- C 1324話 騎士王と獅子王、仮面の王 4 -
夜会の終盤――。
陛下主催で取り行われた舞踏会場の中庭で悲鳴が挙がる。
獅子王オラニエ伯が、複数の悪霊により辱められた。
いや、本人は絶命しているので。
これは暗殺と言うべきか。
あるいは事故死か。
もう、何が起こってんのよ、もぐもぐ...。
んぐんぐ。
◇
最初は物見という見物人で溢れてた観客だけど。
そうそう我に返ったんだね。
夜会の住人たちが。
特に華と呼ばれてた夫人会のみなさんが大騒ぎする。
と、同時に。
いあ、呼応して悪霊も奇声を挙げて、ああ偉いことになった。
「陛下、こちらに」
騎士王の背は修道女さんに押されて盾にされ。
Aさんが腰の獲物に柄に手を掛けながら、入場と同じ戸から逃走した。
この扉の向こうにはレディ・フェンサーと呼ばれる女性騎士たちが待機してるからだ。
「すまないが隊長さん」
言葉と共に陛下の引く手を騎士に預け。
「Aは何処へ行く?」
Aさんも同行すればより安全は確かなものになる。
ただしそれは待機してた士族出身の禁衛軍選抜たる、彼女たちの事が信用できませんと。
客将の身分を越えてしまってるので。
流石に軋轢の渦中には飛び込みたくはない。
あとは――単純に修道女さんの事が気になる。
分を弁えた殊勝な立ち回りのAさんに対して。
レディ・フェンサーの方々もやや強張ってた印象だったが、少し緩くなった雰囲気。
針の筵に入るのはAさんだけじゃないって事になるし。
「うむ、仲間が心配か」
「そういう事にしておいてください」
Aさんが会場に戻るもう一つの理由。
わたしたちに合流すること。
◇
放たれた悪霊は、オラニエ伯の半開きの口からちゅーちゅー吸ってる様子。
「あれが魂魄吸いです」
嫌がるアーサー卿の背をぐいぐい圧しながら、食欲旺盛なマルの下へ。
「こんな状況になったのに未だ、食べるんですか?」
「あ、うん。ホールの方も人が少なくなったし、これならローストビーフは取り放題だよね!!」
たくましい。
マル、凄い。
こうして褒めて上げないと、いざ、戦いのときに拗ねるかもしれない。
蒼は単純にダンスホールの上階の方へと走って行ったので、この騒ぎとは無縁だろう。
今もそこかしこでスケッチしているに違いない。
「魂魄吸い、ですか?」
モモチさんの姿が見えないな。
「お花、詰んでくるって」
女王陛下を逃がした後ですれ違ったと伝えてきたAさん。
「悪霊ってどう戦えばいいんですか?」
ドレスの裾に大きなスリットを作ったガウェイン卿も合流して。
これで戦力はオーバーキルってとこかな。




