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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
本編 ゲームの章 女王エリザベータの帰還
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-32話 封印-

 イベント・ストーリーを進ませると、集団戦を解禁させるキーが発生する。

 このイベントも、それまでの手法のようにキーが発生した。

 最速はやはり“国境なき傭兵団”らである。


 イベント・ストーリー攻略組は、以前に設けられた難易度を難なく看破して先を進んでいる。

 ストーリーの中盤になると、勇者NPCと邂逅するシーンに到達する。

 ここら辺がこのイベントの胸が躍るところだ。


『――この先に天を黒く染め、地を焼いた魔竜・バハムートがいる。これを討滅して――』

 という勇者の説明を聞いていた誰もが耳を疑った。

「た、隊長?!」

 『聞いてませんよ、こんなくだりは』と皆が口々に叫ぶ。

 ストーリーは、概ね攻略サイトから拝読して謎を解き、挑んできた。が、その際にも差分程度の誤差やズレが見受けられたものの、僅かなものだったので気にはしなかった。しかし、以前の流れは王都奪還へ向かうのではなかったろうかと。

「私も知らん!」



 王都を見据える形で、各地や浮遊する島々でレイド戦が展開していた。

 その殆どが傭兵団の解放による。


 地上の集団戦は、魔物たちが多い。

 魔王軍との関係性は低かったが、その戦いの合間に、勇者NPCらの姿が目撃されている。

 アニメの主人公という顔意外にもゲーム内では、そこそこの美形から腐女子にも愛された。

 幼い印象というより、かわいい男の子という印象だろう。

 母性を擽られた感じだ。


 さて、この目撃情報から王城側も騒がしくなる。

「勇者はひとりだけか?」

 国王は、兵士に尋ねる。

 尋ねられた兵士は『は?』と間抜けな応答をした。

「勇者は、」


「御一行の方々のことで...」


「違う! 勇者だ、少年でも少女でも見た目が変わって分からんだろうが」

 と、余計な事まで口走った感はあったが。

『剣士は一人だけか?』と言い直している。


「王城の南塔の賊と、巷の騒動の中で剣士が確認されておりますが?」

 彼は不安そうに王を見上げている。

「それを早く言わんか...」


「封印が解けたか、女王の帰還とともに」

 肩を落として、虚ろな瞳になる。

「賢者を呼べ」

 と、発したまま王は、玉座から転げ落ちている。



「第一段列、タワーシールドを掲げて敵の攻撃を凌げ!」

 横一文字に並んだ兵士の後ろに、中隊長を名乗る騎士が仲間の背中越しから命令を発する。

 眼前のエネミーは、中規模な天使の形をした魔物だ。

 右手に戦槌を掲げ、左手に宝玉を持っている。

 宝玉は、シールドの役目と考えられた。


「第二段列! タンクのタゲを奪うなよ~」

 中隊長が注意喚起したつもりだったが、皆の緊張がほぐれる笑いを誘った。


高位魔法グレーター・マジックよーい! 地獄ヘルフレア発動!!」

 中隊長の声がバカでかすぎた。

 第一段列の連中が、光衝撃フラッシュを発しているにも関わらず天使のTAGタゲが彼にセットされるという、おっちょこちょいが発動した。


「隊長のバカー!」


「第三段列! あのバカ中隊長を守ってやるぞ...」


「対抗障壁よーい、魔法城壁マジック・ランパート!!」

 タゲの不安定さはさておき、傭兵団の防壁はなかなかの厚みを増していた。

 遊撃として左右から騎兵ホースメンが槍や剣で天使を襲い、中段列の魔法詠唱者マジックキャスターらが闇属性魔法を叩き込むという連携だ。

 斥候スカウトらが、スキルを駆使して天使のHPを解析。

 その桁が3本あることが判明した。


「3本?! 3本だと!」

 後方の司令部に詰めるカーマイケルは少し青ざめた。

 投入している2個大隊でも厳しい雰囲気だからだ。

「数を捌けなくなるが、早々に撤退させる訳にもいかん。あと1個大隊を投入して様子を見る!」

 予備兵力が早くも怪しくなってきた。

 天使級1体につき3本では攻略は厳しい。

 その上、天使の翼はまだ1対のみのタイプだ。

「まだ、他にも2対のタイプもいるんだぞ」


「総長代理殿...」


「なんだ?」

 項垂うなだれた重い背中をゆっくり引きあげて、戸口の方へ視線を向ける。

 天幕の入り口から注がれた陽の光で、人影が浮き上がっている。

 それは、カーマイケルにとって懐かしい顔との再会だった。

「――グエン、グエンか?!」


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