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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1587/2519

- C 462話 勇者の備忘録 2 -

 ハナ姉のは完全に贔屓目からきている。

 ボクは死なない。

 たとえ殺されそうな状況になっても――必ず黄泉から、()()連れ戻す――と。

 どんな化け物だって話だけど。


 ここまで愛されてるのは、嬉しいんだけど。

 ボクだって、死ぬときはコロッと行くもんだからね。


 で、蘇生魔法は成功した。


 血だまりの中から再構成された生物は......



 勇者の称号がステータスの欄から消えていた。

 代わりに“魔人”と“大将軍”の称号が輝いてたという――ベック・パパのステータスである。

()()でステータスが底上げされてた分、久しぶりに自分の素の数値を見ると、なんか懐かしさがあるなあって...ちょっと不思議な気分」

 なんて、しんみりしてるけど。

 余計な称号のせいで、実は“素”でもない。


 二つ名に近い“魔人”の方は、魔界に長く居過ぎたせいであるのと同時に、ベックに向けられた人々の畏敬めいたものが具現化されたもの。勇者の時のように、全パラメータ値の5倍までは行かなくとも、2~3倍のボーナスは受け取ってた。


 あと“大将軍”は、あれだ。

 魔王軍や公爵軍を率いてた時に目覚めたっぽい。

 ステータスの鬼でもないから、ちょいちょい見ている感じじゃないし。

 ただ、日課のようにステータスを確認し終えた彼の耳に、砲撃のような爆発音が飛び込んできた。

 実際に音がした方向へ首を向けたら、もうもうと煙が上がってた。


 ボクが意識を失うと、アバターに内蔵されている自己防衛機能が作動する。

 つまるところ「いのち、だいじに」作戦と同じもので。

 生命維持活動を優先するリモートアクション――

 これがハナ姉のいうところのマルは絶対に、死なないにつながってるらしい。



 いや、どうでもいいけど。

 マジでこの防衛機能ってさ融通が利かないわけよ。

 例えば、真下に人がいても構わず砲撃して自分だけは助かろうとする。

 いや、落下してるときにこの爆風で、速度を緩和させるんだと。

 で、そこには人がいた。


 彼女はヤウ公爵夫人。

 まったく運の悪いというか、魔の悪い。



「――ということは、証拠隠滅しようと慌てて彼女を蘇生したと?」

 事情聴取のようにベックを前にする、ボク。

 彼と二人きりはちと、嫌なんですけど。

「は、はい」


「あ、あの...どうでもいいけど。ボクの目を見て話してもらえませんか? なんで...」


「マル、もうちょっと膝を開いて」

 指示されたように足を開く。

 ショートパンツの脇から見える縞が気になるらしい。

 これが勇者と呼ばれたベックの本性だ。

「ハナ、あいつとは一緒じゃないのか?」


「う、うん。ボクひとりで落ちたから」

 真上を指さした。

 キルダらは空に上がったし、セラフィム......叔母おねえちゃんも、残務処理が終われば空に戻るだろう。そん時にボクも上がれたら、いいんだけど。

「じゃ、」


「じゃあ?」


「マル吸いしても??!」

 いやいや、それは居なくてもやっちゃだめだよ。

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