- C 480話 いざ、外洋へ 14 -
南極の転移門の出口は多数ある。
聖櫃のログには一部欠けたものがあった――出口の座標である。
いくつか改竄されたような痕跡の中から、手繰り寄せような細やかな希望で選んだのが“ジョインビル諸島”だが、数千年前の天変地異によってここいらの地域も、旧時代地図の上からは消えていた。
光点が差す位置が、ここだというので...
ボクらは、
その場所を“ジョインビル”諸島だと読んでいる。
今は、そうだなあ。
海...かな?
ブリッジにてサンドイッチの朝食を採ってた、ウサギ艦長がある。
「ラヂオを頼む」
なんとなく軽い気持ちだった。
彼女の、そう、朝食の御供にはラヂオを聞くというのがある。
音楽番組をながしてたり。
或いはニュースとか。
魔界での娯楽は、まあ、ラヂオでこと足りた。
別の世界でラヂオ放送しているのかという疑問があるんだけど。
その日の放送は...砂嵐の向こうから途切れ途切れの音声を、拾うことから始まった。
ひどい雑音。
その音の嵐の向こう側から...
『我が、......なん、よ、よう...お、おう、おうう、王国、は、は、...は、はい、ぼ、くをせ、宣言...』
消えた。
いや切れたんだ。
電波を手繰り寄せられなくなった。
圏外っちゅう奴だ。
◇
モモ提督がブリッジに呼び出される。
腕の中に枕を抱え、可愛らしいパジャマのままでの出勤。
頭に折れた三角の帽子を被ってるんだけど。
「なに、今寝付いたとこだったのに」
ちょっと不機嫌だ。
夜更かしでハナ姉相手に将棋さしてたらしいんだけど、何度やっても負けっぱなし。
酒も飲んでるから、酩酊状態になるまで、互いに競い合ってたらしい。
うわ~
マジかこの人たち...
「南洋王国が敗北宣言を表明したらしい」
裏取りはしてないけど、そういう放送を受信たと告げた。
「ウサギが冗談を言うとは思えないけど」
確かめるには、艦首を南米方面からオセアニア方面へ転進させる外ない。
いずれにせよ聖櫃の航跡は見失っているから...
「ただ、そういうシーズンがあったというだけで、こちらは何も干渉できる話でもない。が、それでも確かめに行くのだとすれば、この当てもない世界で迷子をするよりかは...幾分、マシなのだろうな」
そう。
スポットライトが当てられているのは、太平洋の西側だけだ。
一応、世界は完全に切り離されていない。
北米・南米大陸のうち、そこで栄えている文明がナーロッパを通じて、各地域に影響しあってるからAIがリアルにNPCを演じてくれる。逆に閉じたら、閉塞感を感じて集団自殺とか、起きちゃうんじゃないかなあ。
ストレスによって、とか。
「モモの言質が取れた!!」
「あ、おい...それは、」
「提督であるお前の判断が必要なだけだったから、二度寝、やってもいいよ」
ウサギ艦長は、彼女をブリッジから放り出してた。
履いてた筈のルームシューズの片方が無い。
探すモモ提督は、再び襲う睡魔と格闘しながら廊下の端で寝落ちした。
う~ん、風邪ひくよ?
マジで...って、ボクは、彼女にタオルケットを譲った訳よ。
えっと、端の方は嗅がないでおくれよ、モモさん。
そこね、エサちゃんがしゃぶってたんだわ。




