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死に戻ったようなので、次はご都合側妃で結構です 〜 追いやられた“呪いの離宮”で暗殺回避して暮らしていたら 〜  作者: 鳴宮野々花


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12. 側妃としての輿入れ

 祝賀会の数日後。国王陛下の名代として他国の建国記念祭に出席していた父と、それに同行していた母が帰国した。

 私は早速、祝賀会での出来事と、ジョセフ様の側妃となることを受け入れるつもりであることを二人に伝えた。

 当然、両親はすんなりとは納得してくれなかった。特に父の怒りは激しく、すぐにでも王宮へ抗議に赴きそうな勢いだった。

 けれど私は、根気強く二人を説得した。

 

「ここで怒りに任せて婚約そのものを白紙に戻せば、王家とシャロン侯爵家の亀裂を国内外に知らしめることになりますわ。まして、外交を担うお父様が王家と対立したとなれば、諸外国にも無用な憶測を招きかねません」

「しかし、今回の王家の仕打ちはあまりにも理不尽だ。お前を正妃として迎えるという約定のもと、我が家もお前自身もこの十年以上もの間、王家に尽くしてきた。それを今さら反故にするなど、到底納得できるものではない!」


 青筋を立てる父に向かい、私は落ち着いて言葉を重ねる。

 

「お父様のお怒りはもっともです。だからこそ、こちらはただ黙って受け入れるのではなく、この変更が王家側の事情であることを明確にしていただきましょう。そのうえで、国の安寧を第一に考え、我が家が譲歩するのです」

 

 私を正妃として迎えるという当初の約束を覆すのは、あくまで王家側の事情によるものだ。シャロン侯爵家には何の落ち度もない。

 そのことを王家から正式に明らかにしてもらい、改めて我が家への説明の場を設けてもらったうえで、双方の協議によって婚約条件を変更する。そうすることで我が家の名誉も守られるのだと、私は根気強く言葉を重ねた。

 このような話し合いを繰り返し、私はどうにか両親を説得することに成功したのだった。


 その後、王家との正式な協議を経て婚姻条件が改められ、私は予定どおりジョセフ様のもとへ嫁ぐこととなった。

 正妃としてではなく、側妃として。

 迎えた輿入れの日。正式な婚姻の手続きを終え、私はジョセフ王太子殿下の側妃となった。

 本来であれば、この日はもっと盛大なものになるはずだった。

 私がジョセフ様の正妃となることは幼い頃から決められていたため、王宮では長い時間をかけて婚礼の準備が進められていた。

 披露の宴や招待客の選定、衣装や装飾に至るまで、着々と準備が整えられてきたのだ。

 けれど、私が側妃となったことで、それらはすべて不要となった。

 もっとも、これまでの準備が無駄になったわけではない。

 ダーナ・ブラント子爵令嬢が、今回も王妃殿下と親交の深い侯爵家の養女となることが決まり、正式にジョセフ様の正妃として迎えられることになったからだ。

 私のために進められていた婚礼の準備は、ほぼそのままブラント子爵令嬢の婚礼へと引き継がれることになったのである。

 私は側妃として、簡素な婚姻の儀を終えた。


 これで、私の二度目の人生は大きく変わった。

 前回の私は、ジョセフ様の正妃となり、その先で命を落とした。

 けれど今回は違う。

 正妃ではない以上、前回と全く同じ未来を辿ることはないはずだ。

 側妃という立場で、私に何ができるだろう。

 まずは王太子宮での暮らしに慣れ、どの程度の公務を任されるのかを見極め、それから少しずつ自分にできることを増やしていきたい。

 そんなことを考えていた私に、ジョセフ様から衝撃的なことを言い渡されたのは、私の輿入れからふた月後、ダーナ妃が正妃として輿入れした直後のことだった。

 王太子宮の一室に居住していた私は、ある日ジョセフ様の私室へと呼び出された。

 急いで向かうと、そこにはソファーにのんびりと腰かけるジョセフ様と、彼に寄り添うように座っているダーナ妃の姿があった。

 彼女は含みのある笑みを浮かべ、勝ち誇ったように私を見ている。

 豪華なドレスを身にまとったダーナ妃の肩を抱き寄せたジョセフ様は、私にこう言い渡した。


「アウレリア、来月からお前はヴェルネ離宮で暮らしてもらう」

「…………え?」

 



 

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