進撃のコシュマール、反撃準備ッス!
「敵の数は多くはないけど、弱いって事じゃない!」
と、ハナ姉が娯楽室のビリヤード場に敷いた紙へ、筆を走らせる。
当該海域の海図は何処にもない。
ここはランダムに組成された、例えるならばダンジョンみたいなもので現実味がない。
多島海って言っても、こんなに島と島の間が狭い事も無く、縮尺もバラバラであった。
「怖い相手はやっぱり?」
「ああ、イーストエンド級巡洋艦だ。公式のを参照にすれば、基準排水量7600トン、満載は1万トンに近い巨体を誇り、コシュマールの139ミリ砲では装甲帯を貫くのは難しい。巡洋艦だけを相手にするのならば、魚雷と砲撃の有効活用が望ましいだろう」
三白眼エルフ副長に代わり、派遣されたのは“糸目”エルフの一等航海士だ。
エルフってこんなのだっけ?
「具体的にはどうする」
ハナ姉もこのまま“芋”るつもりは毛頭なかった。
ボクはこのままでもいいのだけど。
「タイムアウトで逃げ切る手はある。が、それはこの戦場をクリアしたのではなく逃走したのと同義で戦場回数と、報酬額の少なさから主人がキレることは間違いない。そこの恥ずかしい娘と仲睦まじき小さき小娘よ...今一度、このハードモードに送られた本当の意味を想い出すのだ!!」
と、糸目エルフはボクに諫言を吐く。
いや、この言葉はハナ姉が告げる役目だった。
「マル、腹を決めてパンツを尻に食い込ませる気で臨め!!」
褌の締め直しのつもりかな?
パンツをTバックよろしく挟み込んだら、痛いんですが?
「で、具体的には?」
「先ずは取り巻きを仕留める必要がある」
ルソン級駆逐艦も、東洋ではポピュラーな駆逐艦だ。
近代化改修を終えた同型艦艇は、基準排水量が2400トンで、満載で3200トンになる同王国内ではわりと、高速いや機動性の高い軍艦だ。公式の方を読むと、カタログスペックお化けと化しているのが分かる。
何せ、あまり役に立たないとされている、魚雷発射装置を3基も搭載しているというのだから。
「いや、2シーズンを終えて東洋のルソンが、王国の海域から出る事が無かっただけでプレイヤーも、この船の本当の実力はほとんど知りません。枢軸国と連合軍という印象操作によって、まあ...東洋を2度も追い詰めましたし...」
と、歯切れが悪い。
確かにボクも参考がてらに過去の資料を読み漁ったけど...
東洋の肩をもって戦った連中は、レートの高い戦闘以外はゼロ参戦だった。
だから両陣営半々のプレイヤー数を誇りながら、東洋王国は2度も敗戦国になったのだ。
「で、反撃となると...」
「流した魚雷の方へ回避させてやるってのはどうでしょうか?」
搭載魚雷の射程は12キロメートル。
爆装からの威力もジャイアントキル目的の3万越えだとか。
それは1本、相当お高いんでは???




