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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1624/2522

- C 499話 カラクム塹壕戦 3 -

 塹壕の中は、ただの通路の他に地下へ続く部屋割がなされてた。

 隠者も幹部の一人のように個室へ通されて。

「まあ、ちょっと土壁とか、女性の方にはいささかデリカシーに欠ける要素があるでしょうけども」


「気にすることはありません」

 案内人である兵士が彼女を見る。

 説明の途中だったんだけど、

「何か?」


「いえ、こういうワイルドなつくりを見たら」

 ああって、半分納得はした。

 けど、彼女の方はアウトドア派でもある。

 陰キャのボクとはつくりが違う。

「個室である必要は無いんですけどね。私、将軍でも無いんで」

 将校待遇ではあるんだけど。

 この辺りはざっくりしてた。


 それは、かつての世界線でも似た。

 面倒なのだ。

 こう“女の子”扱いってのがだ。

 いや、いやいや。

 彼女の上には姉がいるし、下にも男の子はいない。


 けども、だ。


 本名...オウ 真魚マナは変わり者...じゃなかった。

 弟弟子たちの面倒をよくみれるいい子だった。


 いあ、変な意味はない。


 学校でも、ボクと違って教室だけではない男の子たちと、輪を作って遊ぶワイルドな子だった。

 うん、真逆だな。

 ハナ姉ともだいぶ違う毛色だわ。

「と、いいますと...大部屋、とか?」


「そうそう、そういうのでも良かったんだけど。やっぱり間違いが起きるとか、そんなんが心配?」

 あって当然の配慮。

 兵士でも細い男、大柄な男で千差万別だけど。

 やっぱり総じて言えることは、男の力は強いってことだ。

 人類最強のメスでも、メスはメス。

 下腹に力が入らない時だって...たぶんある。

「そっか、まあ、着いた矢先に狙撃もされたもんね」

 微笑んでた。

 可笑しくて笑ったに過ぎないんだけど、

 相手の案内役には、苦笑したようにも思われた。

 その差がある。

《こりゃ、驚かせ具合が...たまらんなあ》



 蜂の巣をつつくとは――阿武隈は傍目からそう考えてた。

 自分の裁量で軍を動かせるならば...

「即、撤退だ」


「その心というのが、昨日の補給線ですか?」

 角のなごりを指の腹でなぞりながら、

「そればかりでもない。機械化から引っこ抜いた大隊規模の戦車部隊、これがネックなのは混成とはいえ、歩兵中心の我々にはいささか過ぎたる。いや、無用とも言うべき厄介者だ!! 貴重な化石燃料200リットルのドラム缶1本を平気で消費する底なしの胃袋に、われわれはまだ対処しきれていない。確かに画期的ではあるさ、マナとのハイブリッド機関というのは、な」

 問題点も多い。

 どっちかというと、軍艦も同じような問題点があった。

 マナ鉱石と重油、或いはガソリンのエネルギー交換率レートが比例していない。

 マナこと魔力量の方が環境にやさしく、かつ1MPで数メガワットに匹敵する。

 故に鉱石の流通は、少ないのが頭の痛いところだ。


 潤沢にあれば――戦争さえも変わる。


「まあ、確かに」

 後輩が苦笑した。

 理由、前途したように流通量は極めて厳しく。

 東洋王国内でも産出量は流通量の3割程度であること。

「南方作戦の本来の目的は、地表あるいは海中内にあるマナ溜まりの調査であると、主計局の知り合いが答えてくれたよ。じゃ、何で未だ陸軍は頑なに大陸で燻っているのか...これは」


「当てつけですよね?」

 ふたりの苦笑。

 司令部の上司たちが咳払いするまで、然程、時間はかからなかった。

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