- C 815話 王都の戦い 5 -
王城に駆け付ける筈だった河州王軍だが。
火の回りが早い歓楽街の消火作業に追われてしまい、王城へと兵を進める余裕がなくなってた。
まあ、それでも後宮兵の1万と比較すると、質で勝ってるだけの寡兵でしかない。
どこからか「戦は数だよ、兄貴!!」とか聞こえてきそうだ。
しかも...
烏合の衆だってバラバラに戦えば、数的有利を失って簡単に撃破が可能だ。
那岐少将の指揮する宦官兵がそうであってくれるなら、願ってもない話だけど。
白服と呼ばれた者たちだって、威張り散らしてた愚図な将でもないから。
馬上から激だの、指示だの飛ばして大雑把にも動ける戦闘小単位なんかを作って、王城とその外で挟まれた時に備えて準備していた。
◇
さて、もう一つ。
王都の外周に位置する陸軍省に属する駐留軍のことだが。
こちらの兵力は、3000か5000人ほどから成る精兵であるとか。
政府のコントロール下であれば、王城の危急を聞きつけて行動が起こされているようなものだが。
大臣の感触は“微妙”とのことらしい。
「探るなと言っただろう?」
女王に扮してる河州王が、艶のある裏声で諫めてた。
この声は――
御簾の向こうからよく聞いた声であったと、皆が御思う。
改めて、よくそんな甲高い声が出るなあと。
「声変わりしなかったからな、普段の...野太いのは地じゃないんだ。あれは声が潰れるもんでな、出した後はしばらく戻らなくて...難儀したものだが。なんでこんな話になる」
種明かしはいいけど。
確かにそんな情報はどうでもいい話だ。
「確かに探るなとは言ったが、感触が鈍いというのはどういう事だ?」
王都の外だから、高い城壁の更に外。
もう野営しているような感覚で。
駐留しているイメージもない。
だからと言って、拗ねるような性質でもないから。
「恐らくは管理機構と同じ」
偽計に落ちている可能性。
玉璽を偽造し、王都内で災害訓練を行うとか事前告知しておいて。
とはいえ、訓練と実戦ではやはり雰囲気と言うか、張り詰め方が違うだろう。
こう、緊張とかの。
「未遂や失敗を繰り返した結果...」
「賢くなったとか、いやいや止めてくれよ...それこそ今更だ。が、こちらが兵を集めきれていない点では、白服どもの機動力を見誤っていたことは認めよう」
孤立させるはずが、反対にそう、させられている。
王城内の雌雄も決した頃。
白服の城内蜂起が鎮圧された――まとまった兵力さえあれば、白服の精兵とて敵ではない。
尖塔に入城したのは、泉州府の将兵たちである。
王城の壁に掲げられる「泉」という銘の軍旗。
数からすると、百余りか。
「陛下!」
陸軍相に海軍相をかき分けて、
精悍で若々しく、凛とした表情の将が返り血を浴びて登場する。
周りからは「御前である! そのような無粋な姿で礼を欠いている」と諫められても居たけど。
河州王は、その将に合う事とした。
女王の身代わりだけど、なんとなく従ってしまうサガのよう。




