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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1952/2517

- C 825話 皇太后の戦い 5 -

 衝突した後宮軍にも動揺は走った。

 泉州王の()()では、城州王の説得が出来なかった場合。

 後宮の中へ引き籠るのではないかと、見てた。

 息子、ふたりを天秤にかける母親的イメージは彼女に無かったのだけど。

 その天秤の傾きは、すでに決してたようで。


 ウナちゃんを介して、

 彼女が吐き出した感熱紙によってもたらされた。



「ちょ、ちょっと、ちょっと!!」

 遠見の鏡前のキルダさんを呼び止めた。

 今まさに交信が終わろうという、その時だが。

「慌ててどうした?」

 くるくるぱー呼ばわりした、ハナ姉に優しい口調。

 リスペクトまでは行かないけど。

 評価はちゃんとしてる。


 ただ、ちょっと気に食わないだけ。

「い、いまの彼女、ウナちゃんから出たアレはな、なに?!」

 いあ。

 今も何かってか、紙を吐き出してる。

「報告書と、請求申請の書類だ。ちゃんと書けよ? 備品の員数合わせほど面倒なものはないからな、こちら都合ではあるが、軍隊でなくても在庫管理は必要なことなのだ!!」

 うん、まあ。

 申請書を書いて、却下された事の方が多いけど。

 あ、理由は至極かんたんな話で『別件で調達できる環境があるから必要ない』だった、か。

 結局、自腹になった。

「いあ、いあいあ」


「ハナ君、なんなんだ、君は」

 もうシラケられてる。

 魔術師の方は使い物に成らないし、泉州王はハナ姉の肩越しにキルダさんを見てる。

 それはもう、愉しそうに。


 摂州王は、部下と共に散らばった紙を集めてた。

「これページがありますよ!!」

 ってので驚かれて、

「報告書は数枚にわたるからな、ちゃんと1から順に... 申請書は規定枚数しかない。都度、必要になればウナの背に張って、鼻でも摘まめば()()()してっくれるだろう」

 またも謎ワードが飛び出した。

 もはや置物の家電である。

 しかも高機能な。

「聖櫃のより有機的な部分の濃い、家電!!!」

 ハナ姉のツッコミ。

 違和感はそれだ。

「――っそういう事か。アリスの方が忙しくなったので、ウナはそちらへ行かせた。アレにはそういう()()があるし、個人用だから...ま、ひとりいなくなると? 気が付かんかもしれんが」

 周りを見渡された。

 エサちゃんとかボクがいないことが、バレたっぽい。

「欠けたことへで感じる違和感は、あるだろ? それを埋めるためのウナ型家電だ。有機素材でコーティングしてあるだけで、おっぱいを揉んだところで反応はしない」

 泉州王が蕾を摘まんで、家電が身を捩ってた。

「うむ...生理的な反応だ。...そういう事もある」


「ま、いずれにせよ。貴君らにタクシーの手配はする...が、そこの申請書にちゃんと書け!! 話はそれからだ、いいかな? ハナ君」

 摂州王が鏡の端で挙手してる。

 ハナ姉が鏡をズラし。

「会話を切ろうとしている最中に、すみません」


「はい」


「この申請書に上司印が押されてませんが?」

 印刷の印刷になるから、不正利用を避けるために押印は後だ。

 が、押印する書類か。

 一同がまじまじと紙に視線を落としてる。

「なあ、キルダ・オリジナルさんよ?」


「っち、」


「タクシーは来るんだよな?」

 舌打ちが物語ってる気がした。

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