- C 341話 侵略者たち 16 -
さて、暫く“一回お休み”の升目にあった、とある部隊のターンが巡ってきた。
キノコで全滅しかけたのだが...
「キノコ汁、精が付いてやる気に満ちるよ」
しょっぱなから、再び悪夢再来である。
そもそも、この部隊のどこにキノコがあるのか。
いや、どこから湧いてきたのか。
◇
それは数日前に戻る。
“一回お休み”の升目でループする前――四領から物資が届けられた頃だ。
四領王と海軍さまは、だ。
聖櫃たちが何をしでかしたかを全く存じていない状況下で、禿げたおっさん特使の派遣でコンテナいっぱいの麦とキノコの配達成し遂げたのである。いや、コンテナのひとつが酷く生臭かったので、レニーホールドが、だ。
「これってあれでしょ!? 嫌がらせ」
んなあ、馬鹿なあってセラフィムのむせ返りを尻目に大解放...
コンテナから大量のキノコがなだれ落ちたと、まあ、そういう話である。
今んとこ、腐るほどあるから消費が大変という話。
女性兵士は身体を半身にしつつ、
まあ、恐る恐るというへっぴり腰で、だ...
「これ...下の方でも?」
「ああ、使えるよ! こっちの“シビレマラダケ”はヒダに掛かる位のところで、添えるようにこすりつけると、ヒリヒリして気持ちよくなるし。あとね“アカマラケモノダケ”っていうコレは、茎の根元が太いでしょう、きれいに洗って深くまで挿入しなければ...入口がきゅんきゅんなく感じで...」
レンの後頭部に“メガマラダケ”を叩きつける、キルダさん。
彼女曰く、
「少しは憚れ!!」
って、直接告げてた。
俯くレンは、
「貴重なキノコで殴る? 普通...」
「知るか! 男性兵士をの方を見ろ、あんなに腰を引いて」
彼らの腰が引くのは、マラダケで叩いたからだ。
何となく自身のソレと重なったからだろう。
◇
上陸部隊は、取り残されている。
上陸したときに利用した、揚陸艇の姿はそもそもないし。
設営した陣地に、怪鳥ゴーレムのひとつもない。
「キルダさんや...」
キノコ汁をすするセラフィムさん。
いや、十恵姉ちゃん。
「ごめんなさい」
キルダさんはすっくと、席を立ち...しばらく歩くと、天幕の入り口に座り直した。
どうもキノコ臭が苦手のようだ。
てか、朝から晩までキノコを喰ってれば、好きなものも嫌いになるだろう。
「キルダさんや、この部隊は如何するんで?」
擡げる幹部連中。
とくに部隊経営に従事する部長や次長らが、天幕の床に突っ伏してる。
見通し立たずと、言ったところなのだろう。
いや、通信中隊が“ウサギ”ちゃんを呼び出そうと必死になってた。
でも、出てくれないのだ。
あちらもバツが悪くなって、無視している可能性も。
「ここは賢者にお知恵を借りよう!!」
セラフィムは神のお告げのような事を言いだす。
ああ、思い付きじゃなく...
計画的犯行という、アレ。
これは、
レニーホールドからの指図だった。
「じゃあ、一応聞くだけ聴きます」
「有難く拝聴せよ~」
ヒトマラダケを振る。
幹部全員が、ソレを振る。
何となく人によっては自分のと同じサイズ...なんて思っているひともある。
嫌々なのは分かる。
キルダも眉間に皴が寄ってるし。
「五領の方々に応援を依頼しましょう!」
キノコが床に落ちる。
「は?!」
「だってほら、丁度、さ。今、ヤウ公爵軍ってのがあ~ こっちに向かってきてるって話を...小耳にはさんでね!! じゃ、じゃあさ。...渡りに船だから、港街の解放を条件に国外退去用の移動手段のぉ~」
キルダに握られたキノコは、レンに向けて投げられた。
えっと、匙は投げられた...
みたいな?




