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生まれ変わったけど期限付き!?〜家族との再起をかけた奮戦記〜  作者: 石田あやね
第4章 記憶を取り戻せ!
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68話 お悩み相談②

 子供相手ではやはりこれといっていいアイデアは出てこない。それは想定したことだったし、俺の悩みはプロポーズの方法ではないので、特に問題はない。だが、原田のためにプロポーズの情報収集はしておいてもいいだろう。


(となれば……子供よりも大人の女性の意見も聞いておきたい。様々な年代層の好みを知れば、もっといいアイデアに繋がるかも知れないからな)


 すると、みんなの様子を見守りつつ声掛けに回ってきたなつ先生と目が合った。


「なになに? お砂場でなんの話で盛り上がってるのかな?」


 俺たちの側でしゃがみ込み、聞かせてほしいとばかりの笑顔を向けてきた。


「先生にも聞いてみたらいいんじゃない?」


 未来の発言でさらになつ先生の目が好奇心で輝く。なつ先生は20代前半だし、まだ独身なようだから結婚を意識していないわけではないだろう。

 だがしかし、女性に対していきなりプロポーズについて聞くなど不躾ではないだろうかと躊躇っていると、あっさりと未来が先を越してしまった。


「なつ先生はどんなプロポーズをされたら嬉しい?」


「えっ!? プロポーズ? なんでそんな話をしてるの?」


 確かに、女子同士での恋バナなら幼稚園児でもあり得そうだが、男ふたりと女ひとりでプロポーズについて語るなど理解の範疇を超えている。


「ドラマの話だよ、先生……たまたま3人が同じドラマを見てて、プロポーズの話題になったんだ」


「そんなドラマやってたかな?」


 なつ先生の年齢ならドラマも見ているだろう。首を傾げて、今放送中のドラマを思い出している素振りをする。


「サブスクで見た昔のドラマだよ」


 俺は慌てて付け足すと、なつ先生の顔は途端に納得したという表情に変化した。


「そんで先生はどんなのがいいと思う?」


 大河がそう聞くと、なつ先生はうーんっと唸りながら考え込み出す。


「わたしはね、遊園地の観覧車でプロポーズされたいって話したの。颯太くんはバラの花束で、大河くんはレストランでだったんだけど普通でしょ? 先生ならもっとオシャレなプロポーズがいいよね?」


「うん、未来ちゃんみたいなオシャレなプロポーズも憧れるね。颯太くんと大河くんの方法もすっごくいいと思う! けどね、先生はこれっていうのは思い浮かばないかな? というか、プロポーズは楽しみとして考えないようにしてるの」


「ええー、つまんない!」


 未来は頬を大袈裟に膨らますが、なつ先生は優しく話を続けた。


「わたしも未来ちゃんくらいの頃はお友達とどんなプロポーズをされたいかってよくお話ししてたよ。でもね、大人になって大切な人ができたら、考え方が変わっちゃったんだ」


「それはつまりどう変わったの?」


 なつ先生の言葉に興味を惹かれ、俺は思わず砂の上に両手を付き、質問を投げかけた。


「颯太くん、いきなり食いついてきたね……まだみんなには難しいかもしれないけど、この人と結婚したいなって人ができたらね、自分が考えてたプロポーズなんてどうでもよくなっちゃうもんなんだよ。好きな人がどんなプロポーズをしてくれるよりも、結婚したいって気持ちを伝えてくれることが一番の喜びだと思ってるの」


「なるほど」


 俺は素直に納得したが、未来と大河の反応はイマイチだ。確かにこれは子供には理解できないだろう。


「さーって、そろそろ外遊びもおしまいだからお片付け始めようね」


 なつ先生はそう言うと立ち上がり、周りの園児にもお片付けの時間を知らせた。

 未来と大河は難しい話になったせいでプロポーズの話から興味が遠のいたのか、今はアニメの話を始めている。一気に別のことへと頭を切り替えられるのは子供の特権だ。


(なつ先生の話が一番説得力があるな……俺が考えなくても自然と恵美も原田も気持ちは定まってくるだろう)


 そうなると、先日俺が原田に言った発言は迷惑だったと反省する。自分の都合で結婚してほしいなんて我儘というより、押し付けに近かった。


(今度会ったら、あの話は無かったことにしてくれと原田に言おう……原田には原田なりの考えがあるんだから、俺が決めていいことじゃないな)


 いつからか焦っていたのかもしれない。自分が清子のように消えていく時、ちゃんと未練と向き合えているのだろうか、心残りなく逝くことができるだろうかと、そんな不安に気づかずうちに駆られていたのだろう。


 家に帰り、恵美が夕食の準備を始めたのを確認し、俺はそそくさと子供部屋へと向かった。玩具箱に隠したスマホを取り出し、原田に今度会いたいと送ろうとメッセージを送信しようとした時。


 ーーピンポーン


 インターホンが鳴る。


「こんな時間に誰だろう?」


 もしかしたら来客かもしれないと、手に持っていたスマホをまた玩具箱の奥へと戻す。


(また隙を見て送信しよう)


 仕方なくリビングへ移ると、恵美が俺を呼ぶ声が響いた。まさか俺に客なのか? と、疑問に思いながら玄関へと向かった。


「颯太くん! こんばんは!!」


「はらっ……お兄ちゃん!?」


 そこには笑顔を向ける原田の姿があった。


「歩さん、どうしたの? 夕方に颯太に用事なんて」


「実はこの間、颯太くんと約束していた事があったのになかなか会いに行けなかったので……恵美さんが良ければ少しだけ颯太くんをお借りしても良いですか?」


「え? 家の中じゃダメなの?」


「男同士の話なんで、出来れば外がいいんです。近くの公園へ行くだけなんで……ダメですか?」


 原田はどうやら俺とふたりきりであの日のことについて話し合いたいのだろう。原田の考えを汲んで、俺も助け舟を出す。


「ママ、ちょっとだけ良いでしょ? 原田お兄ちゃんとお約束したんだ!」


「まあ……別に良いけど。遅くならないでね」


「それは分かってます。夕食の時間にまでは颯太くんを帰しますから」


 少し不審気にする恵美を置いて、俺と原田は家から近い小さな公園へと向かった。

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