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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1586/2520

- C 461話 勇者の備忘録 1-

 誰にも相談できないことがある。

 ベックはそう、ボクに話しかけてきた――



 少し話を戻そう。

 ボクは高高空にあった、飛行ゴーレムの研究科に通ってたんだけど。

 まあ、彼女たちは普通の研究員で。

 スライムロードを煮込んだら何が採集できるんだろうって...すごい素朴な疑問でボクは彼女たちに付き合うことにした。いや、本当はボク自身もその疑問に興味を持ってしまったんだ! だって水属性っぽいゼリー状のスライムに、さ。

 知性が宿ったら、どんどん進化していって最強種、ロードになったんだよ。

 その生物を煮込んだら......

 やっぱ、出汁が取れると思うよね?


 結論を先に言うと。


 マル汁が採れた。

 ボク自身も驚いたけど...固有ネームが付くとは。

 効能は――高純度の治癒薬になる。あるいは、回復力の高いマジックエナジードリンクになるという、ウイッチたちにとっては()()()()()が魅力的な産物だったようだ。

 そしてもう一つ疑問が生じる。

 ボクの仲間たち、

 つまりは......他のスライムロードにも、同じ汁が採れるのか、と。


 ちょっと胸を撫でおろした。

 いや、ハナ姉やヨネも煮込んでみよう、とか思われなかったことだ。

 コメ家なら何でもいいとか。

「湯加減は?」

 と声を掛けられた、ボクは...口を三角にしてパクパク動かすだけだった。

 そう、煮込まれすぎて熱中症みたいな状態になったらしい。

 水分補給のため塩水に投げ込まれて、

 そのあとの記憶がない。





 気が付けば――フレッシュトマトの爆心地の中にあった。

 きっと誰かを巻き込んだのだろう。

《蘇生魔法術式起動!!!》

 無詠唱で魔法が使えるボクが、術式の起動を叫ぶ。

 多角形の魔法陣が、縦にも横にも幾重に広がっていくんだけど...ここまで大掛かりな魔法ものにしなくてもよかったと思う。普段のボクならば、だ。

 でもさあ、記憶を失うその寸前までは朦朧としてた。

 熱中症みたいな感じだと思ってたけど。


 あれさ。

 煮込んで出た出汁のこと、あれ、ボクの魔力が絞り出されただけなんじゃないかと思うんだわ。

 それで...

 でも、そんなことはいい。

 今は巻き込んじゃった人を助けることが必要で。



 “コウテイ・マンタ”級飛行ゴーレムの中では騒然としてた。

 そりゃそうだ。

 天日干ししてたボクこと、マル・コメが落ちたのだ。

 ハナ姉は、提督や艦長に次ぐ地位として迎え入れられた存在で、絶対に怒らせてはいけない存在だったっぽい。

 その彼女が起こってるんだ。

 研究科の失態は大きい。

 また、煮汁も魔力の絞り出しというのが、調査されるとさらに立場が悪くなった。

 ボクが温泉に入る気分で通ったことが、仇になったようだ。

「先ずは彼女たちの処分ではなく、この高さから落ちたマル・コメさんの安否です!!」

 というのは、医療班長。

 エサちゃんは、ウナちゃんとともに泣き崩れてるし。

 いや、ウナちゃんはボクに拷問した件があるんで、ここでハナ姉の逆鱗に触れ自分可愛さに泣いてるに過ぎない。


 うーん。


「どこから探す?」


「生きている前提ですか?」

 ハナ姉の目に怒りの炎。

 医療班長も押し黙り、

「怪我程度としましょう」


「あの子は死なない!!」

 言い切る理由はない。

 ただ、デスペナアラートは聞こえなかった。

 それだけ。

 でも、死なないと思う根拠、薄くなくね?

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