- C 1354話 農民プレイの、2 -
「あと何枚だっけ?」
掲示板に張り付いてた青年が背中越しのプレイヤーに尋ねる。
いかにもな農民。
フェイスタオルで眉毛まで隠して頭を覆い。
農機具背負って、佇む小さな人影。
「んーと、47枚。境界外侵攻作戦に参加してる連中が首尾よくゴールド集められたら、かき集められる? とか...」
頼りない返事だけど。
現実は、まあ、そんなトコだろう。
農民プレイはプレイヤーの縛りプレイだ。
システム上、デキるからヤる。
積極的にPvPが苦手でもって限定的ないい訳で。
PvEならばCo-opのような限定フィールドで、OKとか。
PvPvEが普通ならば、遊べる枠を不自由にさせてるなあって思われてる集団だ。
「げ?! マジかよ。手持ちに幾らかあるし、7枚だけでも買っておくか?!!!」
小さな人影が青年の背中を小突く。
「こんなトコで金ありますみたいな事、ボヤくなよPK絡みされたら洒落にならん」
周りに目を向ける。
流石に絡んでくる様子はないけど。
思わず喉が鳴った。
唾を飲み込むのもリアルなことで。
「新しい農機具が手に入った、ソレで良しとしよう」
小さいのに手を引かれて青年がキルドを出る。
開拓街の治安はというと。
侵攻イベントの中、NPCによる重点警戒は行われてるけど、穴はある。
弱小PKクランでも安全に。
PKKクランに狙われる事なく知名度を挙げられるってのが大型イベントの裏だ。
実力じゃ無いから、まあ。
◇
農機具を載せた装甲車が街道を行く。
ギルドの掲示板前で肩を落としてた青年の装甲車だ。
特殊迷彩が施されて、金の掛かったいい乗り物だ。
「ちぃ、やっぱりお出でなすったかい?」
馭者は、小さな人影。
ため息とともに項垂れる。
ひとつ小さく息を吸って――「兄さん、出番だよ!!」
街道の占拠に3人の強化外骨格。
回り込んで、後方にひとりがある状況。
囲まれた。
『ボクちゃんたち!! 農民なら無抵抗に、無残に、無慈悲を噛みしめて追い剥がれてくださいなっと』
小さな街道だ。
拡声器で響かせなくともよく通ると思うのだが。
PKの連中は、慄く市民の顔や動きを見たいと見える。
馭者の子も装甲車の上で手足をバタつかせてた。
『ちょっと待て!』
「え? な、なにか?!!」
『其処で素に戻る、キサマも大概だが。いやさ、ひとつまえの話だ!!! なんだその下手糞な挙動は』
まさかのダメだし。
至極最高の演技だと自負して疑わなかった馭者も真っ青だ。
ひと晩。
ひと晩、寝ずに考えた所作。
ホラー映画を見て考えた恐怖の演技。
「な、なぜ!!」
『こっちが知りたいわ。お前ら、怖がってねえよな?!』




