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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1481/2522

- C 356話 雨が降る。瞬く間に、洗い流して... -

 ボクは、スク水を脱いでた。

 脱衣所だからね。

 そっと、たたんで籠の中へ。

 フェイスタオルを胸と腰に巻いて、浴場へ。


 そこには先客である、

 エサちゃんと、ウナちゃんがいた。

 ふたりは全裸で半身に構え――握ると『ピュムゥ』って鳴くバナナを持ってた。

 たぶん、西部劇の一幕みたいなのを、演じてるんだと思う。

「三つ数えたら、振り返るんだ!」

 ...ぞ!

 って言い終えてないところで、ふたりが振り返ろうとした...

 ふたりは、お約束の転倒をかましたわけだ。

 これがまた、痛そうな。


 エサちゃんは、横向きに倒れて右わき腹と、右ひじの殴打。

「ぐぎゃ!」

 鳴き声からして悲鳴じゃないし。


 ウナちゃんは振り向く前に、滑ってた。

 あれは、軸足を完全に石鹸水に取られた感じの...

 顔から床のタイルへキスしに行った感じだったから、相当ヤバいと思う。

 血がすげぇー、でてる。

「ムヒさーん、ヒールは?」

 音信不通。

 どうやら、不在のようで。



 ウナちゃんの治療は、ボクがやることにした。

 彼女の横に膝をついて、手のひらを翳す――「痛いの~ 痛いの~ 飛んでいけぇ~!!!」――てのを呪文のことばとしているから。傍目からすると、そんなんで大丈夫?という目で見られる。

 勿論、問題はない。

 ただし、大勢のけが人をと同時に治す時と比べると、いささか加減が分からない...訳で。

 個人相手だと、治癒殴りっていうデバフを与えてしまう。

「ダメ、それ以上は!!!」

 カップ麺の出来時間でも図ってたように、

 エサちゃんが窮屈そうな声で叫ぶ。

 ああ、あの子もけが人だった。

「おっととと...」

 ちょっと遅かったというか...

 俯せのウナちゃんが急にもがきだし、激しい痙攣に襲われた。

 それはもう、身体全体で跳ねるように。


 で、


 弾けた。

 ああ、もう一瞬という外なく。

 成す術もない。

 脱衣場から、やってきたクロア陛下が悲鳴を挙げて――

 キルダ・オリジナルが衛兵と共に現れた時。

 ボクは真っ赤に熟れたトマトのように見え、ウナちゃんはズタボロの肉袋のようだったという。

 情けない話...

 ボクも何が起きたのか放心してて、覚えてないんだわ。


 ん...目の前が真っ赤になったのは、ね。

 記憶は、そこでストップ。



 夜明けとともに凄まじい攻防戦が幕を切った。

 四領首都・前衛攻防戦ともいうべき大戦闘だったという――過去形なのは、壮絶だったけどその戦いが天領軍による、一方的な虐殺で幕を閉じたからだ。

 第五艦隊が解析と、起動実験の為に格納庫に封じてた、ゴーレムによって一時は危ぶまれてた戦線が好転。狂戦士化した魔狼族を複数も相手にして、一騎当千の大活躍した者がある。

 彼女は、ハナ・コメ。

 ボクの義姉だ。


「どしゃあああああ!!!!」

 粘土巨兵ゴーレムファイターのオリジナル版が、ここ魔界にあった。

 しかも、ハナ姉の専用機としてボクが設計し、建造したタイプがだ。

 錆びついて動かないものと思ってた、USBランチャーもハナ姉を認識すると、尻尾でも振るかのように動き出したというのだ。

 パワードスーツのゴーレムと違い。

 全高15メートル前後で、他を圧倒する威圧感が武器のひとつだ。

 一領と、二領はこの機体から吸いだしたデータを基にして、パワードスーツへと転換シフトさせた。

 正当な進化としてはアリだ。

 ボクだって、ベック・パパという“オタク”が居なければ、全高15メートルとかいうアホみたいな大きさにはしなかったけど。逆に獣王の()()()()みたいな、アホほど大きい御仁と戦うなら...これもアリだと思う。

「ど、どうですか?」

 パワードスーツらが2、3近寄ってくる。

 ハナ姉の活動範囲にまで入ることは無いけど...

 どうも、及び腰というか。


 彼らにしたら、

『骨董品ですよ?!』

 ...だった印象だから。

 眠ってたゴーレムの意思か、否かの区別に困ってた。

「おう! 問題ない問題ない!!! なんて言うか、調子がいい...誰か愛情込めて手入れしてくれてたのかなあってくらい、ご機嫌なんだわ」

 ハナ姉はシートの上で仰け反ってた。

 バイクに跨るような、前傾姿勢で操縦するタイプだから、同じ姿勢でいるのは少し疲れる。

 仰け反ると、これはこれ背もたれが欲しくなった。

《マルにシート面の改善要求だすかなあ》

 だって...

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