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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1589/2519

- C 464話 勇者の備忘録 4 -

 まあ、そんな怪奇現象を目にしたボクだったけど。

 軍艦ふねが感知した魔法の痕跡頼りに、ハナ姉がヤウ公爵領へ降り立つ。

 犬猿の仲となったかつての親友が対峙。

 “ザボンの騎士”というギルドの長、ベック。

 同ギルドの副官的ポジション、ワードックのルーカス...改め、ハナ・コメ。


 ふたりが斜に構えた状態で、火花散らす様子ってのは...

 なんか、怖いんだよね。

 いきなり掴み合わないだけで、なんとなく。

 互いに()()殴り倒そうとか考えてるような感じで。

「ふん、相変わらずの目つきの悪さだ。それでは、オスも寄り付かんだろう?!」

 口火を切ったのはベック。

 ボクの身柄は同じ体形のヤウさんに、しっかりホールドされてる。

 振りほどくことは容易だけど。

 それじゃあ、彼女に怪我を...あれ?

「ヤウのは腕力は、キャベ族譲りだ。魔王キャベ・ジンと同じ奴を相手にしていると思った方がいいぞ、マル?!」

 見透かされた。

 ベックに吸われた時は、背中に硬い凶器を感じたものだけど。

 ヤウさんのは、ぽっちをふたつ感じます。

 あ、あれかな...

「マルを人質に取ったつもりか?! この腐れ外道ロリコン勇者!」

 まあ、否定はしない。

 その通りだし、

「褒めるな、テンが見ている」

 うん、確かにヤウ侯爵夫人が見てますし、聞いてますねえ。

 ハナ姉に罵倒された時、心なしかボクへの締め付けが強くなりましたが...

 違いますよ、違いますとも!

 ベック...さんの興味はボクではなく、()()()ですよ~

「褒めてねえわ!」


「ふふ、もっと詰れ、貶してくれ! 俺は言葉で責められるのも好物なんだ」

 変態だ。

 ちらっと、背後のテンさんへ気配を向けたんだけど...

 こっちも似た者同士に見えた。

 ベックが責められてるのを見て、興奮するタイプ。


 うーん...

 ちょっと毛色違い過ぎて、ボク無理。

「ハナ姉~、たすけて~」

 って、泣いてみた。

 泣いてから思ったけど、これで助けてくれたこあったっけ?



 ああ、案の定だ。

 首を傾げてるハナ姉がいるよ。

「お前は本当に私の妹か?!」

 とか...聞いてきた。

 いや、なんか気持ちの入ってない棒読みっぽい。

「あれ?」

 あれれれれれ......

 うっわー、面倒くせぇー

「ちょ、テンさん解放はなしてね!」

 彼女の腕から、スライム化して脱出。

 力で抜け出すより簡単で、誰も傷つかない方法。

 ボクだけが魔力を消費する。

 シェイプシフトで元の少女姿に戻れば、右手に作った氷のこん棒で殴り倒すだけ。

「放せって優しく言った時に、放せっての!!」

 キレたボクは珍しい、レアだぞ。

 対峙してたベックの目の色が変わる。

 まあ、愛情を向けてる対象者が殴り倒されれば、ね。

「マ、マル!!」


「うむ、マルである、な!」

 ボクにつかみかかるベックと、それを抑え込むハナ姉――かつて“ザボンの騎士”には、ベックとルーカスという巨頭が率いる陽気なギルドがあった。

 ベックは今でも高いポテンシャルを秘めた戦士で張るけど。

 それでも、ルーカス改めハナ・コメと名乗るようになった彼女とは、一線を画す。

 そりゃ、種族もワードックから幻獣・九尾狐キュウビになれば差も開くようなもの。

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