね、遊園地を貸し切って……自分たちしか乗っていない観覧車の中でとかいいと思わない!?」


 フラッシュモブよりハードルは下がるものの、遊園地を貸し切るなんて一般のサラリーマンの収入には厳しい出費になるだろう。原田の事を思うとそれは無しだろうなと密かに候補からは除外した。

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