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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1943/2522

- C 816話 王都の戦い 6 -

 泉州府軍を率いた将は若い。

 外見からパッと見で、20前。

 摂州王と比較すると、同じように見なくはないけど。

 軍の学校へ行ったようには見えない。


 いあ、そもそも。

 陸軍相が素性を知らないというのだ。

「皆様方もお初に目にかかります」

 ああ、お初か。

「――寧景が養子ちゃくし、寧懿と申します。この度の戦に、遅参しましたこと申し訳ありません」

 寧景はボクの脇を嗅ぐ、()()泉州王のことだ。

 偽名なのか、名をころころ変える癖がある。

 少し前までは寧孝だったようだし、その前は寧巴とか。

 1年しか使わなかった名だと、寧桔なんてのもあったようだ。


 で、当然。

 寧景と言われて皆が困惑してた。

 あ、届け出も出してないのか。

「分からなくも仕方ありませんね。元帥府の任が解かれて直ぐに解明したと...便りがありましたし」

 察しのいい河州王が、

「叔父の泉州王殿か?!」

 マジで飛んでた。

 いや、軍旗を見てもピンと来なかった。

 軍旗に府旗、仕える主人のを掲げるのはわりと戦場では当たり前で。

 東洋王国では家の名より、主人への戦功が第一になってたから。

「と、すると...」

 皇位継承権がちょっと増えた気がする。

 養子とはいえ、王族の末席にある泉州府は開かれて千年以上の家だという。

 いい加減、ボクを嗅ぐのやめて欲しい。

「いえ、家督は継ぎますが。王家に加えられるような、身分でもありません」

 養子縁組の元の家格が探られたとこ。

 寧懿はやんわりと、これをいなしたとこ。

 探られて困ると言えば、困る。

 素性がバレる可能性があったし、大切に育ててくれた身内にも。

「だが、親王はここに君を遣わせた?」


「(少し沈黙してた)無理を言って、兵を集めさせましたが。その通りです、殿下の読みに合わせて...家の者をかき集めた次第です」

 泉州王が密かに鍛えた将器ってことだが。

 那岐将軍に知られていない、若い将はこのあたり切り札にもなる。

「で、あるか」



 布哇浮島の反乱だが。

 ハナ姉とモルドレッド卿の鬼神がごとく暴れっぷりで――鎮圧された。

 自軍の死者は20名弱、負傷者は3桁を越えたけど大事にならず。

 ネームドである、熾天騎士のふたりも治療中で。


 モルドレッドは、無事に魔術師の腕の中にある。

 ハナ姉の方はもう、返り血を浴びまくってて――風呂、どうです?

 なんて勧められてるさまが滑稽というか。

「ハナ姉、暴れすぎ」

 淡白な彼女は、冷めた視線でボクを見据えて。

「マルは、お姉ちゃんが居ぬ間にずいぶんと乱れた生活だったようだねえ?」

 そう。

 泉州王さんがマル吸いを覚えてしまったんで、その。

 服装の乱れが半端ない。

 で、その泉州王さんの察する力により、大事な成る前に撤収してて。



 やだー!!

 ボクが怒られ損じゃないかー!!!

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