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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1621/2517

- C 496話 広州攻防戦 5 -

 一旦、広州に戻る。

 “斉”国の管理下に入った広州は、港湾都市としての整備は遅れた方だけど。

 それは、同国にはそれ以前に多くの港があったからだ。

 これらの港だって、台州と比較すると()()として、自治権がある訳じゃないから。

 国をあげて整備された記録は少なかった。


 ただ、それでも広州よりかはマシという見方はあったかな。

 シティカーストとでも言うべきレベルの話。



 斉国絶対防衛ラインとか。

 まあ、終末論みたいな切迫した中で、急ピッチも急ピッチ。

 突貫工事の賜物で、広州は貿易港から堅牢な城塞都市になってた――これ、戦争が終わったら街としてOUTな気がするんだけど。

 そう。

 市民が住めるような状況じゃない。

 広州にいた市民は“蘇”王国へ逃がしている。

 難民指定された人々は100万人以上であるとか。

 それでも、斉の規模からすると...1割にもみたない数だ。

 幸いという言葉がふさわしいかどうかは、アレだけど。

 国境の町だったから、市民を逃がすことが出来たという裏事情がある。

「そんなのまでガイドブックに載ってるの?」

 ボクはエサちゃんとともに靴下の匂いを確かめてた。

 彼女の癖一覧から、足の匂いを直接嗅ぐという行為は消えたんだけど。


 靴下の匂いを嗅いで、また履きなおすというのが追加された。

 その癖がボクにも伝染した...ってのは話したっけ?

「いや、これは国境をまたいだ時に関所の役人に聞いた」

 ドライバーのアロガンスと、助手席に座るハナ姉。

 ふたりのコミュニケーション能力は高い。

「そこ、今...私の性能について考えたんじゃないだろうなあ?!」

 ハナ姉が割り込んで、

「この姿アバターだから、人前で話せるだけだ。まあ、人前っても私からしたら全部、NPCにしか見えないし。現実世界の他人よりかは、何つうか...マシみたいな?」

 無関心になれる分、楽って話だろう。

 ここに知り合いが来てるよと、なるとハナ姉はどう感じるだろうか。

 知り合いが親戚という家族だと。



「――城塞化した広州の“都市機能”は市民生活の営み優先ではなく、国を外敵から守るための物しかないらしいな。東洋軍の攻城部隊が舌を巻くシーンが来たって話だったよ」

 アロガンスは、国境兵の話を続けてくれてた。

 数キロも離れた地から、野戦砲による爆撃をするも有効打になっていないという。

 ま、それは個人的に解せないことではあるんだけど...



 バルカシュ城塞から送り出される第一陣には、北天の残骸が多く含まれてた。

 国土は自分たちで取り返すという気概ねつは必要だ。

 ただし、その軍の中に。

 着任したばかりの“隠者”の姿もあった。

「あれ? 賢者どのは」

 饗応役の武官がひとり取り残されてた。

 彼女、何も告げずに乗り込んだっぽい。



「北天の状況はどんな感じ?」

 揚陸舟艇にあるのは、千人を超える重武装の兵士と数両の戦車、或いは装甲車で――。

 空を仰ぐと、複葉機たちが先行して飛んで行った。

「対岸には辛うじて踏ん張っている、友軍があります」

 それでも兵力はギリギリで、塹壕要塞戦といったところだろうか。

 1.5メートル程度でいい塹壕が、2メートル以上も掘らなければ狙撃されるような状況下で。

 兵士の士気を保持するのは苦難である。

「ほう、狙撃か」

 そんなチート張りの者が敵さんにあるんかねえって、隠者は物思いにふける。

 彼女の感じた通り、それはチートプログラムが使われてた。

 障害物越しに標的を見ることが出来るもの。

 あるいは、障害物を見たままの平坦とするものとか...。

《さて、アンチプログラムは正常に動いてくれるか》

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