- C 1379話 マルのささやかな冒険 4 -
まあ、確かにね。
改めて言われると幼児体系は普段のものだ。
全身トレースされて殆ど弄ってない。
とはいえ、筋肉はちょい増しにした――でも、動き難いのでほんの少し乗って欲しいとこにだけミリマシって程に重ねただけかな。
試行錯誤はしてるんだ、ボクも専門はPvEだからね。
PvPとPvEは似てるようで非なるものだと考える。
こっちの路の先輩に言われたよ、戦略は重要だってね。
とくにPvPは対戦する相手も人間だから、考えて動いてくる――昨今のエネミーも学習する傾向にあるので読み合いによる騙し、騙されの初手はどちらも厳しいものがあるんだけど。
索敵の重要性は日に日に増している。
ボクのスタイルは、斥候。
隊を率いる指揮官じゃなくて。
隊の目になる監視者、かな。
そのためにウエイトはかなり軽め、小柄な幼児体系は木々を超えるのに容易で。
草原や市街地の廃墟では素早く移動が出来る。
対戦では目端でちょろちょろ動いて気が散る戦法になるし、不意打ちが初手んみなる。
全部、ぜ~んぶ理詰めで削ぎ落した結果。
普段の姿と大差なくなった。
いあ、あとは目線だな。
ゲームにもよるけども、アバターの身長は160(150)以上が大半だ。
リーチが無くなるとハンデでしかないし。
難易度がイージーなのに身長差でヘビーになる仕様の対戦ゲーは数多い。
170や180に比して150の腕の差は間違いなくハンデでしかない。
見た目ってすごく大事。
「モモチんは蒼と大差ないよね?」
天ちゃんは180にちかいだろうから、ハナ姉と並ぶ八尺様タイプだな。
巨漢も拳で殴れる感じがする。
「ちょちょ、なんか物騒なことマル、考えたでしょ?! 私は武道とか無理だから。木剣で騎士の真似事だけ、真似事だけだから、ね」
自分は正味潔白なお嬢様ですよ、とでも言いたいのか?
没落した貴族令嬢っぽいワンルーム独り暮らしが。
お前も一応こっち側の人間じゃい。
がるるるる~
「天しゃんは蒼が守る!!」
逞しい。
170手前の格闘娘だ。
脱げば、幼少より鍛え抜かれたばっきばきの筋肉がびっしりと骨格に張り付いている。
今現在も週イチで本家の道場にて(本人ヤリたくもない)稽古に付き合わされているという話だし。
その稽古を熟すことが条件で天ちゃんとの交際が認められている。
あとはどっちが片葉か、陸華道の家を継ぐかで揉めてるとか。
どっちでもいいだろ、ソレ。
「っ、合流するはいいとして。ニュービーの称号はいつ取れるんだ?」
ゲームに不慣れなのはモモチんだけではない。
うちの選抜『マルちゃんを心から守り』隊っていう連中すべたが不慣れだ。
趣味と小遣い稼ぎのボクとは違って、本業に忙しいエリート傭兵だしね。
「まあ、あと4日前後」
「あと4日だと?!」
アバターを新調して3日を過ぎるころ。
狩場でスローライフ...
ならぬハードモードも真っ青な、地獄の猛特訓によるレベリング。
だってみんな自分の身体が嫌い過ぎるんだもん。
いつもの目線じゃないんだから、早くそのズレの修正しないとダメでしょ。
これ、ヴァーチャル・リアリティなんだかんね。
自身の目で見える高さは変えると、酔うんだよ。




