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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1486/2524

- C 361話 天領始末記 5 -

「ご報告! ヤウ公爵軍さらに7里後方へと下がりました」

 怪鳥ゴーレムが、高空から周辺の状況を監視している。

 北方貴族七雄の残り三雄ってのが、戦準備しているとも考えられるし――先に手を出したとはいえ、ここで中央平原に再び内戦の兆しは、天領としても見過ごせなくなる。キルダとしては、単に船が欲しかっただけなのだから。

「いや、それは面目も無い」

 事情を深く知ってしまうと、いささかハナ姉も委縮してしまう。

 豪快が服着て歩いてるようなのも、虚勢に近い訳だし。


「その面目ないっての...どこまで本気なんだい?」

 セラフィムは、コンテナから肉を拾ってくる。

 まだ暫くは逗留することになったので、四領から都合してもらったコンテナの整理に戻っている。

 仮に、ハナ姉らの珍登場なんてのがなければ、生ものなどはおいていく予定だった。

「で、...」

 セラフィムの拾った肉をキルダが所望。

 フィズが包丁を握って待機中。

 肉の方は、ベーコンのような燻製肉のようだから...

 火を通せば、ワンチャンス!

「...っ、ま、まあ。1、2ミリくらいには悪かったなあって...思ってるけど。だったらちゃんと言って欲しかったよ。私もマナタンク落としたのも、別に態とじゃなく」

 指を噛む。

 ちょっと塩味がするらしい。

 ハナ姉は仰いでたんだけど...

「わかった、思ってもいない。全然だ!!!」


「全然ってのは、」


「四領の方の戦争が明けて気が昂ってたんだ! 確認はしたが、返事を待たずに降りてたんだ」

 悪いかよってセリフまで飛ぶ。

 まあ、あんま反省してないってのは、わかった。



「責めてはいないが。私らを()()()()...って言わなかったか?」

 ジューシーな肉の、灼ける匂いがする。

 天幕の裏でフィズが調理していた。

 セラフィムは、付け合わせのサラダなどを用意している。

「で、レンさんは何するんで?」


「お、いいねえ...前のアバターは調理師コックをメイン職業にしてたけど。今回は!! 何もしな~い!!」

 自慢気に、溜めるところでもない。

 彼女曰く――食って、寝るだけ――だそうな。

 いい身分ですなあ、賢者って。

「魔法で“美味しくな~れ”とか唱えて来いよ!」


「いや、そんな魔法がそもそもねえわ!」

 使えないってハナ姉から飛び出した。

 んで、レンさんが彼女の頭を小突く。

 二人がにらみ合い、その板挟みになるキルダさんが止めに入って。

 今日もにぎやかなキルダ陣営である。



 一方、鎮火した現場からヤウの遺体を引き取った、ベックは静かだった。

 お調子者でも、思い悩むことはある。

 侍女長が、腹に入るものを作ってきてくれた。

「粥ですが」


「すまない...忙しくしていた時は、振り返らずに済んだんだけどな」

 ひと段落ついている。

 公爵の葬儀も考えるとすると、一度、御料に戻る必要がある。

 弔い合戦ってのも考えなくはない。


 が...

「俺は一度、退こうかと思うんだが...相談すべき相手がいない」

 侍女長の手を引かれた少女も、ベックの横に立ち。

「うん。手勢の多くを失ったし、天領の寡兵に蹂躙されたからね。箔どころか泥を被ったよね」

 少女は、ころころとほほ笑んだ。

 これは苦笑にちかくて、

 ベックの、大きな手の指を掴んできた。

「う、ん?」

 視線を落とすと、10代前半のような雰囲気の()()がある。

 彼女は苦笑しながら、

「...ちぢんじゃった」

 だって。


 ちょっと飲み込めてないけど。

 キャベ族の数百人にひとりの割合で、特殊能力を授かる個体があるという。

 ヤウは不死鳥と同じく、炎属性で焼死した場合に限って、復活するというギフトがあった。

 まあ、これで3度目の死であるという。

「や、ヤウ?!」

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