表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1470/2518

- C 345話 侵略者たち 20 -

「肩書があるなら、()()を利用しよう!」

 ってのが策士。レニーホールドの言葉。

 彼女の膝にキルダが横たわってた。

 勘定を終えたレンを見上げるキルダは、やや物欲しそうに――

「んー、なんだい?」

 レンの気を惹きたかった。

 それが叶ったわけだけども。

「膝枕とは、な」


「聞きたい事はそれではないのだろうけど、そうだねえ。君が...()()()()欲しそうな表情だったんで、お姉さんぶってみただけかな。まあ、たぶん...同い年だろうけども、キルダは自分に厳しくいないとダメだと思ってたんだろ」

 髪を解し、

 額を撫でる。

 頬に手を当て――銭の金属臭がする。

 家族でもしない、

 頬をぷにぷにと触っていた。


 柔らかい。


 見た目通りのお年頃。

 もちもちの肌に、ツヤがあって...化粧でもすれば見違えるような傾国の――になるだろう。

「いつまで...こっちにいる?」

 本当に聞きたいことのひとつ。

「期間は決めていないけど、ここに来たのは勇者の同行者である、役回りからだ。自分の意思は介在していなかったけど...そうだなあ、ここを去る時はあ、私の意思に寄るだろう。でも、こんな甘えん坊を残して去る気持ちは、そうだなあ。今はないかなあ」

 だって。

 惚気の物語。


 この場にセラフィムが居たならば、

 囃し立てて、キルダの涙目も見れたかもしれない。

「じゃ、ぎゅっと...して」


「ぎゅ?」


「そそ、手で頬をぎゅーって」

 甘えん坊さんの甘い甘いやりとり。

 露店は店じまいしてるけど、天幕からは桃色吐息のソレが聞こえたとか、ないとか。



 公爵軍の戦力は、国元(本荘)に4万、最前線に5万という大軍である。

 すでに北方戦線の()()という、大貴族たちの四雄を平らげてきた。

 激戦を潜り抜けてきたのだから、顔付きも精悍である。

《...っ、心細い》

 冒険者から拾い上げられた男は、天領軍の使者としてひとつの天幕が与えられていた。

 結局、ベックという男を探し出すこと敵わず。

 得体の知れない従者と相対してた。


 ヤウ公爵からは、ベックの捜索が別の理由で、発令されてるんだけども。

 その捜索隊から免れるために...

 彼、使者の懐へ転がり込んでた。

「し、っしかし...な、何でござろうなあ......騒々しい」

 会話が続かない。

 酒場の女どもに聞かせる武勇伝ぼうけんとは違うものがある。

 あれは、自慢話とホラ話だ。

 それで場が盛り上がれば、それでいいってもの。

 宴会芸みたいな、とこか。


 さて――

 腕が震えて、盃の酒が飲めない事なんてのは、何時頃の事だろうか。

「確かに騒々しいですねえ」

 太い首を撫でながら、

 ぐいっと一気に酒を流し込む。

 火が付いたように赤くなって、炎でも吐きそうな勢いで息を吐く。

「くぁあー、辛い!!!」

 魔界の酒は、つくる御料地ごとに味が違う。

 そうだなあ香りとか、癖も...違うなあ。

「あ、あんた...」


「あん?」


五領こっちのは火酒ってな、冬が厳しくなるからってんで結構な癖がある。地元の冒険者でも...ちびちび飲むもんだが」

 ほほう、なるほど。

 こいつが地元じゃないと気が付いちゃいましたか。

「そっか...」

 ベックとしちゃあ悪気はない。

 そういうタイプの飲み方にも、敵が生まれにくい。

 やや、気が晴れたように緊張しきってた使者も、

「そうかい、そうかい...そういう事かい」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ